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October 04, 2018

がん患者の治療におけるブラッククミンの治療的役割の可能性に関する考察:アポトーシスの関与: - ブラッククミンおよびがん

Review on the Potential Therapeutic Roles of Nigella sativa in the Treatment of Patients with Cancer: Involvement of Apoptosis: - Black cumin and cancer.

がん患者の治療におけるブラッククミンの治療的役割の可能性に関する考察:アポトーシスの関与: - ブラッククミンおよびがん

Nigella sativa:ブラッククミン 和名:黒種草 キンポウゲ科 クロタネソウ属

PUBMEDより

J Pharmacopuncture. 2017 Sep;20(3):158-172. doi: 10.3831/KPI.2017.20.019. Epub 2017 Sep 30.

Pharmacopuncture鍼灸治療

Mollazadeh H1, Afshari AR2, Hosseinzadeh H3.

Author information
1
Department of Physiology and Pharmacology, School of Medicine, North Khorasan University of Medical Sciences, Bojnurd, Iran.
2
Department of Pharmacology, School of Medicine, Mashhad University of Medical Sciences, Mashhad, Iran.
3
Pharmaceutical Research Center, Department of Pharmacodynamics and Toxicology, School of Pharmacy, Mashhad University of Medical Sciences, Mashhad, Iran.

Abstract

要旨

Nigella sativa (N. sativa, family Ranunculaceae) is a medicinal plant that has been widely used for centuries throughout the world as a natural remedy. A wide range of chemical compounds found in N. sativa expresses its vast therapeutic effects. Thymoquinone (TQ) is the main component (up to 50%) in the essential oil of N. sativa. Also, pinene (up to 15%), p-cymene (40%), thymohydroquinone (THQ), thymol (THY), and dithymoquinone (DTQ) are other pharmacologically active compounds of its oil. Other terpenoid compounds, such as carvacrol, carvone, 4-terpineol, limonenes, and citronellol, are also found in small quantities in its oil.

ブラッククミンは自然療法として世界中で何世紀も幅広く使用されている薬用植物です。ブラッククミンにみられる幅広い化合物はその広範囲な治癒効果を示しています。チノキモンはブラッククミン精油(最大50%)の主要成分です。また、ピネン(最大15%), p-サイメン (40%)、チモヒドロキノン (THQ)、チモール(THY)、およびジチモキノン(DTQ) はその精油の他の薬理学的活性成分です。カルバクロール、カルボン、テルピネオール4-ol、リモネン、およびシトロネロールなどの他のテルペノイド化合物も、その精油中に少量みられます。

The main pharmacological characteristics of this plant are immune system stimulatory, anti-inflammatory, hypotensive, hepatoprotective, antioxidant, anti-cancer, hypoglycemic, anti-tussive, milk production, uricosuric, choleretic, anti-fertility, and spasmolytic properties.In this regard, we have searched the scientific databases PubMed, Web of Science, and Google Scholar with keywords of N. sativa, anti-cancer, apoptotic effect, antitumor, antioxidant, and malignancy over the period from 2000 to 2017.

この植物の薬理学的特性は、免疫系刺激、抗炎症、血圧降下、肝臓保護、抗がん、鎮咳、母乳分泌、尿酸排泄、胆汁排泄促進、胆汁排泄促進、および抗けいれん作用です。これに関連して、私たちは2000年から2017年の間でブラッククミン、抗がん、アポトーシス作用、抗腫瘍、抗酸化、および悪性腫瘍のキーワードを用いて、PubMed, Web of Science, and Google Scholarのデータベースを検索しました。

pharmacological characteristics 薬理学的特性
hypotensive,血圧降下
hypoglycemic 低血糖
anti-tussive 鎮咳
milk production 母乳分泌
uricosuric 尿酸排泄
anti-fertility 避妊
choleretic 胆汁排泄促進
malignancy 悪性腫瘍

The effectiveness of N. sativa against cancer in the blood system, kidneys, lungs, prostate, liver, and breast and on many malignant cell lines has been shown in many studies, but the molecular mechanisms behind that anti-cancer role are still not clearly understood.

血液系、腎臓、肺、前立腺、肝臓や乳房のがんに対して、および多くの悪性腫瘍細胞株に対するブラッククミンの効果は多くの研究で示されてきたが、その抗がんの役割の背後にある分子機序は依然として明確に理解されていない。

blood system 血液系
molecular mechanisms 分子機序

From among the many effects of N. sativa, including its anti-proliferative effect, cell cycle arrest, apoptosis induction, ROS generation, anti-metastasis/anti-angiogenesis effects, Akt pathway control, modulation of multiple molecular targets, including p53, p73, STAT-3, PTEN, and PPAR-γ, and activation of caspases, the main suggestive anti-cancer mechanisms of N. sativa are its free radical scavenger activity and the preservation of various anti-oxidant enzyme activities, such as glutathione peroxidase, catalase, and glutathione-S-transferase.

