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May 11, 2021

SARSウイルスはミトコンドリアを標的とするタンパク質をコード化しますか?

SARS-CoV-2 and mitochondrial health: implications of lifestyle and ageing
https://immunityageing.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12979-020-00204-x

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とミトコンドリアの健康:ライフスタイルと老化の影響

Does SARS-CoV-2 modulate mitochondrial function, either indirectly or directly, and if so, in what cells?

SARS-CoV-2は、ミトコンドリア機能を間接的または直接的に調節しますか?もしそうなら、どの細胞で調節しますか?

Do SARS viruses code for proteins that target mitochondria?

SARSウイルスはミトコンドリアを標的とするタンパク質をコード化しますか?

In SARS-CoV-1 the open reading frame-9b (ORF-9b) encodes for a protein that locates to the mitochondrion. Here it induces fusion by triggering degradation of dynamin-like protein 1 (DRP-1), while inhibiting mitochondrial anti-viral signalling proteins (MAVS). This is thought to underlie its ability to suppress the anti-viral interferon response.It can also induce autophagy and activate NF-κB [62]. MAVS are small proteins that on detection of double stranded RNA (dsRNA) oligomerise on mitochondria to form a signalling platform and initiate interferon signalling, as well as cell death [63, 64].It also seems that MAVS can act as adaptor proteins for NLRP3, forming a complex with mitochondria, although the inflammasome can also be activated in a way that doesn’t induce an interferon response, but can induce the interleukin beta (IL-β) response [65].

SARS コロナウイルスI型で、オープンリーディングフレーム-9b(ORF-9b)はミトコンドリアに位置するタンパク質をコードする。ここで、ミトコンドリアの抗ウイルス伝達タンパク質(MAVS).を阻害して、ミトコンドリア分裂因子Drp1分解を引き起こすことによって融合を誘発します。これは、抗ウイルスインターフェロン応答を抑制する能力の根本であると考えられている。また、オートファジー(自食作用)を誘導し、エヌエフ・カッパー・ビーNF-κB[62]を活性化することになります。ミトコンドリア抗ウイルス伝達タンパク質(MAVS)は、ミトコンドリア上で二本鎖RNA(dsRNA)を検出し, シグナル伝達プラットフォームを形成し、インターフェロンシグナル伝達、同様に細胞死を開始する小さなタパク質です。また、MAVSはヌクレオチド結合性多量体ドメイン様受容体3(NLRP3インフラマソーム)のアダプタータンパク質として機能し、インフラマソーム(炎症反応を惹起)はインターフェロン応答を誘発しない方法で活性化することもできますが、インターロイキンベータ(IL-β)応答を誘導することもできる[65]

Open Reading Frame; ORF:オープンリーディングフレーム  用語
dynamin-like protein 1 (DRP-1):ミトコンドリア分裂因子Drp1
(単球・マクロファージに発現するミトコンドリア分裂誘導タンパク質)
mitochondrial anti-viral signalling proteins (MAVS) 
ミトコンドリア抗ウイルス伝達タンパク質
NF-κB:エヌエフ・カッパー・ビーNF-κB(過剰なNF-κBの活性化は過剰な炎症反応を誘起し、がんを含むいろいろな病気の原因と成ります)
double stranded RNA (dsRNA) 二本鎖RNA
oligomerise多量化する
nucleotide-binding oligomerization domain-like receptor (NLR)
(ヌクレオチド結合性多量体ドメイン様受容体(NLR)・ヌクレオチドはDNAやRNAを構成する単位でもある)
Adaptor Protein:アダプタータンパク質(シグナル伝達に関与するタンパク質の一種である。)

With regards SARS-CoV-2, protein interaction mapping shows that it shares a great deal of homology with SARS-CoV-1, but significantly, several of its proteins are also predicted to directly interact with mitochondria, such as non-structural proteins (NSPs) 4 and 8, and ORF9c, as well as components of the interferon and NF-κB pathways [66]. This, because of the well described role of viruses in manipulating mitochondrial function, has led to other groups suggesting that indeed, mitochondrial “hijacking” by SARS-CoV-2 could be a key factor in the pathogenesis of this virus [67].

