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November 15, 2015

食事によるがん予防の標的としての腫瘍血管新生(1)

Tumor Angiogenesis as a Target for Dietary Cancer Prevention

食事によるがん予防の標的としての腫瘍血管新生

Tumor Angiogenesis 腫瘍血管新生

Journal of Oncologyの記事より

http://www.hindawi.com/journals/jo/2012/879623/abs/

Abstract

要旨

Between 2000 and 2050, the number of new cancer patients diagnosed annually is expected to double, with an accompanying increase in treatment costs of more than $80 billion over just the next decade.

2000年から2050年の間に、毎年新たながん患者と診断される数は、今後10年以上だけで80億以上の治療費の増大を伴って、倍増すると予想されています。

Efficacious strategies for cancer prevention will therefore be vital for improving patients' quality of life and reducing healthcare costs. Judah Folkman first proposed antiangiogenesis as a strategy for preventing dormant microtumors from progressing to invasive cancer.

がん予防のための有効な戦略は、したがって、患者の生活の質を改善し、医療費を削減するために不可欠です。ユダフォークマンは、最初に、進行から浸潤がんになる休眠微小腫瘍を予防するための戦略として抗血管新生を提案した。

Antiangiogenesis  抗血管新生
dormant 休眠の
microtumor 微小腫瘍
invasive cancer  浸潤がん

Although antiangiogenic drugs are now available for many advancedmalignancies (colorectal, lung, breast, kidney, liver, brain, thyroid, neuroendocrine, multiple myeloma, myelodysplastic syndrome), cost and toxicity considerations preclude their broad use for cancer prevention.

血管新生阻害剤は、現在、多くの進行性固形がん(大腸、肺、乳、肝臓、脳、甲状腺、神経内分泌、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)に対して利用可能であるけれど、費用および毒性のことを考えるとがん予防ためにそれらを幅広く使用することを不可能にします。

antiangiogenic drugs 血管新生阻害剤
advanced malignancies 進行性固形がん

Potent antiangiogenic molecules have now been identified in dietary sources, suggesting that a rationally designed antiangiogenic diet could provide a safe, widely available, and novel strategy for preventing cancer.

強力な血管新生阻害分子が、今日、食物源に確認されていて、合理的にデザインされた血管新生阻害の食事ががん予防のための安全、広範囲に利用可能で、新たな戦略を提供出来るだろうことを示唆した。

dietary sources 食物源

This paper presents the scientific, epidemiologic, and clinical evidence supporting the role of an antiangiogenic diet for cancer prevention.

本論文では、がん予防のための血管新生阻害食事の役割を支持する科学的、疫学的、および臨床的証拠を提示します

用語

腫瘍血管新生について
北海道大学・遺伝子病制御研究所 フロンティア研究より
http://www.igm.hokudai.ac.jp/vascular-biology/research-details.html

成体における病的な血管新生のうち,最も重要なもののひとつに腫瘍血管新生(Tumor angiogenesis)があります.がん細胞は自らの増殖に必要な酸素・栄養の供給を得るために血管新生因子を放出し,血管新生を盛んに誘導します.このようにして新たに形成された腫瘍血管はがんの進展や転移に非常に重要です.

関連ブログ

莪朮(ガジュツ)精油の抗血管新生
Anti-angiogenesis effect of essential oil from Curcuma zedoaria in vitro and in vivo.
生体外および生体内で莪朮(ガジュツ)精油の抗血管新生作用
http://aromahonjin.way-nifty.com/blog/2010/12/post-de8c.html

お知らせ

日赤医療センター アロマ研究会 2015年11月例会
“精油に関するお話いろいろ”でお話することになりました。
日 時  11月19日(木)18時~19時20分
会 場  広尾日赤医療センター 3階 第4、5会議室
詳しくは下記にアクセスして下さい。
http://blog.goo.ne.jp/aromakenkyukai

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November 07, 2015

社会的情動の可塑性

The plasticity of social emotions.

社会的情動の可塑性

PUBMEDより

Soc Neurosci. 2015 Oct;10(5):466-73. doi: 10.1080/17470919.2015.1087427. Epub 2015 Sep 15.
Klimecki OM1,2.

Author information
•1a Swiss Center for Affective Sciences , University of Geneva , Geneva , Switzerland.

•Affective Sciences 感情科学

•2b Laboratory for the Study of Emotion Elicitation and Expression, Department of Psychology , University of Geneva , Geneva , Switzerland.

