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June 10, 2021

食品中の化学化合物は主要なSARS-CoV-2酵素を阻害することができるとの研究結果Science dailyより

Chemical compounds in foods can inhibit a key SARS-CoV-2 enzyme, study finds

食品中の化学化合物は主要なSARS-CoV-2酵素を阻害することができるとの研究結果Science dailyより

Summary:

概要

Chemical compounds in foods or beverages like green tea, muscadine grapes and dark chocolate can bind to and block the function of a particular enzyme, or protease, in the SARS-CoV-2 virus, according to a new study by plant biologists.

植物生物学者の新しい研究によると、緑茶、マスカディンブドウ、ダークチョコレートなどの食品や飲料中の化学化合物は、SARS-CoV-2ウイルスの特定の酵素、またはプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)の機能に結合し、ブロックすることができます。

protease プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)

プロテアーゼ阻害薬
デジタル大辞泉 - プロテアーゼ阻害薬の用語解説 - ウイルスがもつプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)のはたらきを阻害することで、ウイルスの増殖を抑える薬の総称。C型肝炎やHIVなどの治療に用いられる。

FULL STORY

全文

Chemical compounds in foods or beverages like green tea, muscadine grapes and dark chocolate can bind to and block the function of a particular enzyme, or protease, in the SARS-CoV-2 virus, according to a new study by plant biologists at North Carolina State University.

ノースカロライナ州立大学の植物生物学者による新研究によると、緑茶、マスカディンブドウ、ダークチョコレートなどの食品や飲料中の化学化合物は、SARS-CoV-2ウイルスの特定の酵素、またはプロテアーゼの機能に結合し、ブロックすることができます。

Proteases are important to the health and viability of cells and viruses, says De-Yu Xie, professor of plant and microbial biology at NC State and the corresponding author of the study. If proteases are inhibited, cells cannot perform many important functions -- like replication, for example.

プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)は細胞およびウイルスの健康や生存率にとって重要であると、ノースカロライナ州立大学の植物と微生物生物学の教授であり、研究の責任著者、であるDe-Yu Xieは述べています。例えば、プロテアーゼが阻害されると、細胞は複製のような多くの重要な機能を果たすことができないです。

Corresponding author 責任著者、
"One of our lab's focuses is to find nutraceuticals in food or medicinal plants that inhibit either how a virus attaches to human cells or the propagation of a virus in human cells," Xie said.

「私たちの研究室の焦点の一つは、ウイルスがヒト細胞に吸着する方法またはヒト細胞のウイルスの増殖を阻害する食物または薬用植物の機能性食品を見つけることです」と、Xieが言いました。

nutraceuticals 機能性食品
propagation 増殖

In the study, the NC State researchers performed both computer simulations and lab studies showing how the so-called "main protease" (Mpro) in the SARS-CoV-2 virus reacted when confronted with a number of different plant chemical compounds already known for their potent anti-inflammatory and antioxidant properties.

この研究では、ノースカロライナ州立大学の研究者は、SARS-CoV-2ウイルスのいわゆる「メインプロテアーゼ」(M pro)が、強力な抗炎症および抗酸化特性で既に知られている多くの異なる植物化学化合物に直面したときにどのように反応するかを示すコンピュータシミュレーションとラボ研究の両方を行いました。

main protease" (Mpro) :メインプロテアーゼ(M pro)

"Mpro in SARS-CoV-2 is required for the virus to replicate and assemble itself," Xie said. "If we can inhibit or deactivate this protease, the virus will die."

「ウイルスが複製および組み立てするためには、SARS-CoV-2のメインプロテアーゼ」(M pro)が必要です。「このプロテアーゼを阻害または非活性化できれば、ウイルスは死んでしまいます。

Computer simulations showed that the studied chemical compounds from green tea, two varieties of muscadine grapes, cacao powder and dark chocolate were able to bind to different portions of Mpro.

コンピュータシミュレーションは、緑茶、マスカディンブドウの2種、カカオパウダーとダークチョコレートから研究された化学化合物はメインプロテアーゼ(M pro)の異なる部位に結合できることを示した。

"Mpro has a portion that is like a 'pocket' that was 'filled' by the chemical compounds," Xie said. "When this pocket was filled, the protease lost its important function."

「メインプロテアーゼMpro は、化学化合物によって「満たされる」「ポケット」のような部分を持っています」と、Xieが言いました。「このポケットが満たされたとき、プロテアーゼは重要な機能を失いました。

In vitro lab experiments completed by Yue Zhu, an NC State Ph.D. student in Xie's lab, showed similar results. The chemical compounds in green tea and muscadine grapes were very successful at inhibiting Mpro's function; chemical compounds in cacao powder and dark chocolate reduced Mpro activity by about half.

