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March 30, 2021

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とミトコンドリアの健康:ライフスタイルと老化の影響の序文2

SARS-CoV-2 and mitochondrial health: implications of lifestyle and ageing
https://immunityageing.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12979-020-00204-x

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とミトコンドリアの健康:ライフスタイルと老化の影響の序文2

Introduction

序文2

It therefore seems that maintaining “mitochondrial health” is vital, which probably correlates with an effective mitochondrial reserve induced by factors like physical activity, such that when the system is “stressed” (e.g., by a virus), it can cope. Although the virus may only infect certain cells, the immune response is global and dependent on mitochondrial function in multiple tissues and organs. What is clear is that severity is associated with the hyperinflammation syndrome and involves dysregulation of many different cell types [27]. This is to be expected, as throughout evolution, viruses have evolved to manipulate the immune system to hide from it, and can invoke immunosuppression, which in itself can become pathological, for instance, by modulating T-cells [28, 29].

したがって、「ミトコンドリアの健康」を維持することは重要であって、おそらく身体活動などの要因によって誘発される効果的ミトコンドリア呼吸予備能と相関し、組織が「ストレス」(例えばウイルスによって)に対処できる可能性が高いと思われる。ウイルスは特定の細胞にのみ感染する可能性がありますが、免疫応答は全身的であり、複数の組織および器官におけるミトコンドリア機能に依存します。はっきりしているのは、重症度は過剰な炎症症候群に関連しており、多くの異なる細胞型の調節障害を伴います。これは、進化を通じて、ウイルスは免疫系を操作して、そこから隠れために進化して、それ自体が免疫抑制を呼び起こすことができ、例えばT細胞を調節することによってです。

mitochondrial reserve:ミトコンドリア能
調べていたら予備呼吸能の言葉見つけたのでミトコンドリア能では分かりずらいのでミトコンドリア予備呼吸能にしました。また、細胞のミトコンドリア予備呼吸容量(RRC)の言葉もありました。

hyperinflammation過剰な炎症
immunosuppression 免疫抑制

It now seems that the spike protein of SARS-CoV-2 can bind to T-cell receptors (TCRs), acting as a super-antigen and causing excessive activation of the adaptive immune system – potentially resulting in the hyperinflammatory syndrome [30]. This is perhaps relevant as persistent antigenic stimulation can lead to T-cell exhaustion, which is associated with decreased oxidative phosphorylation and loss of mitochondrial function despite enhanced glycolysis – but can be reversed using anti-oxidants [31]. Data is now showing that COVID-19 patients do have populations of T-cells displaying mitochondrial dysfunction, as well as altered mitochondrial markers in monocytes – hinting that immune-metabolic phenotyping could be used to understand disease pathogenesis and possible treatments; this could include targeting mitochondria [32]. In short, the immune system itself could well be a target for this virus. Apart from the virus targeting the TCR as a super antigen, there is evidence that other than it binding to the angiotensin converting enzyme (ACE) as its main receptor, it may also bind receptors on immune cells, such as CD147 and CD26 [33], or neuropilin-1 (Nrp-1) [34, 35].

これは、たぶん持続的な抗原刺激がT細胞の疲弊につながり、解糖が増強されたにもかかわらず酸化リン酸化の減少とミトコンドリア機能の喪失につながる可能性がありますが、抗酸化剤を使用して逆転させることができます[31].SARS-CoV-2のスパイクタンパク質は、T細胞受容体(TRS)に結合し、スーパー抗原として機能し、適応免疫系(獲得免疫)の過剰な活性化を引き起こし、結果的に過剰な炎症症候群を引き起こす可能性がある[30]データは、COVID-19患者がミトコンドリア機能不全を示すT細胞集団を有し、同様に単球におけるミトコンドリアマーカー変化を有することを示している- 免疫代謝表現型が疾患の病因性および可能な治療法を理解するために使用できることを示唆している。これはミトコンドリアを標的にすることを含む可能性がある [32]要するに、免疫系自体がこのウイルスの標的になる可能性があります。スーパー抗原としてTCRを標的とするウイルスとは別に、アンジオテンシン変換酵素(ACE)を主受容体として結合する以外に、モノクロール抗体CD147やCD26[33]、またはニューロピリン-1(Nrp-1)[34,35]などの免疫細胞上の受容体に結合する可能性があるという証拠がある。

T-cell receptors (TCRs) :T細胞受容体(TRS)
super-antigen スパー抗原
antigenic stimulation 抗原刺激
T-cell exhaustion T細胞の疲弊
oxidative phosphorylation 酸化的リン酸化
glycolysis 解 糖
angiotensin converting enzyme (ACE) アンジオテンシン変換酵素 (ACE)
adaptive immune system 適応免疫系
CD147/cluster of differentiation 147 . 分化抗原群
CD分類(シーディーぶんるい)とは、ヒト白血球を主としたさまざまな細胞表面に存在する分子(表面抗原)に結合するモノクローナル抗体の国際分類。
NRP1, Neuropilin-1ニューロピリン-1