ブラッククミンの多くの作用のなかには、抗増殖作用、細胞周期停止、アポトーシス誘導、活性酸素種(ROS)発生、抗転移/血管新生阻害作用、Akt経路制御、がん抑制遺伝子のp53,・p73、シグナル伝達兼転写活性化因子STAT-3、腫瘍抑制因子の7PTENペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(ガンマ)PPAR-γ、およびカスパーゼ活性化を含む複数分子標的の調節があり、ブラッククミンの主要な示唆的な抗がんメカニズムは、フリーラジカル消去活性、およびグルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼやグルタチオン-S-トランスフェラーゼなどの様々な抗酸化酵素活性の保存である。

anti-proliferative effect 抗増殖作用
cell cycle arrest 細胞周期停止
apoptosis induction アポトーシス誘導
ROS (Reactive Oxygen Species:):活性酸素種
anti-metastasis 抗転移
antiangiogenesis effect 血管新生阻害作用
free radical scavenger activity フリーラジカル消去活性
antioxidant enzyme 抗酸化酵素
glutathione peroxidase グルタチオンペルオキシダーゼ
catalase カタラーゼ
glutathione-S-transferase グルタチオン-S-トランスフェラーゼ


In this review, we highlight the molecular mechanisms of apoptosis and the anti-cancer effects of N. sativa, with a focus on its molecular targets in apoptosis pathways.

このレビューでは、私たちはアポトーシス経路における分子標的に焦点を当て、ブラッククミンのアポトーシスおよび抗癌作用の分子機序を強調します。

KEYWORDS:

キーワード:

Nigella sativa; anti-proliferative; antioxidant; apoptosis; cancer; programmed cell death

ブラッククミン; 抗増殖剤; 抗酸化剤; アポトーシス; 癌; プログラム細胞

用語
p53遺伝子
https://ja.wikipedia.org/wiki/P53%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%9

p53遺伝子(ピー53いでんし)とは、一つ一つの細胞内でDNA修復や細胞増殖停止、アポトーシスなどの細胞増殖サイクルの抑制を制御する機能を持ち、細胞ががん化したときアポトーシスを起こさせるとされる。この遺伝子による機能が不全となるとがんが起こると考えられている、いわゆる癌抑制遺伝子の一つ。

ATM/IKK-/p73経路:新たなp53非依存性アポトーシス誘導制御誘導
http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/11/80-05-04.pdf

1997年に分離,同定されたp73はがん抑制遺伝子産物であるp53の新たなファミリーメンバーであり,p53と同様に核内転写制因子として機能し,がん細胞の細胞周期停止や細胞死(アポトーシス)を誘導する生物活性を持つ1,2).p53の機能喪失を伴う遺伝子変異は約50% のヒト腫瘍組織で検出されるが,我々が行った精力的な変異解析の結果,腫瘍組織におけるp73の変異は極めて稀であることが判明した.従って,p53とは異なりp73は多くの腫瘍組織において正常型として発現していることになる3)

シグナル伝達兼転写活性化因子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%AB%E4%BC%9D%E9%81%94%E5%85%BC%E8%BB%A2%E5%86%99%E6%B4%BB%E6%80%A7%E5%8C%96%E5%9B%A0%E5%AD%90

シグナル伝達兼転写活性化因子あるいは略してSTAT(すたっと-、英: Signal Transducers and Activator of Transcription, Signal Transduction and Activator of Transcription, STAT)は、細胞増殖、分化および生存などの過程を制御するタンパク質であり、その名の通りシグナル伝達と転写活性化の双方において働く分子である。STATは非活性化状態においては細胞質に存在するがJAK(ヤーヌスキナーゼ)が活性化されることによってリン酸化を受け、核内へ移行して目的遺伝子を活性化する転写因子として機能する。この活性化経路はJAK-STAT経路と呼ばれており、JAK-STAT経路の制御不全は悪性腫瘍形成の初期の過程などにしばしば見られ、血管新生や腫瘍の生存延長、免疫抑制などを引き起こす。

PTEN遺伝子は1997年に腫瘍抑制因子として同定され[1][2]、染色体上の10q23.3に位置している。PTENタンパク質の構造中にはホスファターゼドメインとC2ドメインが含まれることがX線構造解析により明らかにされており、ホスファターゼドメインはPTENの酵素活性中心部位であり、C2ドメインは生体膜のリン脂質との結合に重要な部位である。PTENタンパク質は広く全身の細胞に発現しているが、特に上皮系の細胞に発現が高い。

PPARγ(ピーピーエイアールガンマ、Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ, NR1C3)とは核内受容体スーパーファミリーに属するタンパク質であり、転写因子としても機能する。「ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(ガンマ)」と和訳されることもある。PPARはα、β/δ、γの3種類のサブタイプが存在し、その中でもPPARγにはPPARγ1とγ2、γ3の少なくとも3種類のアイソフォームが存在することが知られている。選択的スプライシングの産物であるこれらのアイソフォームはそれぞれ発現や分子構造が異なる。PPARγは主に脂肪組織に分布して脂肪細胞分化などに関与するほか、マクロファージや血管内皮細胞などにも発現が見られる。インスリン抵抗性改善薬の標的分子でもある。

グルタチオンペルオキシダーゼ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%81%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%BC

グルタチオンペルオキシダーゼ(glutathione peroxidase)は、主な生物学的役割が酸化的損傷からの有機体の保護であるペルオキシダーゼ活性を有する酵素ファミリーの一般名である。グルタチオンペルオキシダーゼの生化学的機能は、脂質ヒドロペルオキシドの対応するアルコールへの還元と遊離過酸化水素の水への還元である。

お知らせ

三上杏平先生精油化学講座:アロマテラピーのための精油の化学入門(2018年11月3日・土)のお知らせ

http://aromahonjin.way-nifty.com/blog/

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