Xie研究室においてノースカロライナ州立大学博士課程学生、ユエ・ジューによって完了したインビトロラボ実験も同様の結果を示した。緑茶とマスカディンブドウの化学化合物は、メインプロテアーゼ(M pro)機能を阻害することに大成功しました; カカオパウダーとダークチョコレートの化学化合物は、メインプロテアーゼ(Mプロ)の活性を約半分に減らしました。

"Green tea has five tested chemical compounds that bind to different sites in the pocket on Mpro, essentially overwhelming it to inhibit its function," Xie said. "Muscadine grapes contain these inhibitory chemicals in their skins and seeds. Plants use these compounds to protect themselves, so it is not surprising that plant leaves and skins contain these beneficial compounds."

「緑茶はメインプロテアーゼMproのポケット内の異なる部位に結合する5つの試験された化学化合物を有し、本質的にその機能を参らせて阻害すると」とXie氏は述べた。「マスカディンブドウは、皮や種子にこれらの阻害性化学物質を含有しています。植物は、自分自身を保護するためにこれらの化合物を使用します, 植物の葉や果皮はこれらの有益な化合物が含まれていることは驚くべきことではありません。

用語

お茶特有のポリフェノール・カテキンってどんな成分?ポリフェノールを上手に引き出す淹れかたもご紹介
https://shop.senchado.jp/blogs/tea_life/catechin_2005

カテキン(タンニン)がもたらすお茶ならではの渋味数あるポリフェノールのうち、お茶に多く含まれるのがカテキン類です。日本茶に特有の渋味・苦味をもたらし、日本茶の味を決める大切な要素でもあります。

ちなみに、古くから植物に含まれる渋味成分全般を「タンニン」と呼んできました。お茶に含まれるタンニンはほとんどがカテキン類であるため、日本茶においてはカテキン≒タンニンとして考えられています。

お茶に含まれるカテキン類は、主に次の4種類です。
・エピカテキン(EC)
・エピカテキンガレート(ECg)
・エピガロカテキン(EGC)
・エピガロカテキンガレート(EGCg)

マスカディンブドウ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%89%E3%82%A6

マスカディンブドウ(英: muscadine、または Vitis rotundifolia)[1] は、米国のデラウェアからフロリダを含む東南部から、南部中央のテキサスやオクラホマにかけて自生し、また、栽培されている[2]ブドウである。
16世紀から栽培されており、温暖で湿度が高い土地の気候によく適応している。

ポリフェノール
果皮 - エラグ酸、ミリセチン、クェルセチン、ケンペロール、レスベラトロール

チョコレート・ココア健康講座

http://www.chocolate-cocoa.com/lecture/q3/index.html

「カカオポリフェノール」はどのようなものですか?

A

カカオポリフェノールは、チョコレート・ココアの原料であるカカオ豆に含まれるポリフェノールの事です。
カカオポリフェノールは、主に、エピカテキン、カテキンとプロシアニジン(エピカテキンやカテキンがいくつか結合した化合物)からなります。簡単に言いますと、エピカテキンをメインとするいくつかの化合物の混合物です。これらはフラバノール(フラバン-3-オール)とも呼ばれます。
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Polyphenol

ポリフェノール(Polyphenol)は、右図に示すように、ベンゼン環(亀の甲)に数個以上のフェノール性水酸基(-OH基)を持つ化合物の総称です。植物体の光合成でつくられる色素・苦味・渋みなどの成分で、自然界には大変多く存在します。

Flavonoid

このポリフェノールの水酸基は、容易に自身が酸化されるため、疾病や老化の原因となる活性酸素種を捕えて消去する活性酸素消去能があります。

抗酸化性とは、この活性酸素消去能のことで、様々な疾病を予防防する力が期待されます。
カカオに含まれるポリフェノールの中で最も量が多いのはフラボノイド(Flavonoid)で、強い抗酸化力をもったものが多く、右図のような基本骨格をもっています。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)メインプロテアーゼの分子動力学シミュレーションデータを公開
https://www.riken.jp/press/2020/20200323_2/

本データは、ウイルス増殖に必須であるプロテアーゼ活性を効率よく阻害する阻害薬の開発、候補分子のスクリーニングなどに役立つと期待できます。

コロナウイルスは一本鎖RNAをゲノムとして持ち、宿主細胞に感染するとRNAゲノムから長いタンパク質(ポリタンパク質[5])が翻訳されます。このポリタンパク質が切断されることで、それぞれの断片がウイルスの増殖に必要な構造タンパク質や酵素として働きます。この酵素のうち、ポリタンパク質の切断を主に触媒するのがメインプロテアーゼです。メインプロテアーゼの切断活性を阻害する抗ウイルス薬の開発が進められており、既に、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)など既存ウイルスのプロテアーゼ阻害薬とSARS-CoV-2メインプロテアーゼの複合体の立体構造(X線結晶解析[6]データ)が複数の研究機関から報告されています。MDシミュレーションは、細胞内に近い状況での分子間相互作用を解析する手法であり、水溶液中での分子の動きや溶媒効果[7]を考慮した創薬スクリーニングを高精度に進めるための情報を得ることができます。

