幼児期長期的牛乳摂取による高濃度循環血中インスリン様成長因子(IGF)は脳下垂体制御を再設定し、成人のがんおよび虚血性心疾患リスクに潜在的に影響を及ぼすかも?
Milk and linear growth: programming of the igf-I axis and implication for health in adulthood.
牛乳および線形成長:インスリン様成長因子(IGF)軸のプログラミングと成人健康への影響
linear growth:直線的増殖; 線形成長
igf-I axis:インスリン様成長因子(IGF)軸
PUBMEDより
Nestle Nutr Workshop Ser Pediatr Program. 2011;67:79-97. doi: 10.1159/000325577. Epub 2011 Feb 16.
ネスル栄養ワークショップ 小児科プログラム
Pediatric 小児科(学)の
Martin RM, Holly JM, Gunnell D.
Source
Department of Social Medicine, University of Bristol, Bristol, UK.
英国ブリストル大学、社会医学部
Abstract
要旨
There is increasing awareness that childhood circumstances influence disease risk in adulthood. As well as being strongly influenced by genes/genetic factors, stature acts as a marker for early-life exposures, such as diet, and is associated with risk of several chronic diseases in adulthood.
幼児期の状況は成人疾患リスクに影響を及ぼすことの認識は高まっている。遺伝子/遺伝的要因によって強く影響を受けることと同様に、成長は食事などの幼児期の暴露に対するマーカーとして作用して、成人の幾つかの慢性病リスクと関連しています。
Stature is also a marker for levels of insulin-like growth factor (IGF)-I in childhood. Levels of IGF-I are nutritionally regulated and are therefore modifiable. Milk intake in childhood and in adulthood is positively associated with higher levels of circulating IGF-I and, in children, higher circulating IGF-I promotes linear growth. Studies conducted by our team and others, however, indicate that the effect of milk is complicated because consumption in childhood appears to have long-term, programming effects which are opposite to the immediate effects of consuming milk.
成長は子供のインスリン様成長因子(IGF)-I濃度に対するマーカーでもある。インスリン様成長因子(IGF)-I濃度は栄養学的に調節されていて、それゆえに変更可能である。子供および成人の牛乳摂取は高濃度の循環血中インスリン様成長因子(IGF)-Iと積極的に関係していて、子供においては高循環血中IGF-Iは線形成長を促進する。しかし、私たちチームおよび他によって行われた研究では牛乳の影響が複雑であることを示しています。その理油は子供の牛乳消費が牛乳消費の即時効果に反する長期的なプログラミング効果を有すると思われるためです。
Specifically, studies suggest that the long-term effect of higher levels of milk intake in early childhood is opposite to the expected short-term effect, because milk intake in early-life is inversely associated with IGF-I levels throughout adult life. We hypothesize that this long-term programming effect is via a resetting of pituitary control in response to raised levels of IGF-I in childhood. Such a programming effect of milk intake in early life could potentially have implications for cancer and ischemic heart disease risk many years later.
幼児期の高レベル牛乳摂取の長期的効果が予想される短期的効果と逆であることを研究が示唆している。なぜならば、幼児期の牛乳摂取が成人期を通してのIGF-I 濃度と逆に関係していることである。この長期的プログラミング効果は幼児の高濃度IGF-Iに反応して、脳下垂体制御の再設定を介してであると私たちは仮説をした。幼児期のそのような牛乳摂取によるプログラミング効果は何年後にがんおよび虚血性心疾患のリスクに対して潜在的に影響を及ぼすだろう。
pituitary 脳下垂体
ischemic heart disease 虚血性心疾患
Milk, HORMONES, & HUMAN HEALTHより
牛乳、ホルモン、および人間健康
http://milksymposium.mcgill.ca/abstract/
Milk is Food for Neonates: Studies of Its Effects on IGF-I in Population Cohorts
牛乳は新生児のための食物である。母集団コホートにおけるインスリン様成長因子1(IGF-1)への牛乳作用の研究
Neonate新生児 《生後 28 日以内の幼児》.
