カラマス精油・学名:Acorus calamus の主要成分β-アサロン(β-Asarone)について
お客さまからカラマス精油・学名:Acorus calamus の主要成分β-アサロンの含有量の問い合わせがありました。アサロンにはβ-アサロンとα-アサロンがあり、毒性があり、発癌物質で、禁忌になっています。β-アサロンについて知りたくなり、PUBMEDで検索しました。神経保護作用、抗ガン作用あり、一方、発癌物質α・β- アサロンの文献もありました。
下記はPUBMEDで調べた文献です。
β-アサロンは胃がん細胞の増殖を阻害する
β-Asarone inhibits gastric cancer cell proliferation
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26502896
アルツハイマー病に対するβ-アサロンの神経保護効果:シナプトフィジン(SYP)およびGluR1の発現増加によるシナプス可塑性の制御
Neuroprotective effect of β-asarone against Alzheimer’s disease: regulation of synaptic plasticity by increased expression of SYP and GluR1
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4841421/
synaptic plasticity シナプス可塑性
Synaptophysin (SYP) シナプトフィジン
GluR1 グルタミン酸受容体1型
β-アサロンおよびレボドパの同時投与は、ドーパミンおよびレボドパの線条体内量を増加させ、ドーパ脱炭酸酵素活性を増強することによってパーキンソン病ラットの行動能力を改善
β-asarone and levodopa coadministration increases striatal levels of dopamine and levodopa and improves behavioral competence in Parkinson's rat by enhancing dopa decarboxylase activity
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28787702
dopa decarboxylase ドーパ脱炭酸酵素
β-アサロンは、学習および記憶を改善し、ベクリン1依存性オートファジーを調節することによって、アミロイドβ前駆体タンパク質・APP / プレセニリン1・PS1トランスジェニックマウスにおけるアセチルコリンエステラーゼおよびベータアミロイド42レベルを低下させる。
β-asarone improves learning and memory and reduces Acetyl Cholinesterase and Beta-amyloid 42 levels in APP/PS1 transgenic mice by regulating Beclin-1-dependent autophagy.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27737765
Beclin-1:ベクリン1(腫瘍抑制因子の一種)
APP((Amyloid-beta Precursor Protein):アミロイドβ前駆体タンパク質
PS1(presenilin 1, PS1):プレセニリン1(アルツハイマー病の原因遺伝子)
transgenic mice:トランスジェニックマウス、遺伝子導入マウス -
autophagy.:オートファジー、自食作用
発癌物質β- アサロンの肝代謝
Hepatic metabolism of carcinogenic β-asarone.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26273788
肝ミクロソームにおける発癌物質α-アサロンの代謝
Metabolism of the carcinogen alpha-asarone in liver microsomes.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26678343
Microsome:ミクロソーム; 小胞体
Microsomes:代謝
用語
AMPA型グルタミン酸受容体
https://ja.wikipedia.org/wiki/AMPA%E5%9E%8B%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3%E9%85%B8%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93
AMPA型グルタミン酸受容体(-がたーさんじゅようたい)はグルタミン酸受容体の一種。人工アミノ酸であるAMPA(α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メソオキサゾール-4-プロピオン酸)を選択的に受容することから名づけられた。中枢神経系に広く分布し、記憶や学習に大きく関与する。他の主要なグルタミン酸受容体であるNMDA受容体が通常不活性の性質を持つため、中枢神経系におけるグルタミン酸性の興奮性シナプス伝達は、普段主にこの受容体によって行われているといえる
神経の可塑性 知恵蔵の解説
https://kotobank.jp/word/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E5%8F%AF%E5%A1%91%E6%80%A7-185307
神経系は外界の刺激などによって常に機能的、構造的な変化を起こしており、この性質を一般に“可塑性"と呼んでいる。神経の可塑性は大きく3つに分けられる。1つ目は脳が発生していく時や発達していく段階にみられる可塑性。2つ目は老化や障害を受けた時などに神経の機能単位が消失するが、それが補填・回復されていく場合。3つ目は記憶や学習などの高次の神経機能が営まれるための基盤となっているシナプスの可塑性(synaptic plasticity)である。特に神経科学にとっては3つ目が重要で、その機構についても徐々に明らかにされている。記憶には、短期記憶と長期記憶があるが、短期記憶は主にシナプスでの伝達効率の変化により、長期記憶はシナプス結合の数や形態の変化により達せられると考えられる。
オートファジー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%B8%E3%83%BC
オートファジー (Autophagy) は、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ。自食(じしょく)とも呼ばれる。酵母からヒトにいたるまでの真核生物に見られる機構であり、細胞内での異常なタンパク質の蓄積を防いだり、過剰にタンパク質合成したときや栄養環境が悪化したときにタンパク質のリサイクルを行ったり、細胞質内に侵入した病原微生物を排除することで生体の恒常性維持に関与している。このほか、個体発生の過程でのプログラム細胞死や、ハンチントン病などの疾患の発生、細胞のがん化抑制にも関与することが知られている。
トランスジェニックマウス 知恵蔵の解説
https://kotobank.jp/word/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%82%B9-185310
トランスジェニックマウスは、多分化能を持った胚性幹細胞(ES細胞)に人為的に外来遺伝子を導入し、発現させるようにしたマウス。様々な遺伝子がどのような機能を果たしているかを明らかにする手法。トランスジェニックマウスでは、組み込まれた遺伝子から生じるたんぱく質などの性質を観察、測定することで遺伝子の機能を解析できる。
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