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October 15, 2018

ゲラニオールのパーキンソン病に対する効果(細胞実験)

Geraniol Protects Against the Protein and Oxidative Stress Induced by Rotenone in an In Vitro Model of Parkinson's Disease.

ゲラニオールは、パーキンソン病のインビトロモデルにおいて、ロテノン誘発タンパク質および酸化ストレスに対して保護する。

Rotenone ロテノン

PUBMEDより

Neurochem Res. 2018 Oct;43(10):1947-1962. doi: 10.1007/s11064-018-2617-5. Epub 2018 Aug 23.

Neurochem Res : Neurochemical Research 神経化学の研究

Rekha KR1, Inmozhi Sivakamasundari R2.

Author information
1
Division of Biochemistry, Faculty of Medicine, Raja Muthaiah Medical College, Annamalai University, Annamalai Nagar, Tamilnadu, 608 002, India.

2
Division of Biochemistry, Faculty of Medicine, Raja Muthaiah Medical College, Annamalai University, Annamalai Nagar, Tamilnadu, 608 002, India.

Abstract

要旨

Dysfunction of autophagy, mitochondrial dynamics and endoplasmic reticulum (ER) stress are currently considered as major contributing factors in the pathogenesis of Parkinson's disease (PD). Accumulation of oxidatively damaged cytoplasmic organelles and unfolded proteins in the lumen of the ER causes ER stress and it is associated with dopaminergic cell death in PD.

現在、オートファジー、ミトコンドリア動態および小胞体(ER)ストレスの機能不全はパーキンソン病(PD)病因における主要な寄与因子として考えられています。小胞体(ER)内腔における酸化的損傷を受けた細胞小器官および変性タンパク質の蓄積が小胞体ストレスを引き起こし、それはパーキンソン病(PD)におけるはドーパミン作動性細胞死に関連する。

mitochondrial dynamics ミトコンドリア動態
endoplasmic reticulum (ER) 小胞体
contributing factors 寄与因子
cytoplasmic organelles細胞小器官
unfolded protein 変性タンパク質
dopaminergic ドーパミン作動性の

Rotenone is a pesticide that selectively kills dopaminergic neurons by a variety of mechanism, has been implicated in PD. Geraniol (GE; 3,7-dimethylocta-trans-2,6-dien-1-ol) is an acyclic monoterpene alcohol occurring in the essential oils of several aromatic plants.

ロテノンは、さまざまなメカニズムによってドーパミン作動性ニューロンを選択的に殺す殺虫剤であり、パーキンソン病(PD)に関与しています。ゲラニオール(GE; 3,7-ジメチルオクタ - トランス-2,6-ジエン-1-オール)は、いくつかの芳香族植物の精油に生じる非環式モノテルペンアルコールである。

In this study, we investigated the protective effect of GE on rotenone-induced mitochondrial dysfunction dependent oxidative stress leads to cell death in SK-N-SH cells. In addition, we assessed the involvement of GE on rotenone-induced dysfunction in autophagy machinery via α-synuclein accumulation induced ER stress.

本研究では、私たちは、ロテノン誘発ミトコンドリア機能不全依存性酸化ストレスに対するゲラニオールの保護効果が神経芽細胞腫SK-N-SH細胞の細胞死を導くことを調査した。さらに、私たちは小胞体ストレス誘発αシヌクレイン蓄積を介してオートファジー(自食作用)装置のロテノン誘発機能不全に対するゲラニオールの関与を評価した。

We found that pre-treatment of GE enhanced cell viability, ameliorated intracellular redox, preserved mitochondrial membrane potential and improves the level of mitochondrial complex-1 in rotenone treated SK-N-SH cells. Furthermore, GE diminishes autophagy flux by reduced autophagy markers, and decreases ER stress by reducing α-synuclein expression in SK-N-SH cells.

私たちは、ゲラニオールの前処理が細胞生存率を高め、細胞内酸化還元を改善し、ミトコンドリア膜電位を保持し、ロテノン処理神経芽細胞腫SK-N-SH細胞のミトコンドリア複合体-1のレベルを改善することを発見した。さらに、ゲラニオールはオートファジーマーカー減少によってオートファジーの流れを減少させ、神経芽細胞腫SK-N-SH細胞におけるαシヌクレイン発現を減少させることによって小胞体(ER)ストレスを減少させる。

cell viability 細胞生存率
redox 酸化還元
mitochondrial membrane potential ミトコンドリア膜電位
mitochondrial complex-1 ミトコンドリア複合体-1

Our results demonstrate that GE possess its neuroprotective effect via reduced rotenone-induced oxidative stress by enhanced antioxidant status and maintain mitochondrial function. Furthermore, GE reduced ER stress and improved autophagy flux in the neuroblastomal SK-N-SH cells. The present study could suggest that GE a novel therapeutic avenue for clinical intervention in neurodegenerative diseases especially for PD.