メインプロテアーゼのことを調べていた時に見つけました。図解いりで詳しく説明しています。
コロナウイルスの構造と複製サイクル(ライフサイクル)

https://www.jiu.ac.jp/features/detail/id=6822

詳しい内容はURLをクリックして読んでください。

2.新型コロナウイルスの複製サイクル

ウイルスは、偏性細胞内寄生性があり、ウイルス粒子の状態では増殖できません。宿主(新型コロナウイルスではヒトの)細胞と呼ばれる寄生先が必要です。宿主細胞に侵入して、その細胞の機能を利用して自分を増やし、また、細胞から出て行きます。そのサイクルは図に示したように、7つの段階からなっています。

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June 03, 2021

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は好気性解糖を増強して複製を促進する可能性がある2-2

SARS-CoV-2 and mitochondrial health: implications of lifestyle and ageing

https://immunityageing.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12979-020-00204-x

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とミトコンドリアの健康:ライフスタイルと老化の影響

Does SARS-CoV-2 modulate mitochondrial function, either indirectly or directly, and if so, in what cells?

SARS-CoV-2は、ミトコンドリア機能を間接的または直接的に調節しますか?もしそうなら、どの細胞で調節しますか?

SARS-Cov-2 may enhance aerobic glycolysis to favour replication

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は好気性解糖を増強して複製を促進する可能性がある2-2

So why would SARS-CoV-2 do this? One possible explanation is that the virus affects the most prevalent immune cells in the lungs, monocytes/macrophages, inducing them to shift metabolically to aerobic glycolysis, which favours viral growth. The infection, in the presence of oxygen, seems to achieve this by triggering mitochondrial reactive oxygen species (ROS)production, stabilising the hypoxia-inducible factor-1α (HIF-1α), which in monocytes, consequently inhibits T-cell responses and lung epithelial cell death. It seems that high glucose levels induce viral replication [88]. Furthermore, the inflammasome can also modulate glycolysis; in macrophages, this may be a key process in metabolic reprogramming [89]. Critically,inflammasome activation can be inhibited by nuclear factor, erythroid 2-like 2 (Nfe2l2/Nrf2), which is pivotal in enhancing antioxidant defences and suppressing inflammation [90]; it therefore counterbalances NF-κB, which is also redox activated, but central to the immune response [91].

SARS-CoV-2はこれを行う理由は何ですか? 考えられる説明の1つは、ウイルスが肺、単球/マクロファージの最も広く分布している免疫細胞に影響を与え、ウイルス増殖をサポートする好気的解糖に代謝的にシフトするように誘導することです。この感染は、酸素の存在下で、ミトコンドリアの活性酸素種(ROS)産生を引き起こし、単球における低酸素誘導因子-1α(HIF-1α)を安定化させることによってこれを達成するようで、結果的にT細胞応答および肺上皮細胞死を阻害する。 高血糖値はウイルス複製を誘導する[88]と思われる。さらに、インフラマソームも解糖を調節することができます。マクロファージでは、これは代謝リプログラミングの重要なプロセスである可能性があります [89].重要なことに、インフラマソーム活性化は、抗酸化防御を強化し、炎症を抑制する上で極めて重要である核因子赤血球由来2関連因子2によって阻害することができる[90];したがって、レドックス(酸化還元)活性化も行われて転写NF-κBを相殺するが、免疫応答の中心である[91]。

mitochondrial reactive oxygen species (ROS) ミトコンドリアの活性酸素種
hypoxia-inducible factor-1α (HIF-1α), 低酸素誘導因子(HIF-1α)
glucose ブドウ糖
glucose levels 血糖値
インフラマソーム(Inflammasome)は,炎症やアポトーシスに関与するタンパク質の複合体で,炎症性CaspaseやIL-1ファミリーのサイトカインを活性化します。
glycolysis 解糖
metabolic reprogramming 代謝リプログラミング
エネルギー産生経路はミトコンドリアに依存しない解糖系に切り替わる(代謝リプログラミング)。
nuclear factor, erythroid 2-like 2 (Nfe2l2/Nrf2),
核因子赤血球由来2関連因子2(Nfe2l2/Nrf2), :酸化ストレスに対する細胞応答の主要な調節因子です
Redox レドックス(酸化還元)
nuclear factor 核内因子;
erythroid   赤血球
NF-κB;転写因子NF-κB(炎症、細胞増殖)

Another key factor is that the SARS-CoV-2 genome encodes proteins that can target the ㎋-κB pathway [66]. SARS-COV-2 therefore seems to induce a Warburg shift (aerobic glycolysis), which is a tactic that many other viruses, and cancer cells, use [47]. It is thus of relevance that that the metabolic reprogramming induced by SARS-CoV-2 can be suppressed by melatonin [92], which is a powerful antioxidant that protects mitochondria [93].In fact SARS-CoV-2 also seems to induce activation of pathways like p38 mitogen activated protein kinase (MAPK), which results in cell cycle arrest, inhibition of apoptosis, and results in a feed-forward inflammatory loop [94]; the systems it targets therefore do seem have much in common with those that are altered in cancer [95]. Critically, MAPKs also modulate mitochondrial function, for instance, interacting with the voltage dependent anion channel 1 (VDAC1) [96]. This seems to add up to the virus manipulating several pathways to invoke aerobic glycolysis, which must involve mitochondrial function.