SARS-CoV-2に関して、タンパク質相互作用図は、SARS-CoV-1と多くの相同性を共有していることを示していますが、重要なことに、そのタンパク質のいくつかは、非構造タンパク質(NSP)4と8、およびORF9c、同様にインターフェロンとNF-κB経路の構成要素[66]など、ミトコンドリアと直接相互作用すると予測されています。ミトコンドリア機能の操作におけるウイルスの役割が十分に説明されているため、これはSARS-CoV-2によるミトコンドリアの「ハイジャック」がこのウイルスの病因の重要な要因である可能性があることを示唆する他のグループに結びつきました。[67]。

non-structural protein (NPs) 非構造タンパク質(NPs)
homology 相同性


SARSウイルスはミトコンドリアを標的とするタンパMany viruses also use viroporin proteins that can oligomerise to help viral entry and release, as well as control intracellular signalling ions, such as calcium or potassium. They can also, via direct protein interaction, manipulate signalling pathways. The host cell detects these as changes in ions levels and ROS, and via, for instance, the NLRP3 inflammasome, activates cellular defence [68].
SARS-CoV-1 has at least three viroporins, two of which are essential for replication and virulence [69];the E protein, in particular, not only seems to trigger P38 MAPK activity, but also seems to modulate calcium flux by acting as a permeable ion channel in endoplasmic reticulum-Golgi intermediate compartment (ERGIC)/Golgi membranes, activating the inflammasome [70]. SARS-CoV-2 seems to have a similar E viroporin that induces ionic imbalance [71]. From the calcium and ROS signalling perspective this is particularly important, as mitochondria are not only pivotal in calcium buffering and signalling, but are also controlled by calcium [72]. Data suggest that many viruses form viral “factories”, which are constructed from host cell membranes, and are often tightly coupled to mitochondria to provide precursors and energy – this includes the Coranoviridae [73, 74].

また、多くのウイルスは多量化してウイルスの侵入と放出を助け、カルシウムやカリウムなどの細胞内シグナル伝達イオンを制御するビロポリンタンパク質を使用します。また、直接的なタンパク質相互作用を介して、シグナル伝達経路を操作することもできます。宿主細胞はこれらをイオンレベルと活性酸素種(ROS)を変化として検出し、たとえばNLRP3インフラマソームを介して細胞防御を活性化します[68]。SARS-CoV-1には少なくとも3つのビロポリンがあり、そのうちの2つは複製と病原性に不可欠です[69]。特にEタンパク質は、P38分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(P38MAPK)活性を誘発するだけでなく、小胞体-ゴルジ中間コンパートメント(ERGIC)/ゴルジ膜の透過性イオンチャネルとして作用し、インフラマソームを活性化することによってカルシウム流動を調節するようです[70]。 SARS-CoV-2は、イオンの不均衡を誘発する同様のEビロポリンを持っているようです[71]。カルシウムおよび活性酸素種(ROS)のシグナル伝達観点から、ミトコンドリアがカルシウム緩衝能およびシグナル伝達において極めて重要であるだけでなく、カルシウムによっても制御されているため、このことは重要です。データは、多くのウイルスがウイルスの「工場」を形成することを示唆しています。これは宿主細胞膜から構築され、ミトコンドリアと緊密に結合して前駆体とエネルギーを提供します。これにはコラノウイルス科が含まれます[73、74]。

Viroporin:ビロポリン(イオンチャンネルタンパク質)
ROS. reactive oxygen species. 活性酸素種
virulence 病原性
MAPK:Mitogen-activated Protein Kinase, MAPK
分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)
endoplasmic reticulum:小胞体
Golgi intermediate compartmentゴルジ中間区画
calcium buffering カルシウム緩衝能
viral factoriesウイルス工場
coronaviridae コロナウイルス科