We have structured this paper to first review the now established data on general mitochondrial function and health in relation to “inflammaging”, followed by the evidence suggesting that the SARS-CoV-2 virus itself manipulates mitochondrial function and what we might learn from bats – which are thought to be its natural host. From this we propose that a poor lifestyle accelerates “inflammaging” which is associated with mitochondrial ill-health, and in some populations this predisposes them to a worse outcome. In the second part of the paper we discuss the implication of this idea in relation
to current and suggested drug-based treatments and vaccine efficacy, the “long-COVID” syndrome, as well as how environmental factors may make some people more vulnerable. Understanding these concepts may help inform clinical strategy.

この論文は、まず「炎症」に関連して一般的なミトコンドリア機能と健康に関する現在確立されたデータを見直し、続いてSARS-CoV-2ウイルス自体がミトコンドリア機能を操作し、コウモリから何を学ぶ可能性があるかを示唆する証拠を構成した。このことから、みだれたライフスタイルがミトコンドリア障害に関連する「炎症」を加速し、一部の集団でこれは悪化する可能性があることを提案する。論文の第2部では、現在および提案されている薬物ベースの治療法とワクチンの有効性、「長いコロナウイルス感染症COVID」症候群、同様にいかに環境要因が一部の人々をより脆弱にすることに関連してこの考えの意味を議論する。これらの概念を理解することは、臨床戦略を知らせるのに役立つかもしれません 。

用語

TCR T細胞受容体

T-Cell Receptor (TCR) の概要
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/cell-analysis/signaling-pathways/t-cell-receptor-tcr/t-cell-receptor-tcr-overview.html

T細胞は、免疫反応において大きな役割を果たすリンパ球のサブセットです。 TCR(T細胞受容体)は、内在性膜タンパク質の複合体であって、抗原に反応してT細胞を活性化します。 TCR の刺激は、抗原提示細胞の MHC(主要組織適合性複合体)分子によって引き起こされます。この分子は、抗原ペプチドを TCR 複合体に提示し、一連の細胞内シグナル カスケードを誘導します。 TCR が関与することにより正の(シグナル増強)カスケードと負の(シグナル減衰)カスケードが始まり、最終的に細胞の増殖や分化、サイトカインの産生、活性化誘導細胞死などが誘導されます。 これらのシグナル伝達カスケードは、T 細胞の成長やホメオスタシス、活性化、エフェクタ機能の獲得、アポトーシスなどを調節します1,2。

スーパー抗原
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E6%8A%97%E5%8E%9F#:~:text=%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E6%8A%97%E5%8E%9F%EF%BC%88%E8%8B%B1%EF%BC%9ASuperantigens%EF%BC%89,%E7%B3%BB%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E9%98%B2%E5%BE%A1%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E5%83%8D%E3%81%8F%E3%80%82

スーパー抗原(英:Superantigens)(略称:SAg)はT細胞を非特異的に多数活性化させ、多量のサイトカインを放出させる抗原である。スーパー抗原は病原性の微生物(細菌の他、ウイルスやマイコプラズマも含む)によって産生され[1]、微生物側にとって免疫系に対する防御として働く[2]


T細胞の疲弊を調べていたときにみつけました。

Exhaustion
https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/2716.html

exhaustion(疲弊).抗原の長期的な曝露によって,T細胞上にPD-1,CTLA-4,TIM-3などさまざまな共抑制分子(後述)が誘導される結果,T細胞が機能不全状態に陥ること.慢性感染症やがんの際に,T細胞の不応答性が誘導される原因と考えられている.

酸化的リン酸化
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%9A%84%E3%83%AA%E3%83%B3%E9%85%B8%E5%8C%96

酸化的リン酸化(さんかてきリンさんか、oxidative phosphorylation)とは、電子伝達系に共役して起こる一連のリン酸化(ATP合成)反応を指す。細胞内で起こる呼吸に関連した現象で、高エネルギー化合物のATPを産生する回路の一つ。好気性生物における、エネルギーを産生するための代謝の頂点といわれ、糖質、脂質、アミノ酸などの代謝がこの反応に収束する。


Mitochondrial Reserveを調べていた時に見つけた記事

Is There a Link between Mitochondrial Reserve Respiratory Capacity and Aging?