もう一つの重要な要因は、新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノムが㎋-κB経路を標的とするタンパク質をコード化していることである[66]。そのために、SARS-COV-2は、他の多くのウイルスやがん細胞が利用しているワールブルグ(好気的解糖)を誘導していると考えられる[47]。したがって,SARS-CoV-2によって引き起こされる代謝リプログラミングが,ミトコンドリアを保護する強力な抗酸化物質であるメラトニン[92]によって抑制されることは,関連性があるといえるだろう[93]。実際、SARS-CoV-2は、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)のような経路の活性化も誘発するようで、その結果、細胞周期の停止、アポトーシスの阻害、そしてフィードフォワード炎症ループが引き起こされる[94]。重要なのは、MAPKがミトコンドリアの機能を調節していることです。例えば、電圧依存性アニオンチャネル1(VDAC1)と相互作用しています[96]。これらのことから、ウイルスは好気的解糖を引き起こすためにいくつかの経路を操作しており、それにはミトコンドリアの機能が関与していると考えられます。

Warburg shiftワールブルグ(好気的解糖)シフト
metabolic reprogramming代謝リプログラミング
mitogen activated protein kinase (MAPK) 分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ
melatonin メラトニン
cell cycle arrest  細胞周期停止
feed-forward フィードフォワード(炎症回路)

Diabetes is also associated with activation of p38 MAPK via ROS generated by glucose induced mitochondrial dysfunction that can be offset by targeted mitochondrial antioxidants [97, 98]. Not only is diabetes a risk factor for a worse outcome when infected with SARS-CoV-2, but the virus itself may induce a worsening of the condition [99,100,101]. Indeed, it now seems that fasting blood glucose is a predictor of mortality for COVID-19 patients [102]. Overall, prediabetes and/or type 2 diabetes (T2D) itself is embraced by the concept of the metabolic syndrome in which insulin resistance, mitochondrial dysfunction and inflammation are all components [12]. Metformin, which modulates mitochondrial function, is a key treatment for T2D [103] – and has shown some benefit in COVID-19 patients [104, 105].In contrast, evidence indicates that the inflammatory effect of the Western diet may induce activation of the NLRP3 inflammasome [106]. In light of the emerging data, this could only worsen the potential for an exaggerated inflammatory response.

また、糖尿病は、標的ミトコンドリア抗酸化物によって相殺できるグルコース誘発ミトコンドリア機能不全によって生成された活性酸素種(ROS)を介してp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の活性化と関連付けられている。糖尿病は新型コロナウイルスSARS-CoV-2に感染した場合に悪い結果になる危険因子であるばかりでなく、ウイルス自体が病状の悪化を招く可能性がある。確かに、空腹時血糖はCOVID-19患者の死亡率の予測値である[102]と思われる。全体として、前糖尿病および/または2型糖尿病(T2D)自体は、インスリン抵抗性、ミトコンドリア機能不全および炎症が全ての構成要素であるメタボリックシンドロームの概念によって受け入れられる[12].ミトコンドリア機能を調節するメトホルミン(経口糖尿病薬)は2型糖尿病(T2D)[103]の重要な治療法であり、COVID-19患者[104, 105].にいくつかの利益を示しています。対照的に、西洋食の炎症効果がNLRP3インフラソームの活性化を誘発する可能性があることを示す証拠があります[106].。新たなデータに照らし合わせて、これは過度の炎症応答を悪化させるだけです。

fasting blood glucose 空腹時血糖
metformin メトホルミン
メトホルミン(英: Metformin)は、ビグアナイド系薬剤に分類される経口糖尿病治療薬の一つである。

用語

01-活性酸素とミトコンドリア
https://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/aging/doc3/doc3-03-1.html

ミトコンドリアは、活性酸素の産生源として特に注目されています。私たちが呼吸で取り込んだ酸素の90%以上はミトコンドリアで使われます。ミトコンドリアの最も重要な機能は、その酸素を使って成長や生存のためのエネルギー(ATP)を作ることです。この過程で酸素の0.1-2%が活性酸素に変わるのは避けられないと考えられています(酸素の2-3%が活性酸素になると書いてある文献が多いのですが、これは初期の報告に見られる不正確な数字を使っているためと思われます。実際はもっと少ないようです)  生きるために必要な過程で生命を脅かしかねない物質が出来てしまうのは皮肉なことです。ミトコンドリアからの活性酸素の産生は老齢動物で増加するという報告が多くあります(図15を参照)。

ミトコンドリアから産生される活性酸素はミトコンドリア自身も傷害します。損傷ミトコンドリアからは一層多くの活性酸素が産生され、それがさらに傷害を増幅するという悪循環が形成されると考えられています。

このように活性酸素の発生源としてはミトコンドリアがもっとも注目されていますが、細胞内の種々の酵素反応でも主産物あるいは副産物として活性酸素(過酸化水素、スーパーオキシドラジカル)が生成しています。