用語


用語
オープンリーディングフレーム
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0

オープンリーディングフレーム (Open Reading Frame; ORF) とは、DNA またはRNA 配列をアミノ酸に翻訳した場合に終了コード配列(termination codon; 終止コドン)を含まない読み取り枠(Reading Frame)がオープンな(Open)状態にある(タンパク質に翻訳される可能性がある)塩基配列を指す。

遺伝子予測アルゴリズムを用いてDNA の断片配列から遺伝子の場所を探索する場合、ORF の長さが長いと遺伝子が存在している良い指標となる。ただ長いORF が存在しても必ずタンパク質に翻訳されているとは限らないので、長いORF が遺伝子であるかは実際にそのタンパク質が合成されているかを調べる必要がある。

タンパク質間相互作用
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA%E9%96%93%E7%9B%B8%E4%BA%92%E4%BD%9C%E7%94%A8

タンパク質間相互作用(たんぱくしつかんそうごさよう、PPI; protein-protein interaction)とは、タンパク質分子間の相互作用である。具体的には、複数の異なるタンパク質分子が状態に応じて特異的複合体を形成する現象として捉えられる。

タンパク質には、単体で機能するタンパク質もあるが、多くのタンパク質は他のタンパク質や生体高分子と相互作用することでその機能を果たす(構造タンパク質、代謝に関わる酵素群、シグナル伝達に関わるタンパク質、転写因子など)。よって、タンパク質の機能を解明する上でタンパク質間相互作用は必要不可欠な情報でである。

ビロポリンを調べていたときに見つけた記事
東京大学医科学研究所感染症国際研究センター感染制御系ウイルス学分野
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/ichinohe-lab/kenkyuunaiyou.html

研究内容

当研究室では、より効果的なワクチン開発に役立てることを目的として、生体によるウイルス認識機構、インフルエンザウイルス感染モデルを用いた粘膜免疫制御機構と腸内細菌によるウイルス特異的免疫応答の制御機構について研究を行っております。

1)生体によるウイルス認識機構について

 小さなゴミやほこりが鼻の穴に入ってきても熱は出ませんが、目には見えないインフルエンザウイルス(〜100 nm)が鼻に感染すると熱が出ます。つまり鼻の穴の細胞は、目でも見えない小さな"ゴミ"と"ウイルス"の侵入を見分けているわけです。これは私たちの体に外敵の侵入を感知するセンサーが備わっているからです。インフルエンザウイルスを例に挙げると、エンドゾーム内(細胞外)にはToll-like receptor 7/8があり、これがインフルエンザウイルスゲノムRNAを認識しています。インフルエンザウイルスが侵入したとしても、細胞質中にはRIG-Iが待ち構えていてウイルスRNAを認識します。つまり生体は、ウイルス核酸(ゲノムRNA)の有無を見分けることで、ウイルスの侵入とその他のゴミを巧みに見分けているわけです。

 このようなウイルスRNAに依存的なウイルス検出システムだけではなく、生体はウイルスが持つイオンチャネルタンパク質(viroporinと呼ばれる)の活性を、ウイルスの検出システムに利用していることが最近になってわかってきました。インフルエンザウイルスの場合、プロトン選択的なイオンチャネルタンパク質(M2タンパク質)は、NLRP3 inflammasomeを活性化させています(Ichinohe et al. Nat Immunol. 2010)。

2) 腸内細菌によるインフルエンザウイルス特異的免疫応答の制御について

 抗生物質を飲ませて腸内細菌を減らしたマウスでは、インフルエンザウイルス感染後の免疫応答が弱くなることを見出しました(Ichinohe et al. PNAS 2011)。ある種の腸内細菌は、距離的に遠く離れている肺へシグナルを送り、インフルエンザウイルス感染によるinflammasomeの活性化をサポートしていたわけです。数百〜数千種類いる腸内細菌のうち、どの腸内細菌がこのようなシグナルを送っているのか?またこの腸管から肺へ伝達されるシグナルは何なのかはいまだに分かっておりません。私たちの研究室では、これらの疑問を明らかにするため研究を続けております。