•Emotion Elicitation 情動喚起
•Emotion Expression 情動表現

Abstract

要旨

Social emotions such as empathy or compassion greatly facilitate our interactions with others. Despite the importance of social emotions, scientific studies have only recently revealed functional neural plasticity associated with the training of such emotions.

共感や思いやりなどの社会的情動は他人との対話を促進します。社会的情動の重要性にもかかわらず、最近、科学的研究がこのような情動に関係する機能的な神経可塑性を明らかにした。

neural plasticity 神経可塑性


Using the framework of two antagonistic neural systems, the threat and social disconnection system on the one hand, and the reward and social connection system on the other, this article describes how training compassion and empathy can change the functioning of these systems in a targeted manner.

一方では脅威と社会的切断システム、他方では報酬および社会的つながりシステム、2つの拮抗する神経システムの枠組みを用いて、この記事は、思いやりと共感を訓練する狙い通りにこれらシステムの機能を変化させることが出来ることを説明します。

antagonistic 拮抗する
threat 脅威

Whereas excessive empathic sharing of suffering can increase negative feelings and activations in the insula and anterior cingulate cortex (corresponding to the threat and social disconnection system), compassion training can strengthen positive affect and neural activations in the medial orbitofrontal cortex and striatum (corresponding to the reward and social connection system).

苦しみの過剰な共感的共有はネガティブな感情および島皮質や前帯状皮質(脅威と社会連結切断系に対応)の活性化を高めることになって、一方、思いやりの訓練はポジティブ感情および前頭前野皮質や線条体(報酬系と社会的つながり系に対応)の神経活性化を強化することになる。

insula cortex 島皮質(とうひしつ)
anterior cingulate cortex 前帯状皮質
threat 脅威
disconnection 連結切断
positive affect ポジティブ感情
medial orbitofrontal cortex  前頭前野皮質
striatum線条体(せんじょうたい)
reward system 報酬系
social connection 社会的なつながり

These neuroimaging findings are complemented by results from behavioral studies showing that compassion is linked to helping and forgiveness behavior, whereas empathic distress not only decreases helping behavior, but is even associated with increased aggressive behavior.

これらの神経画像の研究結果は、思いやりが援助行動および許しの行動に関係していることを示している行動研究によって補完されていて、一方、共感性苦悩は援助行動を減少させるばかりでなくて、攻撃的行動増加にも関連しています。

helping behavior 援助行動
empathic distress 共感性苦悩

Taken together, these data provide encouraging evidence for the plasticity of adaptive social emotions with wide-ranging implications for basic science and applied settings.

まとめてみると、これらのデータは、基礎科学と応用設定に対して幅広い意味を持っている適応的な社会情動の可塑性の支援証拠を提供します。

neuroimaging 神経画像

KEYWORDS: Aggression; Compassion; Empathy; Helping behavior; fMRI

キーワード:攻撃、思いやり、共感、援助行動、磁気共鳴機能画像法

用語

神経の可塑性 知恵蔵2015の解説
https://kotobank.jp/word/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E5%8F%AF%E5%A1%91%E6%80%A7-185307

神経系は外界の刺激などによって常に機能的、構造的な変化を起こしており、この性質を一般に“可塑性"と呼んでいる。神経の可塑性は大きく3つに分けられる。1つ目は脳が発生していく時や発達していく段階にみられる可塑性。2つ目は老化や障害を受けた時などに神経の機能単位が消失するが、それが補填・回復されていく場合。3つ目は記憶や学習などの高次の神経機能が営まれるための基盤となっているシナプスの可塑性(synaptic plasticity)である。特に神経科学にとっては3つ目が重要で、その機構についても徐々に明らかにされている。記憶には、短期記憶と長期記憶があるが、短期記憶は主にシナプスでの伝達効率の変化により、長期記憶はシナプス結合の数や形態の変化により達せられると考えられる。

情動 脳科学辞典より
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%83%85%E5%8B%95

情動(emotion)は、生体に入力された感覚刺激への評価に基づいて生ずる

1.生理反応(自律神経系、免疫系、内分泌系の反応)
2.行動反応(接近、回避、攻撃、表情、姿勢など)
3.主観的情動体験
の3要素からなる。この情動は短期的に生じる原初的な感情で、比較的強い反応と定義されており、中長期的にゆるやかに持続する強度の弱い気分(mood)とは区別される。また情動と気分の両者を総称して感情と定義することもある。しかしながら、情動と感情との区別にかかわる厳密な定義はなく、研究領域や研究者間によってその扱いが異なる点に注意が必要である。