低酸素誘導因子(HIF-1α)
http://anesthesia.kuhp.kyoto-u.ac.jp/lab/research01/research-05

細胞の低酸素応答
http://anesthesia.kuhp.kyoto-u.ac.jp/lab/research01/research-05

HIFは転写因子であり、その支配下にある血管増生因子・解糖系酵素・アポトーシス抑制遺伝子などの多数の遺伝子を誘導する事により、低酸素下の細胞を生存に導く事が知られています。

低酸素環境での代謝リプログラミングを促す転写制御機構の解明
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PUBLICLY-26116702/

細胞はミトコンドリアで酸素を燃焼させることにより、生存に必要なエネルギーの大部分を得ている。そのため、細胞への酸素供給が低下すると、生命の存続を脅かす「低酸素ストレス」となる。一方、生体は低酸素ストレスに対する防御機構を備えており、低酸素誘導性転写因子HIFを中心とした遺伝子発現様式の変化が分子基盤となっている。低酸素応答機構では、赤血球産生や血管新生などに関連した遺伝子発現が誘導され、エネルギー産生経路はミトコンドリアに依存しない解糖系に切り替わる(代謝リプログラミング)。この低酸素誘導性代謝リプログラミングでは、HIFによる遺伝子発現誘導に加え、酸素や代謝産物・基質の量的変動によって様々な酵素の活性が変化することが重要な引き金となる。

酸化ストレスとレドックス制御
〜タンパク質の酸化的修飾と活性調整〜
http://plaza.umin.ac.jp/j-jabs/32/32.265.pdf

II. レドックス制御

レドックスとは還元(reduction)と酸化(oxidation)の合成語である。酸化還元反応は2つの物質間に電子の授与が起こる反応であるが、レドックス制御とは分子の酸化還元反応による細胞機能の調節、すなわち遺伝子の転写や発現、タンパク質の細胞内局在や合成、分解、および細胞の増殖、分化、アポトーシス、ネクローシス、細胞間伝達などが制御される現象の総称である。生体は外界から常にいろいろなストレスにさらされている。しかし、いつもそのストレスに屈するわけではないのは、生体内にあるいろいろな制御システムによって生体の恒常性(ホメオスタシス)を維持しているからである。レドックス制御とは、生体の酸化還元状態を制御することによってこのような多彩なストレスに適応しホメオスタシスを維持する、地球上の生命の存続に必要な基本システムであると考えて良いだろう。このシステムは多くの外来性の因子、すなわち薬剤、放射線、紫外線、環境物質である農薬、ダイオキシンなど、また、高熱、低温、低酸素状態に適応するように機能する

転写因子NFκB
https://www.activemotif.jp/nfkb-transcription-factor

転写因子NFκB (NF kappa B, NF- κB, またはnuclear factor κB)は、炎症、細胞増殖、細胞の生存を調節する遺伝子の制御に関わることから幅広く研究されています。 NFκBは、TNF(Tumor Necrosis Factor)や、IL-1 (interleukin-1)などのサイトカイン、フリーラジカル、紫外線照射、ストレス、細菌・ウイルスなどの刺激に対する細胞の暴露により活性化されます1-3。

Warburg効果
https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/2339.html

Warburg効果(好気的解糖).Warburg効果とは,50年以上前にOtto Warburgが観察した現象で,がん細胞は有酸素下でもミトコンドリアの酸化的リン酸化よりも,解糖系でATPを産生する現象である.グルコースは解糖系で代謝された後にミトコンドリアに入ることなく,乳酸に変換される.解糖系は酸化的リン酸化と比較して,ATP産生速度は速いが効率がきわめて悪い.その結果,がん細胞は大量のグルコースを消費することになる.このWarburg効果,実はそのメカニズムもアドバンテージもいまだに明らかになっていない

メラトニンの免疫増強効果
https://www.1ginzaclinic.com/melatonin-cancer.html

胸腺や脾臓やリンパ節など免疫組織においてメラトニン受容体(MT1とMT2)が発現していることが確認されています。 Tリンパ球や単球の表面にメラトニン受容体があり、メラトニンはこの受容体を介してリンパ球や単球を刺激して、インターフェロンγ(IFN-γ)やインターロイキン(IL)1,2,6,12などの免疫反応を増強するサイトカイの分泌を促進する作用があります。これらのサイトカインは1型ヘルパーT細胞(Th1)を増やし、キラーT細胞(細胞傷害性T細胞)による細胞免疫を増強します。

1型ヘルパーT細胞(Th1)とは細胞性免疫を亢進するヘルパーT細胞です。 リンパ球にはB細胞・T細胞・ナチュラルキラー細胞などがあります。 B細胞は抗体を使って細菌やウイルスを攻撃するもので、これを「液性免疫」といいます。IgEという抗体の一種が関与するアレルギー性疾患はこの液性免疫が過剰に反応する結果発生します。

一方、ウイルス感染細胞やがん細胞など自分の細胞に隠れている異常を発見して、Tリンパ球などが直接攻撃する免疫の仕組みを「細胞性免疫」といいます。 この液性免疫と細胞性免疫の制御は2種類のヘルパーT細胞 (Th) のバランスによって決まります。

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June 01, 2021

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は好気性解糖を増強して複製を促進する可能性がある2-1

SARS-CoV-2 and mitochondrial health: implications of lifestyle and ageing

https://immunityageing.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12979-020-00204-x

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とミトコンドリアの健康:ライフスタイルと老化の影響

Does SARS-CoV-2 modulate mitochondrial function, either indirectly or directly, and if so, in what cells?