私たちの研究結果は、ゲラニオールが抗酸化状態の増強よってロテノン誘発酸化ストレスの減少を介してその神経保護作用を保持していて、ミトコンドリア機能を維持することを証明しています。さらに、ゲラニオールは小胞体ストレスを減少させ、神経芽細胞腫SK-N-SH細胞におけるオートファジーの流れを改善した。

KEYWORDS:

キーワード

Autophagy; Cytoplasmic organelles; Geraniol; Neurodegeneration; Oxidative stress、Parkinson’s disease

オートファジー(自食作用)、細胞小器官、ゲラニオール、神経変性、酸化ストレス、パーキンソン病


用語

Rotenone ロテノン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%86%E3%83%8E%E3%83%B3

ロテノン (rotenone) は無臭の化合物で、フェニルプロパノイドの一種である。殺虫剤・殺魚剤・農薬として広く効果を持つ。天然にはある種の植物の根や茎に含まれる。ラットに投与するとパーキンソン症候群の原因となる。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている[1]

小胞体ストレス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E8%83%9E%E4%BD%93%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9

小胞体ストレス(しょうほうたいストレス, Endoplasmic reticulum (ER) stress)とは、正常な高次構造にフォールディングされなかったタンパク質(変性タンパク質; unfolded protein)が小胞体に蓄積し、それにより細胞への悪影響(ストレス)が生じることである。

α-シヌクレイン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%CE%91-%E3%82%B7%E3%83%8C%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B3

α-シヌクレイン (あるふぁ-しぬくれいん) はSNCA 遺伝子によってエンコードされるアミノ酸140残基からなるタンパク質[5][6][7]。

このタンパクの断片が、アルツハイマー病に蓄積するアミロイド中の (主な構成成分であるアミロイドベータとは別の) 成分として発見され、もとのタンパク質がNACP (Non-Abeta component precursor 非アミロイド成分の前駆体) と命名された。後にこれがシビレエイ属のシヌクレインタンパクと相同であることがわかり、ヒトα-シヌクレインと呼ばれるようになった。

α-シヌクレインの蓄積は、パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患 (いわゆるシヌクレイノパチー) の原因とされている[8][9]。

生体内のレドックス変化を可視化する
http://www.res.titech.ac.jp/news/reserch/post_75.html

レドックス(redox) とは、還元(reduction)と酸化(oxidation)を合わせた造語で、文字通り酸化還元の意味である。 生体内では、還元物質であるNADHやNADPHの酸化還元の伴う様々な酵素反応が行われて、いわゆる代謝反応全体を駆動しているので、生体内の酸化還元状態は生命を維持する極めて重要なファクターと言うことになる。また、私たちの体内のエネルギー生産装置であるミトコンドリアの呼吸鎖や、植物の光エネルギー変換装置である葉緑体の光合成電子伝達系では、常に還元力を生み出しているので、好気的代謝の副産物として、スーパーオキシドやヒドロキシラジカル、一重項酸素、過酸化水素など非常に強い酸化力を持つ活性酸素種(ROS : reactive oxygen species)が生じることで、日常的に酸化ストレスに曝されることになる。これらのROSは、生体内のタンパク質、脂質など重要な生体構成成分を酸化してしまうため、生体内にはこれらの酸化ストレスに対する防御システムも発達しているが、このシステムもまた酸化還元反応によって成り立っている。

 一方、生体内で働いている酵素の中には、酵素分子自身が酸化や還元をされることによってその酵素活性を変化させる、すなわち、生体内環境の変化に応じて活性が調節されている例が数多くある。例えば、光合成反応では、光が当たっているときにだけ二酸化炭素から糖が合成される反応(炭素同化反応)が行われているが、この反応に関わるいくつかの酵素は還元されると酵素活性がオンになるスイッチを備えていて、昼と夜の反応の制御を行っている(図1)。

autophagy fluxを調べていた時に見つけた文献

有酸素運動及び薬物治療はオートファジーを調節することで大腸癌におけるカヘキシアを抑制する
http://jspt.japanpt.or.jp/eibun/2017/1703-2.html

オートファジーを生理学的なレベルに保つことはミスフォールディングが生じたタンパク質や損傷したオルガネラの除去に必要であり、凝集化タンパク質の蓄積を防止する。それゆえ、オートファジーは筋の恒常性の保持に重要な役割を果たしていると言える。オートファジーは筋萎縮に直接的に関与しており、我々はLC3B-IIとp62のタンパク質発現レベルが、大腸癌患者の筋生検とC26マウスの筋において同様のパターンを示すことを発見した。これは、autophagic fluxが骨格筋で変化していることを示唆している。我々の知見と一致し、近年の研究で、骨格筋におけるオートファジーの過剰な活性化が、癌性筋萎縮に寄与することが明らかとされている。しかしながらその研究においては、コルヒチン投与によりオートファゴソーム形成後のautophagic fluxをブロックすると、C26マウスが致死に至ることから、癌性カヘキシアにおいては、オートファジーの完全な抑制は有害であると考えられる。さらに、AICARやrapamycinといったオートファジーを誘導する2つの薬剤が癌性カへキシアにおける筋の恒常性を改善するという事実は、カヘキシアがオートファジーによって抑制されうるという考えを支持するものである。

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