ミトコンドリア予備呼吸能と老化の間にリンクはありますか?
https://www.hindawi.com/journals/jar/2012/192503/

解糖
https://lifescience-study.com/1-the-role-of-glycolysis/

好気呼吸では「解糖→クエン酸回路→電子伝達系」という過程においてATPとしてエネルギーを生み出します。解糖は、グルコース(C6)を分解してピルビン酸(C3)を生じる過程でATPを生み出す経路のことです。

Neuropilin-1を調べていた時に見つけました。
新型コロナウイルスの第二の受容体が発見される(速報)
https://www.igakuken.or.jp/r-info/covid-19-info27.html

ACE2が、ウイルスが細胞に入るためのドアの鍵であるとしたら、Neuropilin-1 はウイルスをドアまで連れてくる案内人のような役割を果たします。ACE2は大抵の細胞で低いレベルでしか発現されていないので、ウイルスがドアを発見するのは容易ではありません。そこでNeuropilin-1などの、他の因子が、これを助けてあげる必要があります。

さらに、これらの論文では、Neuropilin-1とSpikeタンパクとの結合を阻害するモノクローナル抗体や薬剤により、細胞レベルでのSARS-CoV-2の感染を抑制することができたと報告しています。

今回の発見により、SARS-CoV-2の感染の新たなメカニズムが解明されました。また、新しい知見に基づき、SARS-CoV-2の治療薬の新たな標的が同定され、今後、新型コロナウイルスの効果的な治療薬の開発に向けて、さらに研究が進むものと期待されます。


SARS-CoV-2細胞侵入の構造的  および機能的メカニズム
https://www.abcam.co.jp/content/structural-and-functional-mechanism-of-sars-cov-2-cell-entry-3

その他のSARS-CoV-2細胞侵入メカニズム

ACE2への結合に加えて、SARS-CoV-2ウイルスが他の細胞表面分子にも結合して細胞侵入できると示唆する研究結果が増えてきています。SARS-CoVと比べたSARS-CoV-2の感染力の強力さは、ウイルスが宿主細胞に侵入できるようにする細胞受容体の数の多さによって説明できる可能性があります。

ニューロピリン(NP)1と2の両方は、SARS-CoV-2 Sタンパク質の切断型に結合して、宿主細胞の侵入を仲介することが示されています11, 12。ニューロピリンタンパク質はニューロンで発現しているため、ウイルスの神経系への侵入を許してしまいます。この侵入はヒトCOVID-19剖検の神経病理学的分析でも観察されています12 。NP受容体の抗体遮断、受容体変異誘発および構造の研究結果はすべて、SARS-CoV-2 Sタンパク質の細胞受容体としてのNPの機能を裏付けています11, 12。既知のACE2受容体に加えて、細胞表面のNP受容体への結合はSARS-CoV-2への感染を増強することを示唆しており、SARS- CoV と比較した場合に、SARS-CoV-2感染の組織向性の増強の原因となっているかもしれません11, 12。

初期の研究では、SARS-CoV-2 Sタンパク質が細胞表面のCD147に結合し、その後細胞に侵入すると示唆されました13。この研究で行われたin vitro抗ウイルス試験では、メプラズマブと呼ばれるSタンパク質とCD147細胞表面受容体との相互作用を遮断する抗CD147ヒト化抗体が、ウイルスの細胞侵入を顕著に阻害することが示唆されました。この抗体がCOVID-19を治療する可能性については臨床試験が現在進行中です14。血糖値が高いとCD147の発現が上昇することが明らかになっているため、上記の結果はCOVID-19において糖尿病が予後不良の要因の一つとなっていることを説明できるかもしれません15。

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March 23, 2021

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とミトコンドリアの健康:ライフスタイルと老化の影響の序文1

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とミトコンドリアの健康:ライフスタイルと老化の影響

SARS-CoV-2 and mitochondrial health: implications of lifestyle and ageing
https://immunityageing.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12979-020-00204-x

Introduction

序文1

The risk of severe morbidity associated with infection by SARS-CoV-2 rises with age and underlying co-morbidities, which indicate that up to 1.7 billion people, or 22% of the global population, could be at severe risk; the increased risk seems to be largely associated with an imbalanced and/or an excessive inflammatory response [1]. One suggestion is that the severity could be related to a failure of inflammation resolution, leading to pulmonary hyper-inflammation and “cytokine storms” [2]. With increasing age there is often an exaggerated innate immune response to respiratory infections [3] and rising inflammatory tone [4, 5]. Overall, it seems that susceptibility to the virus is related to an age-related loss of adaptive immunity combined with an increased innate immune response [6]. This “inflammaging” seems to be associated with T-cell immunosenescence and thymic atrophy; critically, exercise seems to be protective [7]. The protective effect of exercise is informative, as the pathological severity of SARS-CoV-2 infection seems to be associated with many obesity-related co-morbidities, such as diabetes [8,9,10], in contrast, physical fitness is emerging as a preventative strategy against the virus [11].