SARS-CoV-2は、ミトコンドリア機能を間接的または直接的に調節しますか?もしそうなら、どの細胞で調節しますか?

SARS-Cov-2 may enhance aerobic glycolysis to favour replication

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は好気性解糖を増強して複製を促進する可能性がある2-1

aerobic glycolysis 好気性解糖

Emerging data is now suggesting that T-cell mediated immunity may be playing a powerful role in protecting against the virus, as many asymptomatic people, or those who have only had mild symptoms, show low levels of anti-SARS-CoV-2 antibodies but a strong T-cell mediated response against the virus. In contrast, more severe disease is associated with more rapid seroconversion and the presence of inflammatory markers, such as C-reactive peptide (CRP) [75, 76]. In fact, it now appears that the severity of infection positively correlates with a decreased type 1 interferon (IFN1) response, but an exaggerated inflammatory response, characterised by high levels of interleukin 6 (IL-6) and tumour necrosis factor alpha (TNFα) –possibly related to excessive activity of nuclear factor kappa B (NF-κB). This latter finding could be related to an auto-inflammatory loop in the lungs [77]. It does seem that in some people that the transcriptional response to SARS-CoV-2 is imbalanced, with a less than optimal interferon-I and -III response, but an exaggerated chemokine one; this may represent an evolved manipulation of the immune system by the virus that worsens the outcomes for older patients with co-morbidities as they cannot clear the virus properly [78].

多くの無症候性の人々、または軽症の人々は低レベルの抗新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体を示すが、ウイルスに対して強力なT細胞性媒介応答を示しているので、新しいデータは、T細胞性免疫がウイルスからの防御に強力な役割を果たしている可能性があることを示唆しています。対照的に、より重症者は急速なセロコンバージョン(抗体陽転)およびC反応性蛋白(CRP)などの炎症マーカーの存在と関連しています[75、76]。実際、感染の重症度は、抗ウイルス活性の1型インターフェロン(IFN1)の抗ウイルス応答の低下と正の相関があるように見えますが、高レベルのインターロイキン6(IL-6)と腫瘍壊死因子α(TNFα)を特徴とする過剰な炎症応答が核因子κB(NF-κB)の過剰な活性に関連している可能性がある。この後者の発見は、肺の自己炎症増幅ループに関連している可能性があります[77]。一部の人々では、SARS-CoV-2に対する転写応答が不均衡であり、インターフェロン-Iおよび-IIIの応答が最適ではないが、ケモカインの応答は誇張されているようです。これは、ウイルスによる免疫系の進化した操作を表している可能性があり、ウイルスを適切に除去できないため、併存疾患のある高齢患者の転帰を悪化させます[78]。

anti-SARS-CoV-2 antibodies 抗 SARS-CoV-2 抗体
T-cell mediated response T細胞性媒介応答
seroconversion :セロコンバージョン、抗体陽転
C-reactive protein :C反応性蛋白
NF-κB:核内因子κB  ウィキペディア(Wikipedia)
NF-κBはストレスやサイトカイン、紫外線等の刺激により活性化される[1]。NF-κBは免疫反応において中心的役割を果たす転写因子の一つであり、急性および慢性炎症反応や細胞増殖、アポトーシスなどの数多くの生理現象に関与している
Loop ループ、輪
IL-6 は自身の細胞に作用するという増幅ループ(炎症アンプ)が形成され、これが自己免疫疾患モデル(F759 関節炎や多発性硬化症モデル:EAE)の発症に深く関与する。
transcriptional response 転写応答
chemokine one ケモカイン1
outcomes転帰(疾患・怪我などの治療における症状の経過や結果をさす。)

Data from autopsies of deceased COVID-19 patients show that tissue inflammation and organ dysfunction do not map to the cellular distribution of the virus, hinting at tissue-specific tolerance. In fact, severe inflammatory changes seem to be largely restricted to the lungs and the reticulo-endothelial system.This suggested that COVID-19 related deaths were due to immune-mediated, rather than pathogen-mediated organ inflammation and injury [79]. It may therefore be relevant that IFN1 can also have some anti-inflammatory actions, modulating for instance, NLRP1/3 inflammasomes and inhibiting interleukin-1 (IL-1) production [80]. Type 1 interferons are key in modulating T-cell responses and resistance to viruses [81, 82].