ウイルス感染時の応答を制御するミトコンドリアの新しい機能を発見―細胞内のエネルギー状態を検知して、抗ウイルス応答の強さを調節―
https://www.amed.go.jp/news/release_20201111-02.html

ミトコンドリアは細菌の細胞内共生に由来する細胞小器官であり、分裂と融合を繰り返しながらダイナミックにその形を変化させています。ミトコンドリアは酸素を利用して細胞内エネルギー通貨として知られるATP※5を産生するだけでなく、細胞の生死を制御するなど、さまざまな細胞内シグナル伝達においても多機能に働いています。その例として、ウイルスが感染したときに起きる自然免疫応答にもミトコンドリアが関与することがわかっています。細胞に感染したRNAウイルスのゲノム(RNA)は、細胞内で検知されると、その後にミトコンドリア上に運ばれ、MAVSタンパク質を足場とした複合体を介してウイルス感染に対抗する応答が進行します。

一方で、ミトコンドリアは細胞内で分裂と融合※6を行うことで、活発に形を変化させており、このミトコンドリアの動きは、栄養や免疫応答に伴って変化することがこれまでに知られていました。しかし、ミトコンドリアの形と機能と感染防御メカニズムの3者の関係性は十分には理解されておらず、「なぜ免疫応答がミトコンドリア上で起きるのか」わかっていませんでした.

NLRP3を調べていたときに見つけた。
新しい抗炎症物質が見つかった
New anti-inflammatory compounds identified

https://www.natureasia.com/ja-jp/nm/pr-highlights/9752

NLRP3は免疫系タンパク質の1つで、インフラマソームと呼ばれるタンパク質複合体の構成成分である。インフラマソームは自己免疫疾患、2型糖尿病、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、自己炎症性疾患などの複数の病気に関わり、炎症応答を促進する。今回、2つの研究グループがNLRP3の働きを阻害する化合物を見つけて、それぞれ報告している。

V D Dixitたちは、絶食、激しい運動、カロリー制限や低炭水化物ケト原性食の摂取に応答して体内で生産される代謝産物であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)にNLRP3を直接阻害する作用があることを明らかにした

アダプター分子
https://www.jst.go.jp/pr/info/info301/yougo.html

細胞内に存在して受容体タンパク質の細胞内領域に結合する、酵素活性を持たない分子で、受容体が受けた刺激情報を細胞内のさらに他の分子に伝えます。

ビロポリン
Viroporins Customize Host Cells for Efficient Viral Propagation
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3785214/

ビロポリンは効率的なウイルス増殖のために宿主細胞をカスタマイズする。

Viral Propagation ウイルス増殖

JCウイルスのチャネルタンパク質ビロポリンに関する研究
Investigation of Molecular Mechanism of JC virus Viroporin Activity
https://ci.nii.ac.jp/naid/130005128453

ウイルス粒子の細胞外放出過程に関わるウイルスタンパク質の中にビロポリンと呼ばれるイオンチャネル様の多量体を形成する膜タンパク質が存在する.ビロポリンは100アミノ酸残基程度からなる小さな膜タンパク質で,多量体化して脂質二重膜に細胞内外を交通させる「孔」を作る.この「孔」がイオンや小分子の生体膜透過性を亢進させる.詳細な分子機構は未だブラックボックスであるが,膜透過性亢進の結果として宿主細胞膜の破綻を誘導し,最終的にはウイルス粒子の細胞外に放出に寄与すると考えられている

「シグナル伝達」システムの代表「MAPキナーゼ経路」
http://shushoku-signal.umin.jp/info/high/takekawa.html

p38およびJNK経路:
ストレス応答MAPキナーゼ経路とも呼ばれています。紫外線や放射線、オキシダント、熱ショック、高浸透圧など、様々な環境ストレス刺激によって活性化されて、ストレスを被った細胞に死を誘導します。また、ウイルスなどの病原体の感染によっても強く活性化されて、炎症や免疫応答の調節に中心的な役割を果たしています

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