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染に関連する重症罹患のリスクは年齢および基礎となる併存疾患とともに上昇します。これは、最大17億人、つまり世界人口の22%が重症リスクにさらされる可能性があることを示しています。増加リスクは、主に不均衡および/または過剰な炎症反応に関連しているようです[1].。ひとつの提案は、重症度が炎症の収束の失敗に関連している可能性があり、このことは肺高血圧症および「サイトカインストーム」[2]につながります。加齢とともに、呼吸器感染症に対する過度な自然免疫応答および炎症傾向の上昇になることが多いです。全体として、ウイルスに対する感受性は、加齢に伴う適応免疫(獲得免疫)の喪失と自然免疫応答の増加に関連しているようです[6]。この「インフラメージング・前炎症状態」はT細胞の免疫老化現象と胸腺の萎縮に関連しているようです[7].。SARS-CoV-2感染の病理学的重症度は、糖尿病などの多くの肥満関連の併存疾患と関連しているようであるため、運動の予防効果は有益で[8,9,10]、対照的にフィジカル フィットネス(行動体力)はウイルスに対する予防戦略としてとして浮上してきています[11].

co-morbidities 併存疾患
severity 重症度
excessive inflammatory response 過剰な炎症反応
inflammation resolution 炎症の収束
pulmonary hyper-inflammation 肺高血圧症
innate immune 自然免疫(
adaptive immunity  適応免疫(獲得免疫)
inflammaging :インフラメージング・前炎症状態
T-cell: T細胞、Tリンパ球◇リンパ球の一種
immunosenescence 免疫老化現象
tymic atrophy 胸腺委縮
physical fitness フィジカル フィットネス(行動体力)

This suggests that as well as age, lifestyle could be important in determining susceptibility to the virus. We have suggested that a modern sedentary lifestyle has effectively removed exogenous hormetic stimuli, such as physical activity, which is leading to an accelerated ageing phenotype [12].
In short, a modern lifestyle could be accelerating the process of “inflammaging”: obesity is associated with a pro-inflammatory state, increased inflammatory macrophages and altered T-cell homeostasis [13]. In contrast, exercise is largely anti-inflammatory, which is thought to explain its many benefits [14, 15]. A key player in this adaptation is the mitochondrion, as mitochondrial stress enhances mitochondrial function not only in muscle, but in multiple other organs with myokines playing a key role [16, 17]. For example irisin, which protects mitochondria, can protect against ischaemia/reperfusion (IR) injury in the lung [18]. Irisin has also been found to favourably alter genes in adipocytes that are affected by the SARS-CoV-2 [19] and to modulate macrophage reactive oxygen species (ROS), displaying anti-oxidant and anti-inflammatory properties [20]. Critically, exercise can enhance mitochondrial function and capacity in peripheral blood mononuclear cells (PBMCs) [21].

これは、年齢のみならず、ライフスタイルがウイルスに対する感受性を決定する上で重要であるかもしれないことを示唆しています。現代の座りがちな生活様式は、身体活動などの外因性ホルミシス刺激効果を除去し、それ加速されて老化表現型につながることを示唆しました[12]。要するに、現代のライフスタイルは「炎症」のプロセスを加速している可能性があります。肥満は炎症誘発性状態、炎症性マクロファージの増加、T細胞恒常性の変化に関連しています[13]。対照的に、運動は主に抗炎症作用があり、その多くの利点を説明すると考えられています[14、15]。ミトコンドリアのストレスは筋肉だけでなく、ミオカインが重要な役割を果たす他の複数の臓器のミトコンドリア機能を強化するため、この適応の主要なプレーヤーはミトコンドリアです[16、17] 。たとえば、ミトコンドリアを保護するイリシンは、肺の虚血/再灌流(IR)損傷から保護することができます[18]。イリシンはまた、SARS-CoV-2の影響を受ける脂肪細胞の遺伝子を有利に変化させ[19]、マクロファージの活性酸素種(ROS)を調節し、抗酸化作用と抗炎症作用を示すことがわかっています[20]。重要なことに、運動は末梢血単核細胞(PBMC)のミトコンドリア機能と能力を高めることができます[21]。

myokines マイオカイン (筋肉から分泌される“ホルモン”の総称)
irisin イリシン  
ischaemia 虚血
reperfusion 再潅流
adipocytes 脂肪細胞
macrophage reactive oxygen species マクロファージ活性酸素
peripheral blood mononuclear cells (PBMCs) 末梢血単核細胞(PBMCs)

As mitochondria are pivotal in the immune response and many viruses in turn modulate mitochondria [22, 23], it is possible that altered mitochondrial function may explain at least some of the variance in responses to SARS-CoV-2. As most cells in the body contain mitochondria, including immune cells, this would be expected and is now embraced by the concept of “immunometabolism”. This is perhaps most clearly seen in the clinical phenotype of subjects with inherited mitochondrial defects who often display immunodeficiency and a much higher rate of infections – highlighting the reliance of the immune system on mitochondria [24, 25].Although this is relevant to resistance to the virus, it is also perhaps relevant to the efficacy of vaccines; Thacker and colleagues, using gene expression assays of PBMCs, have shown that there is an age-related decrease in response to influenza vaccines, which appears to be linked to decreased mitochondrial function [26]. In short, compromised mitochondrial function, either due to genetic factors, extreme age, or lifestyle, could have a bearing on both resistance to the virus and the ability to mount an effective response to a vaccine.