死亡したCOVID-19患者の解剖からのデータは、組織炎症および器官機能不全がウイルスの細胞分布にマッピングされないことを示し、組織特異的耐性をほのめかす。実際、重度の炎症変化は、主に肺および細網内皮系に限定されているようだ。これは、COVID-19関連死は、病原体媒介性臓器の炎症および傷害ではなく、免疫媒介によるものである[79]ことを示唆した。したがって、抗ウイルス活性のインターフェロンI 型(IFN1)は、例えばNLRP1/3インフラムソームを調節し、炎症性サイトカインのインターロイキン-1(IL-1)産生を阻害する抗炎症作用を有することもできることに関連している可能性がある[80]。1型インターフェロンはT細胞応答およびウイルスへの抵抗性を[81,82]を調節する鍵です。

tissue-specific tolerance 組織特異的耐性
reticulo-endothelial system 細網内皮系 ウィキペディア(Wikipedia)
細網内皮系(さいもうないひけい、英: reticuloendothelial system; RES)とは間葉に由来し、異物を貪食することにより生体の防御に関与している細胞の総称
IFN1:Interferon1 インターフェロン1型(抗ウイルス活性)
interleukin-1 (IL-1) インターロイキン-1 (IL-1)  炎症性サイトカイン

It had been suggested that as the virus uses ACE2 as a receptor on the cell surface it could trigger activation of the renin-angiotensin-aldosterone system (RAAS), which in turn, leads to hyperactivation of the NLRP3 inflammasome and pyroptosis, a form of cell death that results in inflammatory amplification [81]. Data does now seem to support this and has been shown in various types of human stem cells – which could potentially affect tissue regeneration [83]. ACE2 cleaves angiotensin II to generate angiotensin (1–7), which is largely anti-inflammatory and protective [84]. Critically, mitochondria have a functional angiotensin system [85], and ACE2 seems to be mitochondrially protective [86]. Potentially of interest here is that a product of ACE2, angiotensin-(1–9), seems to inhibit mitochondrial fission in the heart, enhancing mitochondrial fusion and calcium buffering and protecting against cardiac hypertrophy [87]. It is thus possible, by binding to ACE2, the virus may suppress a counter-balancing anti-inflammatory pathway that affects mitochondrial function.

ウイルスは細胞表面の受容体としてアンジオテンシン変換酵素II (ACE2)を受容体として使用するので、それはレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の活性化を引き起こす可能性が示唆されていたが、順番に、これはNLRP3インフラソームの過剰活性化および炎症増幅をもたらす細胞死の一種であるパイロトーシスにつながる[81]。データはこれをサポートしているようで、さまざまな種類のヒト幹細胞で示されており、組織再生に影響を与える可能性があります[83]。ACE2はアンジオテンシンIIを切断してアンジオテンシン(1-7)を生成し、これは主に抗炎症と保護である[84]。重要なことに、ミトコンドリアは機能的なアンジオテンシン系[85]を有し、ACE2はミトコンドリアを保護するようである。[86]。ここでの潜在的に興味深いのは、ACE2の産物であるアンジオテンシン(1-9)が心臓のミトコンドリア核分裂を阻害し、ミトコンドリア融合とカルシウム緩衝を増強し、心臓肥大に対する保護を行う[87]ということです。したがって、ACE2に結合することによって、ウイルスはミトコンドリア機能に影響を与えるバランスの取れている抗炎症経路を抑制する可能性がある。

ACE2(Angiotensin-converting enzyme 2、アンジオテンシン変換酵素II
Renin-Angiotensin-Aldosterone System;RAAS
レニン-アンジオテンシン‐アルドステロン系 (血圧上昇のメカニズム)
pyroptosis, パイロトーシス(炎症誘導性の細胞死)

用語

C反応性蛋白(CRP)を調べていた時に見つけた。
肺炎の診療―ガイドラインの進歩
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/12/100_3522/_pdf

肺炎診断の進歩と実際
3.血液検査〜CRPの重要性〜
1.CRPとは
CRPは代表的な炎症マーカーで,肺炎球菌の細胞壁のC多糖体と反応する蛋白質であることから,この呼び名がつけられた1).感染症に惹起されて炎症が発生すると,局所で産生されるTNF-,IL-1といったサイトカインが,肝臓のクッパー細胞(Kupffer細胞)に作用し,IL-6 産生を刺激する.そのIL-6 は,肝細胞に作用して,CRPを産生させる.

ケモカイン
https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi/wiki.cgi?%E3%82%B1%E3%83%A2%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%B3

インターロイキン-8など特定の白血球に作用し,その物質の濃度勾配の方向に白血球を遊走させる活性(走化性)を持つサイトカインを総称し,ケモカインという.ケモカインは炎症部で大量に産生され,血管内から炎症組織内への白血球の遊走をもたらす.現在までに50以上にも及ぶケモカインが同定されているが,これらはいずれも良く保存された4つのシステイン残基を持ち,N 末端側の2個のシステイン残基が形成するモチーフにより,CXC,CC,CX3C,Cの4つのサブファミリーに分類されている.ケモカイン受容体は,いずれもGタンパク質共役型受容体であるが,白血球の種類により発現する受容体の種類が異なっていることが知られている.[FYI用語解説(ファルマシアVol.41,No.6)より転載]

auto-inflammatory loop 自己炎症のloopの意味を調べていた時に見つけた文献です。

炎症誘導機構『炎症アンプ』は様々な病気に関連していた!
- 慢性炎症性疾患の新規治療法開発へ –
https://www.jst.go.jp/crest/immunesystem/pdf/20130221.pdf

