嗅上皮細胞における新型コロナウイルスSARS-CoV-2の侵入タンパク質、アンジオテンシン変換酵素II(ACE2)およびSARS-CoV-2ウイルス侵入を活性化するプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)TMPRSS2ACE2の発現:細胞タイプの同定および加齢による傾向(マウス実験)
Expression of the SARS-CoV-2 Entry Proteins, ACE2 and TMPRSS2, in Cells of the Olfactory Epithelium: Identification of Cell Types and Trends with Age
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acschemneuro.0c00210
嗅上皮細胞における新型コロナウイルスの侵入タンパク質、アンジオテンシン変換酵素II(ACE2)およびプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)TMPRSS2ACE2の発現:細胞タイプの同定および加齢による傾向
Abstract
要旨
The COVID-19 pandemic revealed that there is a loss of smell in many patients, including in infected but otherwise asymptomatic individuals. The underlying mechanisms for the olfactory symptoms are unclear.
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、感染したが無症候の個人を含む多くの患者に嗅覚喪失があることが明らかになりました。嗅覚症状の根本的なメカニズムは不明です。
Asymptomatic 無症候の
Using a mouse model, we determined whether cells in the olfactory epithelium express the obligatory receptors for entry of the SARS-CoV-2 virus by using RNAseq, RT-PCR, in situ hybridization, Western blot, and immunocytochemistry.
マウスモデルを用いて、嗅上皮細胞が、RNAシーケンス、RT-PCR法(逆転写・ポリメラーゼ連鎖反応)、in situハイブリダイゼーション、ウエスタンブロット、および免疫細胞化学法を使用して、新型コロナウイルスのウイルスの侵入に対する必須受容体を発現するかどうかを確認しました
olfactory epithelium 嗅上皮
in situ hybridization:in situ ハイブリダイゼーション(インサイチュー ハイブリダイゼーション、in situ hybridization、ISH)用語説明あり
in situ:ラテン語で「本来の場所で」
hybridizationハイブリダイゼーション(異種交配)
RNAseq :RNAシーケンス
RT-PCR法 用語説明あり
RT:Reverse Transcription 逆転写
PCR(Polymerase Chain Reaction):ポリメラーゼ連鎖反応
immunocytochemistry免疫細胞化学法We show that the cell surface protein ACE2 and the protease TMPRSS2 are expressed in sustentacular cells of the olfactory epithelium but not, or much less, in most olfactory receptor neurons.
細胞表面タンパク質アンジオテンシン変換酵素II(ACE2)およびプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)TMPRSS2が嗅上皮の支持細胞で発現しているが、ほとんどの嗅覚受容体ニューロンでは発現していないことを示しています。
Protease プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)
TMPRESS2: Transmembrane protease, serine 2、II型膜貫通型セリンプロテアーゼ
Transmembrane 膜貫通
Serine:セリン(タンパク質を構成するアミノ酸の一。化学式 C3H7NO3 板状結晶で水によく溶ける。弱い甘味をもつ。絹成分のセリシンに最も多く含まれる)
sustentacular cells of the olfactory epithelium:嗅上皮の支持細胞
嗅上皮は形態的に表層(支持細胞)・中間層(嗅神経細胞)・基底層(基底細胞)
上記は嗅神経細胞の再生より 用語解説あり
These data suggest that sustentacular cells are involved in SARS-CoV-2 virus entry and impairment of the sense of smell in COVID-19 patients. We also show that expression of the entry proteins increases in animals of old age. This may explain, if true also in humans, why individuals of older age are more susceptible to the SARS-CoV-2 infection.
これらのデータは、支持細胞がSARS-CoV-2ウイルスの侵入と新型コロナウイル患者の嗅覚障害に関与していることを示唆しています。 また、老齢の動物では侵入タンパク質の発現が増加することも示しています。 これは、人間にも当てはまるのであれば、なぜ高齢者が新型コロナ感染にかかりやすいのかを説明しているのかもしれません。
用語
RT-PCR法
http://www.kenq.net/dic/34.html
RTとはReverse Transcriptionの略で、逆転写を意味します。
逆転写とは、RNAを鋳型としてDNAを合成することで、逆転写により合成されたDNAをcDNA(cは“相補的”を意味する“complementary”の頭文字です。)と呼びます。
RT-PCRは、cDNAを用いてPCRを行う方法です。
本手法により、タンパク質をコードする遺伝子を選択的に増幅したり、少量しか存在しないmRNAを増幅して解析に使用することが可能となりました。また、遺伝子発現解析の手法としても利用されています。
DNAを増幅する最の基本的な原理は通常のPCRと同じです。
逆転写の過程も含めたRT-PCRの原理を下図に示しています。
免疫組織化学法とは
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%85%8D%E7%96%AB%E7%B5%84%E7%B9%94%E5%8C%96%E5%AD%A6%E6%B3%95
免疫組織化学法は、特定の抗原 (antigen)に結合する抗体 (antibody)との抗原抗体反応を利用して、抗原物質の局在やそれを発現する細胞要素を可視化する組織化学法を指す[1]。特に、培養細胞などの単離細胞を染色する方法を免疫細胞化学法 (immunocytochemistry)として呼び分ける場合、免疫組織化学法は組織切片や個体全体を染色する方法の意味を持つ。
嗅上皮の支持細胞のことについて調べていたら見つけた記事です。嗅上皮が三層に分かれていることがわかりました。
嗅神経細胞の再生
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/47/1/47_1_68/_pdf/-char/ja
I.はじめに
嗅上皮に含まれる嗅神経細胞は「終生絶え間なく再生を繰り返す」という中枢神経細胞としては特異な能力があり,障害を受けた嗅上皮は「再生」というプロセスを通して修復される
II.嗅神経細胞の分化過程
嗅上皮は形態的に表層・中間層・基底層に分類され,表層には支持細胞が存在し,中間層には,嗅神経細胞が存在し,成熟度により未成熟と成熟に分けられる。基底層には基底細胞が存在し,形態により球状の基底細胞(globose basal cell : GBC)と平坦な基底細胞(horizontalbasal cell : HBC)に分かれ,このうち幹細胞として神経細胞への分化するのはGBC と言われている。
新型コロナウイルスに関連したACE2は一体どんなものでしょうか?
https://www.cyagen.jp/community/newsletters/issue-20200323.html
2、ACE2と新型コロナウイルスの関連
ACE2はSARSウイルスの機能受容体である。研究により、SARSコロナウイルスがACE2の細胞腔を通じて感染する際に、感染力が10倍上がる。SARSウイルスRBDがその外部タンパク質ドメインを利用して受容体のN末端と結合し、RBD/ACE2相互の中で主導地位を占拠する親水性の接触になる。ACE2と結合した後、SARS-CoV包膜と宿主細胞との融合はS2サブユニットで完成する。ここで2種類のプロテアーゼを説明する。一つはADAM17メタロプロテイナーゼであり、もう一つはセリン膜貫通プロテアーゼTMPRSS2である。この2種類の酵素はコロナウイルスが宿主細胞に侵入してACE2と結合するときに効力を果たすというニュースがある。具体はどんな過程であろう
関連ブログ
鼻粘膜上皮表層の二つの細胞-杯細胞と繊毛細胞が新型コロナウイルスの初期感染ポイントScience dailyより
http://aromahonjin.way-nifty.com/blog/2020/05/post-b7f9e8.html
Key nose cells identified as likely COVID-19 virus entry points
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