「人間、ホルメシス、運動および免疫系」免疫系、ホルメシス(低レベルストレス)およびミトコンドリアより
SARS-CoV-2 and mitochondrial health: implications of lifestyle and ageing
https://immunityageing.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12979-020-00204-x
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とミトコンドリアの健康:ライフスタイルと老化の影響
The immune system, hormesis and mitochondria
免疫系、ホルメシス(低レベルストレス)およびミトコンドリア
Humans, hormesis, exercise and the immune system
人間、ホルメシス、運動および免疫系
The effects of hormesis, certainly for humans, are perhaps most clearly seen in response to exercise training, in particular, aerobic training, where both mitochondrial capacity and function is increased in young and old [123, 124]. This is matched by increased survival and healthier ageing in cohorts who undertake plenty of physical activity [125]. Active muscle is generally inflammatory, but commensurately induces counterbalancing powerful anti-inflammatory and anti-oxidant mechanisms throughout the body. Exercise thus appears to show a biphasic dose response and the evidence is building that as long as it is not done excessively, in particular, allowing time for recovery, it is highly beneficial: over time the adaptive over-compensation includes an improved anti-inflammatory and anti-oxidant feedback (25-28) [126].
確かに人間にとってのホルミシスの効果は、運動トレーニング、特にミトコンドリアの能力と機能の両方が老いも若きも増加する有酸素トレーニングに反応しておそらく最もはっきりと見られます[123、124]。 これは、多くの身体活動を行うコホート(臨床試験の対象集団)において生存率の向上とより健康的老化と一致します[125]。 活動中の筋肉は一般的に炎症性ですが、それに比例して、体全体に強力な抗炎症および抗酸化メカニズムのバランスを取ります。したがって、運動は二相性の用量反応を示すようであり、特に回復のための時間を与えて過度に行われない限り、それは非常に有益であるという証拠が構築されています。時間の経過とともに適応性超回復には抗炎症の改善および抗酸化フィードバックが含まれます。(25-28)[126]。
aerobic training 有酸素トレーニング
cohorts :コホート
出生年など、ある性質が一致する個人からなる集団。医学では、コホートとは臨床試験または臨床研究の対象者の集団のことであり、一定の期間にわたって観察が行われる。
biphasic 二相性
dose response用量反応 –
overcompensation:超回復:ポーツなどで筋肉を酷使した場合やけがなどで筋肉を損傷した場合に、弱った(もしくは残存した)筋肉が以前よりパワーを増すような回復を示すこと
Muscle has now been shown to have other functions, like harbouring and supplying anti-viral stem T-cells, hence, antagonising T-cell exhaustion and protecting proliferative potential during inflammation [127]. In contrast white adipose tissue plays a key role in adaptive immunity, and in excess, contributes to the altered immune function and chronic inflammation often associated with obesity [128].In particular, excessive visceral adipose tissue (VAT), seems to play a pivotal role in obesity-related pathogenesis; critically, its volume is decreased by exercise [129]. Furthermore, not only does type 1 interferon unlock dormant adipocyte inflammatory potential [130], but exercise reduces adipose expression of NLRP3 [131]. It therefore seems that adipose tissue and muscle play a yin-yang role in the immune response, whose set point will thus be determined by an individual’s fitness and calorie balance, and overall mitochondrial capacity and health, and thus, reserve.In short, mitochondrial reserve, and thus spare respiratory capacity, is pivotal in enhancing the “healthspan”, and is greatly improved by exercise [109]. The key here is that stress can be signalled from mitochondria in any tissue to the rest of the body by way of “mitokines”; muscle activity is a prime inducer of mitochondrial stress [132].
筋肉(骨格筋)は現在、抗ウイルス性幹T細胞を含み、供給するなど、他の機能を持っていることが示されています。したがって、T細胞の枯渇に拮抗し、炎症中のウイルス増殖能を防御します[127]。対照的に、白色脂肪組織は適応免疫において重要な役割を果たし、過剰において、肥満に関連することが多い免疫機能の変化と慢性炎症の一因となります[128]。特に、過剰な内臓脂肪組織(VAT)は、肥満関連の病因において極めて重要な役割を果たしているようです。決定的に、その量は運動によって減少します[129]。さらに、1型インターフェロンは休眠中の脂肪細胞の炎症の可能性を解き放つだけでなく[130]、運動はインフラマソーム(NLRP)の脂肪発現を減少させます[131]。したがって、脂肪組織と筋肉は免疫応答において陰陽の役割を果たしているようです。その設定値は、個人のフィットネスとカロリーのバランス、および総合的なミトコンドリアの能力と健康、したがって予備力によって決定されます。したがって、脂肪組織と筋肉は免疫応答において陰陽の役割を果たしているようです。その設定値は、個人のフィットネスとカロリーのバランス、および全体的なミトコンドリアの能力と健康、したがって予備力によって決定されます。要するに、ミトコンドリアの予備力、したがって予備の呼吸能力は、「健康スパン」を高める上で極めて重要であり、運動によって大幅に改善されます[109]。ここで重要なのは、ストレスはあらゆる組織のミトコンドリアから「マイトカイン」を介して体の残りの部分に信号を送ることができるということです。 筋活動はミトコンドリアストレスの主要な誘発因子です[132]。
white adipose tissue 白色脂肪組織
visceral adipose tissue (vat) 内臓脂肪組織,
mitokines:マイトカイン
用語
*リファレンス127を調べてみたら筋肉は骨格筋と分かりました。
Skeletal muscle antagonizes antiviral CD8+ T cell exhaustion
https://advances.sciencemag.org/content/6/24/eaba3458
骨格筋は抗ウイルス性の細胞障害性CD8+ T細胞の枯渇を相殺する。
*細胞傷害性T細胞の概要
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/cell-analysis/cell-analysis-learning-center/immunology-at-work/cytotoxic-t-cell-overview.html
細胞傷害性T細胞とは?
