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March 26, 2019

直接脳への鼻腔内薬物送達メカニズム

お知らせ
三上杏平先生精油化学講座:「植物の二次代謝とその代謝物の薬理効果」(2019年4月13日・土)のお知らせ
http://aromahonjin.way-nifty.com/blog/2019/03/2019413-e73b.html


前回の投稿でペリリルアルコールを鼻腔内投与によって血液脳関門を迂回して脳に送達し、脳腫瘍に効果があったことを紹介しました。今回の記事は薬物がどの経路通って脳に到達するのかを説明しています。鼻腔内経路は鼻腔から嗅神経および三叉神経に沿って脳に直接薬剤を輸送できます。これから研究が進むと精油成分を鼻腔内投与することによってアルツハイマー病などに役に立つ精油成分が出て来るかもしれない。


直接脳への鼻腔内薬物送達メカニズム


Mechanism of intranasal drug delivery directly to the brain.


intranasal 鼻腔内
drug delivery 薬物送達


PUBMEDEより


Life Sci. 2018 Feb 15;195:44-52. doi: 10.1016/j.lfs.2017.12.025. Epub 2017 Dec 22.


Crowe TP1, Greenlee MHW1, Kanthasamy AG1, Hsu WH2.
Author information1Department of Biomedical Sciences, Iowa State University, Ames, USA.
2Department of Biomedical Sciences, Iowa State University, Ames, USA.


Abstract


要旨


Neurological diseases are becoming increasingly prominent worldwide due to rapidly aging populations, which greatlycontributes to increasing healthcare costs. The development of neuroprotective drugs has so far proven exceptionally difficult due to the blood-brain barrier.


神経性疾患は急速な高齢化人口のために世界中でますます顕著になってきておりそれは医療費増加の大きくな原因となっています。 神経保護薬の開発は血液脳関門のために非常に困難であることが証明された。


neurological disease 神経性疾患
neuroprotective drugs 神経保護薬


One novel approach to address this challenge is to administer drugs intranasally to noninvasively bypass the blood-brain barrier. The intranasal route can thus transport drugs directly to the brain from the nasal cavity along the olfactory and trigeminal nerves. The purpose of this review is to describe the details of this mechanism to better direct future research.


この課題に取り組むための一つの新たなアプローチは鼻腔内に薬物を投与して、非侵襲的に血液脳関門を迂回することです。したがって、鼻腔内経路は鼻腔から嗅神経および三叉神経に沿って脳に直接薬剤を輸送できます。このレビューの目的は、より良い将来の研究を導くためにこのメカニズムの詳細を説明することです。


noninvasively 非侵襲的に
olfactory nerve.嗅神経
trigeminal nerve 三叉神経
nasal cavity 鼻腔


The intranasal route is composed of two pathways, one being intracellular while the other being extracellular. The intracellular pathway begins with endocytosis by olfactory sensory cells, followed by axonal transport to their synaptic clefts in the olfactory bulb where the drug is exocytosed. This transynaptic process is repeated by olfactory neurons, thereby distributing the drug to other brain regions.


鼻腔内経路は2つの経路はから構成されています。一つは細胞内で、一方は細胞外です。細胞内経路は嗅神経細胞によるエンドサイトーシス(細胞内取り込み)から始まり、続いて薬物がエキソサイトーシスされる嗅球内のそれらのシナプス間隙への軸索輸送が続く。この経シナプスプロセスは嗅覚ニューロンによって繰り返され、それによって薬物を他の脳領域に分配する。


intracellular 細胞内の
extracellular 細胞外の
endocytosis:エンドサイトーシス(細胞内取り込み)
olfactory sensory cells 嗅神経細胞
axonal transport軸索輸送
synaptic clefts シナプス間隙
olfactory bulb 嗅球
transsynaptic 経シナプス性の


In the extracellular mechanism, drugs are transported directly into the cerebral spinal fluid by first passing through the paracellular space across the nasal epithelium, then through the perineural space to the subarachnoid space of the brain. With a growing body of evidence and trials in both rodent and human models, this is an exciting area for research as therapeutics come to market.


細胞外メカニズムでは、薬物は、最初に鼻上皮を横切って傍細胞間隙を通過し、次に神経周囲腔を通過して脳のくも膜下腔へと通過することによって、脳脊髄液に直接輸送される。げっ歯類モデルとヒトモデルの両方で増大するエビデンスと試験があるため、治療薬が市場に出るにつれて、これは研究にとってエキサイティングな分野です。


cerebral spinal fluid 脳脊髄液
paracellular space 傍細胞間隙
nasal epithelium 鼻上皮
paracellular space神経周囲腔
subarachnoid space くも膜下腔


用語
エンドサイトーシス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%B9


エンドサイトーシス (endocytosis) とは細胞が細胞外の物質を取り込む過程の1つ。細胞に必要な物質のあるものは極性を持ちかつ大きな分子であるため、疎水性の物質から成る細胞膜を通り抜ける事ができない、このためエンドサイトーシスにより細胞内に輸送される。エキソサイトーシスとは反対の現象であり、これとは逆に細胞膜の一部から小胞を形成する。エンドサイトーシスは、取り込む物質の種類やその機構の違いから、食作用(しょくさよう、phagocytosis)と、飲作用(いんさよう、pinocytosis)とに大別される。


Nose-to-Brainを調べていた時に見つけた記事


日本大学薬学部 薬剤学研究室
http://yakuzai.pha.nihon-u.ac.jp/theme/


研究テーマ
バイオ医薬の鼻腔から脳への(Nose-to-Brain; N2B)送達システムの開発


血液脳関門(Blood-brain barrier; BBB)は血液中から脳への薬物の透過を防いでいるため、薬物による中枢神経疾患の治療を制限している。薬物の鼻腔内投与は、BBBを回避し、薬物を直接脳内(中枢神経系CNS)に送り込むことができる可能性が高いことから、CNSの薬物治療のための優れた投与経路になり得ることが期待されている。したがって、脳の機能異常を修復しうるバイオ医薬にとって、経鼻ルートから脳への部位特異的なN2B薬物送達戦略が必須となる。

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