ミトコンドリアは免疫応答において極めて重要であり、多くのウイルスがミトコンドリアを調節するため[22、23]、ミトコンドリア機能変化がSARS-CoV-2に対する応答において少なくとも一部のバリアンス(差異)を説明している可能性があります。体内の多くの細胞は免疫細胞を含むミトコンドリアを含んでいるので、これは予想され、現在「免疫代謝」の概念によって受け入れられています。これはおそらく、免疫不全とはるかに高い感染率を示すことが多い遺伝性ミトコンドリア欠損症の被験者の臨床表現型で最も明確に見られます-ミトコンドリアに関する免疫系の依存を強調していますこれはウイルスに対する耐性に関連していますが、それはおそらくワクチンの有効性にも関連しています。サッカーらは、末梢血単核細胞(PBMCs)の遺伝子発現解析を使用して、インフルエンザワクチン応答において加齢関連減少があることを示して、そのことはミトコンドリア機能低下に関連しているようです。要するに、遺伝的要因、極めて高齢、またはライフスタイルのいずれかによるミトコンドリア機能損傷は、ウイルス耐性およびワクチンに対する効果的応答を固定する能力の両方に関係している可能性があります。

immunometabolism:免疫代謝
immunodeficiency:免疫不全
gene expression assays 遺伝子発現解析

用語
インフラメージングについて調べたときの記事
腫瘍抑制因子MeninによるT細胞老化の制御
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2015.870342/data/index.html
1. はじめに

加齢に伴う免疫機能の変化は,免疫老化と呼ばれている.免疫老化における最も特徴的な変化は,抗原特異的な獲得免疫の低下である.獲得免疫に関わる細胞の中でも,T細胞は特に顕著に老化の影響を受けると考えられている.なぜなら,T細胞の分化の場である胸腺は,加齢に依存した組織変化を示し,ヒトでは,胸腺上皮組織は思春期をピークとして徐々に萎縮し,老年期になるとほとんど脂肪組織に置き換わってしまうからである.老年期における新たなT細胞の供給減少を補うため,末梢T細胞を抗原非依存的にホメオスタティック増殖(homeostatic proliferation: HP)させることで,個体はT細胞プールを維持する.しかしながら,過剰なHPは,T細胞老化や炎症疾患発症を誘導する可能性があり,HPによるT細胞増殖は諸刃の剣である1)

加齢に伴った免疫応答変化の一つの特徴は,免疫応答時の炎症性反応の増大である2–4)

一般的に,細胞老化を来した細胞は,炎症性サイトカイン・ケモカインの産生や血管新生誘導因子,細胞外マトリクスリモデリング因子の産生増加を特徴とする,senescence-associated secretory phenotype(SASP)と呼ばれる形質を獲得する5,6)

.免疫担当細胞におけるSASPが誘発する前炎症状態は,インフラメージング(inflammaging: inflammation+aging)とも呼ばれ,加齢に伴って増加する自己免疫疾患や発がんの増加と密接に関連していると考えられている
SASP(senescence-associated secretory phenotype:細胞老化関連分泌現象

22 免疫のしくみ
https://www.obunsha.co.jp/pdf/support/9784010340004-p130_147.pdf

生物は,細菌やウイルス,カビの胞子など,さまざまな異物の侵入に絶えずさらされています。体内に異物が侵入した時には,それらの異物から体を守るさまざまなしくみが働き,体内環境を維持しています。

(1)種類:物理的・化学的防御
主な働き:皮膚や粘膜,血液凝固,涙・鼻水,だ液など 対象: さまざまな異物

(2)種類:自然免疫
主な働き:食作用・炎症反応,N ナチュラルキラーK 細胞による攻撃など 対象:さまざまな異物

(3)種類:適応免疫(獲得免疫) 体液性免疫・細胞性免疫

主な働き:
体液性免疫:抗体が,抗原に特異的に反応して排除特定の異物   対象:特定の異物
細胞性免疫:キラーT細胞などにより,がん細胞や感染細胞を排除 (特異的)対象:特定の異物