Jeff Holly, PhD
More milk consumption is associated with increased serum IGF-I levels in subjects from childhood through to old age. This is consistent with the known effects of protein intake on hepatic IGF-I expression and the effects of amino acid intake on pituitary GH secretion.
大量の牛乳消費は子供の頃から老齢に至るまで治験者の血清IGF-1濃度増加と関係している。これは、肝臓IGF‐I発現へのタンパク質摂取の既知作用および下垂体成長ホルモン(GH)分泌へのアミノ酸摂取効果と一致している。
serum IGF-I levels 血清IGF-1濃度
hepatic IGF-I expression 肝臓IGF‐I発現
pituitary GH secretion 下垂体成長ホルモン分泌
In contrast we have found that increased milk intake in childhood has a long-term programming effect that acts in the opposite manner resulting in lower IGF-I levels throughout adult life. Such programming can occur early as breast feeding also results in higher IGF-I levels throughout later life, again in the opposite manner to its acute effects. The consequences of milk intake in childhood therefore have to be interpreted in terms of both the acute affects and the long-term consequences which can be very different.
対照的に、幼児期の牛乳摂取増加が長期的プログラミング効果を有していて、それが成人期を通して結果的に低IGF-1濃度をもたらし、反対の方法で作用することを解明した。急性効果と逆の方法で再び、その後の人生を通して母乳栄養も結果的に高IGF-1濃度もたらすので、このようなプログラミングは幼児期に発生する可能性がある。幼児期の牛乳摂取の結果は、したがって、急性効果と極めて異なる長期的結果との両方の観点から考えてなくてはならない。
PUBMEDの文献
Both low and high serum IGF-I levels associate with cancer mortality in older men.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23015658
低および高血清IGF-I濃度のどちらも高齢男性におけるがん死亡率と関連付けられている。
関連情報
インスリン様成長因子 ウィキペディアより
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%B3%E6%A7%98%E6%88%90%E9%95%B7%E5%9B%A0%E5%AD%90
インスリン様成長因子1(IGF-1)は主に肝臓で成長ホルモン(GH)による刺激の結果分泌される。IGF-1はソマトメジンCとも呼ばれる。人体の殆どの細胞、特に筋肉、骨、肝臓、腎臓、神経、皮膚及び肺の細胞はIGF-1の影響を受ける。インスリン様効果に加え、IGF-1は細胞成長(特に神経細胞)と発達そして同様に細胞DNA合成を調節する。
研究成果(内分泌研究室)より
http://www.biol.okayama-u.ac.jp/cccrg/endocrine/result.html
最近の研究成果の概要
II. インスリン様成長因子I (IGF-I)遺伝子の転写制御機構の解析
IGF-Iは,生体の様々な組織に発現する成長因子である。細胞増殖や細胞死の抑制,細胞分化に関与すると言われている。我々は,既にIGF-Iが下垂体前葉細胞の増殖を促進することや成長ホルモン遺伝子の転写を抑制すること,子宮内膜細胞の増殖を促進することを明らかにしてきた。下垂体前葉においてはIGF-Iは成長ホルモン産生細胞に,子宮においては子宮内膜細胞に発現していることも明らかにしてきた。そこで,それぞれの組織におけるIGF-I遺伝子の転写制御機構を解明することを目標に解析を進めている。
考えたこと
上記の記事で幼児時期の牛乳摂取はIGF-Iの増加をもたらし、下垂体のプログラミングを変更させて思春期の低IGF-Iになる。研究成果(内分泌研究室)よる記事にIGF-Iが下垂体前葉細胞の増殖を促進することや成長ホルモン遺伝子の転写を抑制することでています。幼児期の牛乳摂取よる高IGF-Iが成長ホルモン遺伝子の転写を抑制するようにプログラミングされて、思春期の成長ホルモン分泌が減って、身長が伸びないのかと思いました。
幼児期に変更された下垂体前葉のプロプログラミングは、下垂体前葉から分泌する他のホルモンにも影響するのかに興味を持ちました。
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