ゲラニオールの抗腫瘍効果:がんのホールマーク(特徴)経路の調節(レビュー)
The antitumor effects of geraniol: Modulation of cancer hallmark pathways (Review)
ゲラニオールの抗腫瘍効果:癌のがんのホールマーク(特徴)経路の調節(レビュー)
PUBMEDより
Int J Oncol. 2016 May; 48(5): 1772–1782.
Int J Oncol The International Journal of Oncology
Oncology 腫瘍学
MINSOO CHO,1 INSUK SO,2,3 JUNG NYEO CHUN,2,3 and JU-HONG JEON2,3
Abstract
要旨
Geraniol is a dietary monoterpene alcohol that is found in the essential oils of aromatic plants. To date, experimental evidence supports the therapeutic or preventive effects of geraniol on different types of cancer, such as breast, lung, colon, prostate, pancreatic, and hepatic cancer, and has revealed the mechanistic basis for its pharmacological actions.
ゲラニオールは芳香植物の精油にみられる食事性のモノテルペンアルコールです。現在まで、実験的証拠は、乳がん、肺がん、結腸がん、前立腺がん、すい臓がん、および肝臓がんなどの様々なタイプのがんへの治療または予防効果を裏付けており、その薬理効果に対する基本メカニズムを明らかにした。
mechanistic basis 基本メカニズム
In addition, geraniol sensitizes tumor cells to commonly used chemotherapy agents. Geraniol controls a variety of signaling molecules and pathways that represent tumor hallmarks; these actions of geraniol constrain the ability of tumor cells to acquire adaptive resistance against anticancer drugs.
さらに、ゲラニオール一般的に使用される化学療法剤に対して腫瘍細胞を感作する。ゲラニオールは腫瘍のホールマーク(特徴)を表す様々なシグナル伝達分子および経路を制御する。ゲラニオールのこれらの作用は腫瘍細胞が抗がん剤に対する適応耐性を獲得する能力を制限する。
adaptive resistance 適応耐性
In the present review, we emphasize that geraniol is a promising compound or chemical moiety for the development of a safe and effective multi-targeted anticancer agent.
本レビューでは、私たちは、ゲラニオールが安全で効果的な多標的抗がん剤のための有望な化合物または化学的部分であることを強調する。
We summarize the current knowledge of the effects of geraniol on target molecules and pathways in cancer cells. Our review provides novel insight into the challenges and perspectives with regard to geraniol research and to its application in future clinical investigation.
私たちはがん細胞における標的分子および経路へのゲラニオール効果の現状認識を要約する。私たちのレビューは、ゲラニオールの研究と今後の臨床研究への応用に関する課題と展望についての洞察を提供します。
Keywords: geraniol, cancer, cancer hallmark, antitumor effect, molecular mechanism
ケーワード:ゲラニオール、がん、がんのホールマーク(特徴)、抗腫瘍効果、分子機序
用語
*がんのホールマーク
https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/3568.html
がんの分子標的治療の標的となる分子の同定には,がんの特徴,つまり,がん細胞と正常細胞,がん組織と正常組織がどのように異なるのかを明らかにすることがまず重要である.Weinbergらは,2000年にCell誌において「がんのホールマーク(特徴)」として,細胞死の耐性,転移能の獲得などの6つの主要ながんの特徴を提案している.このレビューは,2011年にアップデートされている.
adaptive resistance 適応耐性を調べていたときに見つけた資料
*第I章 がん治療の基礎知識 2.抗がん剤の理論と適応
theory and adaptation of chemotherapy
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/canceruptodate/utd/201310/533090.html
どのような薬物療法を行うかは、そのがん種、がんの進行状態、患者の状態、治療目的などを総合して判断される。そのうえで、腫瘍内科医は治療により期待しうる効果とそれに伴うリスク、毒性を明確に患者に伝えたうえで治療を行う。治療目的が治癒、延命、症状緩和なのかによって患者の治療に対する取り組み、姿勢、生き方が変わってくるため、正確な判断が求められる。
*なぜ、がん細胞は抗がん剤耐性を持つようになるのか? - 慶応大が機構を解明
https://news.mynavi.jp/article/20140320-a333/
がんは国内死亡原因の第1位であり、その克服に向け、さまざまな研究が行われてきた。近年の研究から、がん細胞は正常細胞よりもブドウ糖を多く取り込むこと、ならびに正常細胞と異なり、酸素の有無に関わらずブドウ糖を乳酸に変換する代謝系である解糖系を主に利用し、がん細胞のエネルギー源となるアデノシン三リン酸(ATP)を作ること、そして、ストレスに対する耐性を持つことなどが分かってきた。中でもストレスに対する耐性は、抗がん剤も含まれるため、抗がん剤を使用し続けると、耐性を獲得してしまい、治療の障壁となることが課題となっていた。
*部分 (化学)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%A8%E5%88%86_(%E5%8C%96%E5%AD%A6)
有機化学において、部分(ぶぶん、英: moiety)とは、文字通り分子の一部分を指すために用いられる用語である[1]。より大きな「部分」はしばしば官能基である[2] 。
官能基は似た化学反応に関与する部分であり、ほとんどの分子が含んでいる[3]。次に、官能基の一部分は「部分」と呼ばれる。例えば、パラヒドロキシ安息香酸メチルはアシル部分内にフェノール官能基を含み、次にアシル部分はパラベン部分の一部である。 炭化水素分子の主鎖から伸びた枝「部分」は置換基あるいは側鎖と呼ばれる。
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