表現型
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%A8%E7%8F%BE%E5%9E%8B

表現型(ひょうげんがた、ひょうげんけい、英: phenotype。ギリシャ語のpheno=表示+type=型に由来)は、生物の複合的で観察可能な特徴や形質を表す遺伝学の用語である。この用語は、生物の形態学的または物理的な形態と構造、その発生過程、生化学的および生理学的性質、その行動、および行動の産物を網羅している。ただし、獲得形質は含まない。

生物の表現型は、生物の遺伝コードまたは遺伝子型の発現と、環境要因の影響という、2つの基本的な要因に起因している。両方の要因が相互作用して、表現型にさらに影響を与えることがある。

細胞老化
https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/933.html

細胞老化とは,増殖中の正常な細胞に,がん遺伝子の活性化や酸化的ストレス等が加わり,修復不可能なほど強いDNA損傷が起こった際に誘導される不可逆的細胞増殖停止現象である.これはがん化の可能性のある異常な細胞を増殖させないために,細胞に生来備わった発がん抑制機構であると考えられている.アポトーシスと異なり,細胞老化を起こした細胞は生体内で長く存在するが,このような長く生き残った老化細胞から,さまざまな炎症性サイトカイン,ケモカイン,細胞外マトリクス分解酵素など,炎症や発がんを促進する作用のあるさまざまな分泌因子を分泌されることが明らかになってきた.この現象はSASP(senescence-associated secretory phenotype:細胞老化関連分泌現象)とよばれている.SASPはがんの微小環境を形成する一因となっている可能性がある


運動により骨格筋から分泌される Irisin が内臓脂肪減少に関与するのか?
http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/db/seeds/pages/70760/jp.php

 irisinは骨格筋から分泌されるmyokineであり,白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞化する作用が報告されている.しかしながら,ヒトの運動トレーニングに対する血中irisin濃度の応答と体脂肪減少量との関連性は明らかでない
【結論】高齢者の有酸素性トレーニングは,血中irisin濃度を増加させ,このirisin濃度の増加は有酸素性トレーニングによる腹部内臓脂肪量の減少に関与している可能性が示唆された

バリアンスとは・・・
https://www.kango-roo.com/word/6725

バリアンス(ばりあんす/variance)とは、相違・不一致・分散などの意味を持つ言葉であり、医療の現場では、クリニカルパスにおいてアウトカムが達成されない状態のことを指す。
バリアンスには、正のバリアンスと負のバリアンスがあり、正のバリアンスは、予定より患者の回復が早く、早期に退院が可能であるなどがある。負のバリアンスは、患者の回復が予定より遅れることであり、多くの場合は合併症の出現などを指す。

バリアンスを分析することは、医療のアウトカム(成果)とプロセスを再度見直すことにつながり、より良い医療・ケアを導くことが可能となる。バリアンスが発生すれば、例えば、検査・治療の内容、感染管理の方法、リハビリテーションの方法、栄養管理の方法などの見直しが行われる。医療の質を改善する手法であるクリニカルパスを行う上でも、バリアンスの分析は重要である。

表現型について調べたときにみつけた。

遺伝――似ていることと似ていないこと
http://www.statgenet.med.kyoto-u.ac.jp/StatGenet/ryamada_bon/SaikouPDFs/GNMT_CH01.pdf

1.1  1.1 形質が遺伝する

1.1.2 生物の特徴――形質とフェノタイプ(表現型)

生物が持つ特徴は形質※ と呼ばれます。特徴はなんでも形質です。どんな形質に興味を持つかが、研究の内容を決めますし、新たな解析の視点を持つことは、新しく形質を定義することとも言い換えられます。そういう意味で、形質を考える視点を整理することは有用です。形質を分類するときの1 つの方法は、五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)のどれによる評価であるかが挙げられます。別の分類の仕方としては、解剖学・構造的、生理・機能的、分子生物学・薬理学的という分け方があります。また、個体そのものに備わった特徴であるのか、個体が外敵や環境との関係の持ち方(行動・免疫反応など)なのか、という分類もできます。その他には、数学的な概念なのか、物理的に測定するものなのか、変化する(化ける)様子なのか、という視点も形質の分類に役立ちます。これらの形質を観察することでデータが得られます。この形質の観察データがフェノタイプ(表現型)です。


ミトコンドリアと抗ウイルス免疫
http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/06/85-05-04.pdf

真核細胞の影の司令塔であるミトコンドリアは,古くからエネルギー産生の場や,アポトーシス制御などの生命機能の根幹に位置したプラットフォームとして研究が行われてきた.さらに近年の研究成果から,この細胞小器官(オルガネラ)がRNA ウイルスに対する自然免疫とも密接に関係していることがクローズアップされてきてる.本稿では,ミトコンドリア・免疫間のクロストークについて,これまでの研究の歴史を振り返りながら,その仕組みについて最近の知見を中心に概説したい