anterior cingulate cortexを調べていたときに見つけた記事

過敏性腸症候群における直腸拡張刺激,

精神的ストレスの認知および脳血流に及ぼす影響

http://neuro-g.umin.jp/neuro-g/publication/5-kai%20PDF/9-1_31-33.pdf

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome;IBS)は,慢性・反復性の腹痛あるいは腹部不快感と便通異常があるにもかかわらず,症状を説明しうる器質的疾患が見出せない場合に診断される機能性消化管障害の代表的疾患である。IBSでは脳-腸相関を介してストレスにより症状が増悪し,腸管拡張刺激に対する知覚過敏が知られている。最近では脳イメージング(positron emissiontomography;PETなど)の進歩もあり,IBSにおける脳の活動部位の研究から,IBSでは痛みの中でもとりわけ内臓痛とその投射野である島(insula),
さらに感情・情動に関連する脳領域[前帯状皮質(anterior cingulate cortex;ACC)など]の活動の亢進が報告されているが,所見・解釈は一定していない1)。一般的に,ストレスがIBSの症状を悪化させることはよく知られているが,精神的ストレスにより直腸知覚閾値の上昇(気晴らし効果)が健常者ではみられるのに対し,IBS患者ではみられない2)。しかし,脳イメージングで腸管拡張刺激時における精神的ストレスの脳血流に関する報告はみられない。

報酬系
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%B1%E9%85%AC%E7%B3%BB

報酬系(ほうしゅうけい、英: reward system)とは、ヒト・動物の脳において、欲求が満たされたとき、あるいは満たされることが分かったときに活性化し、その個体に快の感覚を与える神経系のことである。ここでいう欲求には、喉の渇き・食欲・体温調整欲求といった生物学的で短期的なものから、他者に誉められること・愛されること・子供の養育など、より高次で社会的・長期的なものまで含まれる。認知心理学者は、ヒトにおいてはむしろ後者の欲求の方が、行動の決定に重要な役割を果たしていると主張している。
哺乳類の場合、報酬系は中脳の腹側被蓋野から大脳皮質に投射するドーパミン神経系(別名A10神経系)であると言われている。これは、覚醒剤やコカインなど依存性を有する薬剤の大部分は、ドーパミン賦活作用を持っていることからも支持される。また、動物において中脳に電極を挿入し、その個体がボタンを押すと電流が流れるような装置を作ると、とめどなく押し続けるという報告もある。

上記の論文で許しの行動の言葉が出てきたので許しに関する本を紹介します

本の紹介
人生を癒すゆるしのワーク  太陽出版
コリン・C. ティッピング (著), ジェームズ ハートランド (監修), Colin C. Tipping (原著), 菅野 禮子 (翻訳)
http://www.amazon.co.jp/%E4%BA%BA%E7%94%9F%E3%82%92%E7%99%92%E3%81%99%E3%82%86%E3%82%8B%E3%81%97%E3%81%AE%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF-%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BBC-%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0/dp/4884697308

著者の紹介はアマゾンより
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ティッピング,コリン・C.受賞作家であり、国際的な講演者、そしてワークショップの指導者である。ロンドン大学で学んだ。現在“The Institute for RADICAL Forgiveness Therapy and Coaching,Inc.”(根源的なゆるしのセラピーとコーチング研究所)において創設者兼代表をつとめている。また非営利法人である“The International Center for Reconciliation and Mediation Through Radical Forgiveness,Inc.”(根源的なゆるしをとおしての和解と調停のための国際センター)の創設者でもある

ハートランド,ジェームズ
ロサンジェルス生まれ。4歳のとき、自身のある過去生の記憶が、たいへんパワフルな一連の夢として現れ、それをきっかけにチベット最古の智恵ゾクチェンの探究と実践に生涯を捧げることとなる。UCLA卒業後、専門施設にてマッサージセラピストの免許を取得し、セラピストとして活動しながらソマティック心理学の5年課程トレーニングを修了。マインド‐ボディ教育のカウンセリング教育者として認定される。1984年から本格的にカウンセリングを開始し、2005年以降は、独自に統合したワーク全般を「アウェイク・ネイチャー」と名づけ、人びとに感情のヒーリングの重要性
を説くとともに、パーソナルグロース、非二元性のスピリチュアリティーを教えている

菅野/禮子
東京生まれ。京都芸術短期大学卒業。独自にスピリチュアリティーの探究にとりくむ途上でジェームズ・ハートランドと出会う。介護福祉士、鍼灸マッサージ師などの国家資格を取得し、仕事の経験を生かしながら2008年より「アウェイク・ネイチャー」に関する翻訳と通訳を担当。ジェームズとともに人間の心理やスピリチュアリティーについて探究し、勉強会を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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