CD8+T細胞と呼ばれることの多い細胞障害性リンパ球(CTL)は、適応免疫系の重要な構成要素であり、ウイルスや細菌などの細胞内病原体や腫瘍に対する免疫防御に重要な役割を果たします[1]。ヘルパーCD4+ T細胞(Th1、Th2、Th9、Th17、Th22、Tfh、およびTregなど)と同様に、CTLは胸腺で生成され、αβ-T細胞受容体またはTCRを発現します。しかし、CD4+ T細胞とは異なり、CTLはCD8+補助受容体をその表面に発現し、MHCクラスIに提示された外来抗原に応答します。
ナイーブ/休止CD8+ T細胞は、感染を除去するために体をスキャンする細胞傷害性エフェクター細胞への増殖と分化により病原体に応答する圧倒的な能力を持っています。CD8+ T細胞が欠如すると、抗腫瘍免疫が阻害され、腫瘍増殖に対する感受性が高まります。D8機能の調節障害は、免疫病理または免疫媒介性損傷につながる過剰な免疫応答の一因となる場合もあります。循環血中およびリンパ節に常在するCD8+ T細胞は、ナイーブT細胞、エフェクターT細胞、およびメモリーT細胞のサブセットへの分化状態に応じて古典的に細分化されます。
*休眠細胞を調べていたときに見つけた記事
運動不足の筋肉は“霜降り化”する?
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/14/091100003/112700023/?P=3
筋肉と脂肪細胞のどちらにでもなれるサテライト細胞
筋肉は、動かさないと中に脂肪がたまり、〝霜降り〟状態になるそうです
霜降りは解消できる! 筋肉を動かすのが決め手
ただ、いいニュースもある。後藤さんによると、通常、サテライト細胞は増殖する能力がとても高いので、たとえ筋肉が一度霜降り化しても、再生は十分に可能なのだという。
「運動不足の筋線維は細くなっていますが、消えてなくなることはない。動かしさえすれば、サテライト細胞が融合して太くなる作用が再び始まります」
図2◎ 休眠状態のサテライト細胞を活性化させると筋肉になる
*NLRP3を調べていたときに見つけた記事
新しい抗炎症物質が見つかった
https://www.natureasia.com/ja-jp/nm/pr-highlights/9752
New anti-inflammatory compounds identified
NLRP3は免疫系タンパク質の1つで、インフラマソームと呼ばれるタンパク質複合体の構成成分である。インフラマソームは自己免疫疾患、2型糖尿病、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、自己炎症性疾患などの複数の病気に関わり、炎症応答を促進する。今回、2つの研究グループがNLRP3の働きを阻害する化合物を見つけて、それぞれ報告している。
V D Dixitたちは、絶食、激しい運動、カロリー制限や低炭水化物ケト原性食の摂取に応答して体内で生産される代謝産物であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)にNLRP3を直接阻害する作用があることを明らかにした。
*Mitokineマイトカインを調べてみるとマイオカイmyokine(骨格筋から分泌される生理活性 物質の総称)で良く出てきて、マイトカインのことがわからずやっと見つけた文献です。
Autophagy deficiency leads to protection from obesity and insulin resistance by inducing Fgf21 as a mitokine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23202295/
オートファジー減弱はFGF-21(線維芽細胞増殖因子21)ををマイトカインとして誘導することにより、肥満とインスリン抵抗性からの保護につながります。
*細胞外分泌因子FGF21による生体機能調節
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2016.880086/data/index.html
多機能性細胞間シグナル因子である線維芽細胞増殖因子(FGF)は22種類存在し,それぞれ独自の生理的意義を有する.その一つであるFGF21は,肥満症や肥満症を発症基盤とする糖脂質代謝異常を改善する薬理作用を持つため,医学薬学分野において注目を集めてお
尚、尚、高脂肪低炭水化物(ケトン食)はFGF-21(線維芽細胞増殖因子21)を誘発するそうです。
*(1) 骨格筋から分泌される生理活性因子(マイオカイン)の探索
https://www.comp.tmu.ac.jp/muscle/Kenkyuugaiyou.html
運動が健康に良いことは、多くの人が経験的にも認めることだと思います。運動がもたらす健康効果は多様で、しかも全身に現れます。疫学研究によると、習慣的な運動は種々のガンの発症リスクを減らします。また、アルツハイマー病の発症を減らし(脳)、インスリン分泌能を高め(膵臓)、免役能を高め(血球系)、代謝機能を亢進(筋・脂肪・肝・心臓)させます。なぜ、このように多様な効果が全身に現れるかは、じつはほとんど分かっていません。
本研究室は、骨格筋から分泌される多様な生理活性因子(総称してマイオカインと呼ばれます)群が、血液循環を経て全身に作用し、健康効果をもたらしているのかもしれないと考えています。最近まで、このアイディアを科学的に検証することは、方法論的に困難でした。わたしたちはこの困難を克服し、マイオカイン探索の冒険に出発しました。
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