新型コロナウイルス感染症COVID-19治療に有効な代替品としての精油:薬物動態的および毒性的特性を有するメインプロテアーゼ(Mpro)の分子間相互作用分析PUBMEDより
Essential oils as an effective alternative for the treatment of COVID-19: Molecular interaction analysis of protease (Mpro) with pharmacokinetics and toxicological properties
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33848890/
COVID-19治療に有効な代替品としての精油:薬物動態的および毒性的特性を有するメインプロテアーゼ(Mpro)の分子間相互作用分析PUBMEDより
Protease:プロテアーゼ
プロテアーゼ (protease)は、タンパク質をより小さなポリペプチドや単一のアミノ酸への分解を触媒する (速度を上げる) 加水分解酵素の総称である。ウイキペディアより
pharmacokinetics 薬物動態
Abstract
要旨
Background
背景
The current health concern to the entire world is the chronic respiratory disease caused by coronavirus 2 (COVID-19). A specific treatment or proper therapy is still lacking, and the investigations from across the world for proper drug/vaccine development towards disease control are in progress. The Coronavirus replication takes place by the conversion of the polypeptide into functional protein and this occurs due to the key enzyme Main protease (Mpro). Therefore, identification of natural and effective Mpro inhibitors could be a safe and promising approach for COVID-19 control.
世界中にとって現在の健康上の不安は、コロナウイルス2(COVID-19)によって引き起こされる慢性呼吸器疾患である。具体的な治療法や適切な療法はまだ欠けており、疾病管理に向けた適切な薬物/ワクチン開発に向けた世界中からの調査が進行中です。コロナウイルス複製は、ポリペプチドを機能的タンパク質に変換することによって起こり、これは主要な酵素メインプロテアーゼ(Mpro )に起因して起こる。したがって、天然および有効なメインプロテアーゼMpro 阻害剤の同定は、COVID-19制御のための安全で有望なアプローチとなり得る。
Methods
方法
The present in silico study evaluates the effect of bioactive compounds found in Eucalyptus and Corymbia species essential oil on Mpro by docking. Molecular docking of the major seven compounds of essential oil (citronellol, alpha-terpineol, eucalyptol, D-limonene, 3-carene, o-cymene, and alpha-pinene) with Mpro was studied by AutoDock 4.2, and the properties were analysed by PreADMET and Biovia Discovery Studio visualizer.
シリコン内での研究における本研究は、ドッキング(計算科学)によってメインプロテアーゼMpro に対するユーカリおよびコリンビア種の精油に見られる生理活性化合物の効果を評価する。精油の主要な7つの化合物(シトロネロール、α-テルピネオール、ユーカリプトール(1,8シネオール)、D-リモネン、3-カレン、オ-シメン、α-ピネン)とメインプロテアーゼMproの分子ドッキングは、AutoDock Vina(ドッキング計算方法)よって研究し、その特性をPreADMETおよびBIOVIA Discovery Studio Visualizerよって分析された。
Eucalyptol:ユーカリプトール
ユーカリプトール (eucalyptol) は天然に存在する有機化合物で、環状エーテル構造を持つモノテルペノイドの一種である。1,8-シネオール、リモネンオキシド、カジェプトール (cajeptol) とも呼ばれる。 消防法による第4類危険物 第2石油類に該当する[1]。ウイキペディアより
BIOVIA Discovery Studio Visualizer:タンパク質や低分子のデータを可視化・共有し、解析するための立体分子可視化ツールです。
Corymbia コリンビア属(コリンビア属( Corymbia) はユーカリ属(Eucalyptus)の近縁であり、古くはユーカリ属に含められていた)
in silico:シリコン内で
Results
結果
The calculated parameters such as binding energy, hydrophobic interactions, and hydrogen bond interactions of 6LU7 (Mpro) with Eucalyptus and Corymbia volatile secondary metabolites represented its scope as an effective therapy option against covid-19. Among the docked compounds, eucalyptol shows the least binding energy without toxicity.
ユーカリおよびコリンビア種の揮発性二次代謝産物との結合エネルギー、疎水性相互作用、およびCOVID-19主要プロテアーゼ(M→ηpro:6LU7)の水素結合相互作用などの計算されたパラメータは、covid-19に対する有効な治療オプションとしてその範囲を表した。ドッキングされた化合物のうち、ユーカリプトールは、毒性を伴わずに最も低い結合エネルギーを示す。
hydrophobic interactions 疎水性相互作用
6LU7 (Mpro):COVID-19主要プロテアーゼ(M→ηpro:6LU7)
Conclusions
結論
The outcome of this study reported that the essential oilof Eucalyptus and Corymbia species, mainly eucalyptol can be utilized as a potential inhibitor against COVID-19 and also it can be used in its treatment. Hence, further analysis was required to explore its potential application in medicine.