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March 16, 2021

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とミトコンドリアの健康:ライフスタイルと老化の影響

先日、お客様と電話でお話をする機会があり、免疫とミトコンドリアの関係について教えて頂きました。免疫とミトコンドリアに興味を持ち、検索したらミトコンドリアの健康が免疫の応答に関係している下記の文献に出会い、興味を持ち翻訳を始めました。知らないことがいっぱいで理解するのに時間がかかります。あいかわらず翻訳の文章は直訳で読みにくいかもしれませんが読んでいただければ幸いです。

SARS-CoV-2 and mitochondrial health: implications of lifestyle and ageing
https://immunityageing.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12979-020-00204-x

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とミトコンドリアの健康:ライフスタイルと老化の影響

Abstract

要旨

Infection with SARs-COV-2 displays increasing fatality with age and underlying co-morbidity, in particular, with markers of the metabolic syndrome and diabetes, which seems to be associated with a “cytokine storm” and an altered immune response.

新型コロナウイルス(SARs-COV-2)の感染は、特に「サイトカインストーム」と免疫応答変化に関連していると思われるメタボリックシンドロームと糖尿病のマーカーで、年齢および基礎となる併存疾患とともに死亡率の増加を示します。

co-morbidity 併存疾患
cytokine storm サイトカインストーム

This suggests that a key contributory factor could be immunosenescence that is both age-related and lifestyle-induced. As the immune system itself is heavily reliant on mitochondrial function, then maintaining a healthy mitochondrial system may play a key role in resisting the virus, both directly, and indirectly by ensuring a good vaccine response.

免疫自体はミトコンドリア機能に大きく依存するので、それうえ、健康なミトコンドリア系を維持することは、良いワクチン応答を確保することにより、直接的にも間接的にもウイルスに抵抗する上で重要な役割を果たす可能性があります。

contributory factor 要因
immunosenescence 免疫老化

Furthermore, as viruses in general, and quite possibly this new virus, have also evolved to modulate immunometabolism and thus mitochondrial function to ensure their replication, this could further stress cellular bioenergetics.

さらに、一般的ウイルス、そしておそらくこの新型ウイルスも進化して免疫代謝を調節し、したがって、ウイルスの複製を確実にするためミトコンドリア機能を調節し、これは細胞の生体エネルギーにさらにストレスを与える可能性があります。

immunometabolism 免疫代謝
replication 複製
bioenergetics 生体エネルギー

Unlike most sedentary modern humans, one of the natural hosts for the virus, the bat, has to “exercise” regularly to find food, which continually provides a powerful adaptive stimulus to maintain functional muscle and mitochondria. In effect the bat is exposed to regular hormetic stimuli, which could provide clues on how to resist this virus.

ほとんどの座りがちな現代人とは異なり、ウイルスの自然宿主の1つであるコウモリは、食物を見つけるために定期的に「運動」する必要があります。コウモリは、機能的筋肉とミトコンドリアを維持するための強力な適応的刺激を継続的に供給します。事実上、コウモリは定期的なホルミシス刺激に暴露されており、このウイルスに抵抗する方法の手がかりを提供する可能性があります。事実上、コウモリは定期的ホルミシス刺激に暴露されており、このウイルスに抵抗する方法の手がかりを提供する可能性があります。

sedentary 座りがちな
natural hosts 自然宿主
adaptive stimulus 適応的刺激

hormetic ホルミシスの
ある物質が高濃度・大量に用いられた場合は有害な物質となるのに対し、低濃度・微量に用いた場合に、有益な作用をもたらす現象を『ホルミシス』と言います。

In this paper we review the data that might support the idea that mitochondrial health, induced by a healthy lifestyle, could be a key factor in resisting the virus, and for those people who are perhaps not in optimal health, treatments that could support mitochondrial function might be pivotal to their long-term recovery.

この論文では、健康的ライフスタイルによって誘発するミトコンドリアの健康は、ウイルスに抵抗する重要な要因である可能性があり、おそらく最適な健康状態でない人々にとって、ミトコンドリア機能をサポートする可能性のある治療が長期的回復にとって極めて重要かもしれない考えを支持する考えのデータをレビューします。


本論文には下記の項目の説明があります。読んでみると興味あることがたくさん書かれています。これからできれば少しずつ訳していきます。

Introduction

はじめに

Mitochondrial function in inflammaging and immunosenescence

インフラメージングと免疫老化におけるミトコンドリアの機能

inflammaging インフラメージング(加齢に伴う炎症)

Does SARS-CoV-2 modulate mitochondrial function, either indirectly or directly, and if so, in what cells? 

新型コロナウイルス(SARs-COV-2)は、ミトコンドリアの機能を間接的または直接的に調節しますか? もしそうなら、どの細胞で調節しますか?