図1 炎症アンプは非免疫系細胞の炎症誘導機構である血管内皮細胞や線維芽細胞といった非免疫系細胞が、IL-6 とIL-17 などの転写因子STAT3 およびNF-kB を同時活性化させるような因子によって刺激を受けると、それぞれの単独刺激と比較して大量のIL-6 やケモカインといった炎症性因子が発現誘導される(赤色の棒グラフ)。放出されたIL-6 は自身の細胞に作用するという増幅ループ(炎症アンプ)が形成され、これが自己免疫疾患モデル(F759 関節炎や多発性硬化症モデル:EAE)の発症に深く関与する。

増幅ループ(炎症アンプ)のことを知り調べていたらインターロイキン6(IL-6)が自己炎症の元であり関節リウマチなどの炎症性疾患に関係しています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はサイトカインストーム症候群である
https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/4565

SARS-CoV-1やMERS-CoVで引き起こされるARDSではサイトカインストームが生じているが[1]、COVID-19でもInterleukin 1(IL-1), Tumor Necrosis Factor alpha (TNFα) やIL-6などの炎症性サイトカインの産生が増加している[9] [7]。また、重症のARDSにおいては血中IL-6濃度が上昇している [10] [11]。COVID-19におけるARDSはサイトカインストームによって生じていると考えられており、ARDSの治療には単に抗ウイルス薬のみでは不十分で、サイトカインストームを抑制することが必要であると考えられる[12] [13]。

1986年のIL-6発見により[20]、IL-6は免疫反応のみならず、血液系、神経系、内分泌系や初期発生など生体の恒常性維持や慢性炎症性疾患やがんに重要な役割を果たしているサイトカインであることが明らかになった[21]。またIL-6受容体を介してJAKSTAT3活性化経路とSHP2/GAB/ERK/MAPK活性化経路の主たるシグナル伝達系が活性化され、細胞の増殖、生存、分化に関与していることが明らかにされるとともに、IL-6受容体を介するシグナル伝達異常が関節リウマチなどの慢性炎症性疾患を引き起こす[22]。さらに、慢性炎症誘導の基盤として炎症性サイトカイン産生増幅回路であるIL-6アンプ(IL-6 AMP:IL-6 amplifier)の存在が明らかにされた[23]。IL-6 アンプは、気管支・肺胞上皮細胞、線維芽細胞や血管内皮細胞などの非免疫細胞に存在し、非免疫細胞と免疫細胞の相互作用を仲介するとともに、NF-kB経路とSTAT3経路の同時活性化によってNF-kB活性化の亢進を誘導し、種々の炎症性サイトカインやケモカイン、増殖因子などを病態局所にて持続的に産生する[22]。IL-6アンプは、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患や自己免疫疾患やがんなどに関与している[24] [25]【図表1】。実際に、抗IL-6受容体抗体トシリズマブが関節リウマチなどの慢性炎症性疾患の治療に有効である[26] [27]。


ARBの解説
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf82a5.html

アンジオテンシンIIはアンジオテンシンIIの受容体に作用して血管収縮作用や副腎皮質からアルドステロンという物質を分泌させる作用などをあらわす。アルドステロンは腎臓に働きナトリウムイオン(Na+)の再吸収に関わることで循環血液量の増加がおき、心拍出量や末梢血管抵抗が増加する。これらの作用により血圧の上昇がおこる。またアンジオテンシンIIには心臓の肥大化や腎臓の線維化(腎機能が低下した状態)を促進する作用もあると考えられている。

細胞死のメカニズム:パイロトーシス
https://blog.cellsignal.jp/mechanisms-of-cell-death-pyroptosis

パイロトーシス
パイロトーシスは、病原体関連分子パターン (PAMPs: Pathogen-Associated Molecular Patterns) またはダメージ関連分子パターン (DAMPs: Damage-Associated Molecular Patterns) の存在下で、細菌、ウイルス、真菌、原生生物の細胞内感染時に誘導されるプログラムされたネクローシス性細胞死の一種です。これは通常、単球、マクロファーおよび樹状細胞などの自然免疫系の細胞で誘導されます。パイロトーシスは、しばしば病原への感染により引き起こされ得る細胞死の主要な様式であり、ネクロトーシスのような他のタイプの細胞死は、カスパーゼ酵素が利用できないときに、二次的なプロセスとして生じると考えられています。パイロトーシスを受ける細胞には、細胞の膨潤、膜のブレブ形成、DNAの断片化といった形態学的な特徴がみられ、最終的に細胞が溶解します。しかし、核はしばしば無傷のまま残り、これが核の崩壊が起こるアポトーシスやネクロプトーシスとは異なります。

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