本研究の結果は、ユーカリおよびコリンビア属種の精油は、主にユーカリプトールは、COVID-19に対する潜在的な阻害剤として利用することができ、また、その治療に使用することができる。したがって、薬剤における潜在的な応用を探求するためにさらなる分析が必要であった。
Keywords: Autodock, COVID-19, Eucalyptus, Corymbia eucalyptol, Molecular interaction analysis, Mpro
キーワード:Autodock、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、コリンビア種ユーカリプトール、分子間相互作用分析、メインプロテアーゼ(Mpro)
Autodock,:低分子化合物とタンパク質とのドッキングシミュレーションを行う
用語
メインプロテアーゼの事を調べていた時に見つけた記事
新型コロナウイルスタンパク質の柔らかい構造
-薬分子結合過程の分子動力学シミュレーション-
https://www.riken.jp/press/2020/20201110_3/#note5
ウイルスは、感染した細胞にウイルスタンパク質を作らせることで増殖します。SARS-CoV-2のMproは、細胞に作らせたタンパク質を適切な箇所で切断して完成させるハサミ(プロテアーゼ)として機能します。MproはHIVのプロテアーゼと類似していることから、既存のHIVプロテアーゼ阻害薬をSARS-CoV-2の治療に応用することが期待されています。
背景
コロナウイルスは一本鎖RNAをゲノムとして持ち、宿主細胞に感染するとRNAゲノムから長いタンパク質(ポリタンパク質[5])が翻訳されます。このポリタンパク質が切断されることで、それぞれの断片がウイルスの増殖に必要な構造タンパク質や酵素として働きます。COVID-19の原因ウイルス「SARS-CoV-2」が同定されると、複数の機関がウイルスタンパク質の立体構造解析に取り組み、その成果が公的データベースに次々と登録されています注1)。
構造解析に基づく抗ウイルス薬の開発に際して、標的となるタンパク質の一つが、ポリタンパク質の切断を主に触媒するメインプロテアーゼです。メインプロテアーゼの切断活性を阻害すれば、細胞に感染したウイルスの増殖を抑制できると考えられ、メインプロテアーゼに結合する阻害分子の探索が進められています。実際に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)においては、そのプロテアーゼを標的とした薬剤が複数開発され、有効性が示されています。
in silico
https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0
in silicoは,「コンピュータ(シリコンチップ)の中で」の意味である.in vivo(生体内で)や,in vitro(試験管内で)に対応して作られた用語である.in silicoスクリーニングとは,新規薬物の候補化合物の構造などの情報とそれに対応する薬理レセプター,副作用の情報,あるいは代謝酵素やトランスポーターなどの情報をデータベース化して,あらかじめコンピュータに入力しておくことで,コンピュータ上で仮想実験を行い,薬理効果や薬物動態などを予測して,薬物として優れた性質を持つ化合物を選択すること.膨大な数の化合物から,より短い時間と少ないコストで,優れた性質を持つ候補化合物に絞り込むことができるという利点を持つ.[FYI用語解説(ファルマシアVol.38,No.2)より転載)
疎水効果
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%96%8E%E6%B0%B4%E5%8A%B9%E6%9E%9C
疎水効果(そすいこうか、hydrophobic effect)は、水などの極性溶媒中で非極性分子(あるいは非極性基)が溶媒と分離し凝集する性質のことである。疎水性相互作用は、疎水効果によって非極性分子間に働く引力的相互作用をあらわす。疎水効果は、タンパク質のフォールディング[1]、タンパク質-タンパク質相互作用、脂質二重膜の形成などの駆動力であると考えられている。
簡単に言えば、疎水性分子同士が水にはじかれ、集合する現象である。疎水結合とも呼ばれるが、疎水性分子間に結合が形成されるわけではなく、疎水性分子間に直接引力が働かなくても疎水効果は生じる。
Autodockを調べていたときに見つけた文献
薬学教育におけるドッキングシミュレーションソフトの活用
Use of a Molecular Docking-Simulation Software for Pharmaceutical Education
https://u-lab.my-pharm.ac.jp/~joho/mbi/document/mbi12/mbi12_uesawa.pdf
1.ドッキングシミュレーションとは 一般に、薬物、ホルモン、栄養素といった低分子 化合物の生理作用の発現過程には、酵素等の生体 高分子との相互作用が介在する。この、低分子・生 体高分子間相互作用における複合体の安定構造を コンピュータ上で計算的に推定する手法がドッキン グシミュレーションである。ドッキングを実施するため には低分子側、高分子側およびその相互作用に関 する様々な知識が要求されるため、学生教育への 導入の敷居は決して低いとは言えない。また、商用 のドッキングシミュレーションソフトウエアは一般に高 価であり、これもまたドッキングシミュレーションの教 育への導入に対する大きな障壁となっていると考え られる。しかし、この手法は創薬過程で重視されるば かりでなく、薬効発現機序の理解にも寄与し得る。
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