The immune system, hormesis and mitochondria

免疫システム機能、ホルミシスとミトコンドリア

Mitochondrial function and therapeutic strategy

ミトコンドリアの機能と治療戦略

Implications of SARs-CoV-2 modulation of mitochondrial function

ミトコンドリア機能の新型コロナウイルス(SARs-COV-2)調節の意味

Can we test the hypothesis that mitochondrial health = immune health and enhanced resistance to the virus?

ミトコンドリアの健康=免疫の健康とウイルスに対する耐性強化という仮説を検証できますか?

Conclusion

結論

用語
ミトコンドリアについて調べたときに見つけました。
ウイルス感染時の応答を制御するミトコンドリアの新しい機能を発見―細胞内のエネルギー状態を検知して、抗ウイルス応答の強さを調節―国立研究開発法人日本医療研究開発機構より
https://www.amed.go.jp/news/release_20201111-02.html

研究成果のポイント

•RNAウイルス感染時の応答に、細胞内のエネルギー生産を担うミトコンドリアが関わっていることが知られていましたが、その理由はわかっていませんでした。

•今回、ミトコンドリア上で「Mffタンパク質※1」がRNAウイルス感染に対する応答に関わることを見出しました。

•Mffタンパク質はミトコンドリア上でエネルギー状態を検知して、ウイルスに対する応答の強さを調節していることがわかりました。これまで謎であった、ミトコンドリア上にウイルス感染を検知するシステムが存在する理由の一端が解明されました。

•ウイルスに対する感染応答に栄養・代謝状態が関わっていることが明らかとなりました。ミトコンドリアを標的とした、ウイルス感染に対する重症化予防などの治療法開発につながることが期待されます

ミトコンドリアは細菌の細胞内共生に由来する細胞小器官であり、分裂と融合を繰り返しながらダイナミックにその形を変化させています。ミトコンドリアは酸素を利用して細胞内エネルギー通貨として知られるATP※5を産生するだけでなく、細胞の生死を制御するなど、さまざまな細胞内シグナル伝達においても多機能に働いています。その例として、ウイルスが感染したときに起きる自然免疫応答にもミトコンドリアが関与することがわかっています。細胞に感染したRNAウイルスのゲノム(RNA)は、細胞内で検知されると、その後にミトコンドリア上に運ばれ、MAVSタンパク質を足場とした複合体を介してウイルス感染に対抗する応答が進行します。

一方で、ミトコンドリアは細胞内で分裂と融合※6を行うことで、活発に形を変化させており、このミトコンドリアの動きは、栄養や免疫応答に伴って変化することがこれまでに知られていました。しかし、ミトコンドリアの形と機能と感染防御メカニズムの3者の関係性は十分には理解されておらず、「なぜ免疫応答がミトコンドリア上で起きるのか」わかっていませんでした

Immunometabolism免疫代謝を調べていたときに見つけた記事です。
ここで炎症と食事との関係が説明されていたので紹介します。

免疫代謝学 - 高次神経統御学(協力) - 研究室紹介 | 名古屋大学 より
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/laboratory/basic-med/higher-nervous/immunometabolism/

2. “栄養”に対する生体応答の分子機構の解明と医学応用

近年、過栄養により誘導される慢性炎症がメタボリックシンドロームの基盤病態であることが明らかになり、栄養と炎症の関連が注目されています。私たちは、脂肪細胞に過剰に蓄積した脂肪酸、特に動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸が脂肪組織炎症の鍵となることを見出しました(図6)。即ち、脂肪細胞に由来する飽和脂肪酸は、グラム陰性桿菌に対する病原体センサーTLR4を介してマクロファージを活性化し、脂肪細胞とマクロファージが液性因子を介して相互作用することにより“悪循環”を形成して、持続的な炎症反応が惹起されます。これに対して、魚油に多く含まれるEPAなどのω-3多価不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸に拮抗的に作用して炎症抑制性に働きます。このような“栄養”による炎症制御の分子メカニズムは、未だ研究の端緒についたばかりです。特に、リンパ球やマクロファージなどの免疫担当細胞の機能が細胞内代謝により制御されていることが明らかになり、栄養・代謝と炎症・免疫のクロストークに象徴される“Immunometabolism”と呼ばれる学問領域が注目されています。

運動ホルミシス:運動の抗老化作用メカニズムー有益な活性酸素
Dr.Gotoの老化研究所 健康長寿より
https://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/aging/doc2/doc2-02-01.html

ホルミシス (hormesis) とは、高用(線)量では生体機能を抑制したり、有害作用を発揮したりするけれど低用(線)量ではむしろそれを刺激して活性を高めたり、防御的に働き、生体に有益な作用をもたらす現象のことをいいます。

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