抗菌作用を有する植物由来プロテアーゼ阻害剤PUBMEDより
以前のメルマガの記事で植物由来の化学化合物が新型コロナウイルスSARS VC2の複製に必要なメインプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)を阻害することを知りました。それでプロテアーゼと植物の関係を調べていたらPlant Protease(植物プロテアーゼ)があることを知りました。植物は自分の外敵(細菌)から守るために植物プロテアーゼを産生して細菌の細胞壁を分解するそうです。植物が産生したプロテアーゼをヒトが摂食しているとコロナウイルスのメインプロテアーゼを分解するそうです。緑茶を飲んでいる人は風邪をひかないと言われています。緑茶のエピガロカテキンがコロナウイルスに良いとの文献が良く出ています。
Therapeutic Potential of EGCG, a Green Tea Polyphenol, for Treatment of Coronavirus Diseases
コロナウイルス病の治療のためのエピガロカテキンガレー(EGCG)、緑茶ポリフェノールの治療可能性 PUBMEDより
EGCG・Epigallocatechin gallate:エピガロカテキンガレート
EGCG is a major constituent of brewed green tea, and several studies have reported that EGCG inhibits the enzymatic activity of the coronavirus 3CL protease.
エピガロカテキンガレート(EGCG)は、淹れたての緑茶の主要成分であり、いくつかの研究は、EGCGがコロナウイルス3CLプロテアーゼの酵素活性を阻害することを報告している。
また、ポリフェノールと言えば、精油にもフェノール成分を含有しているオレガノ、クローブ、シナモン、タイムがあります。これらの精油成分とコロナウイルスの関係に興味をもっています。精油成分に抗ウイルス作用、抗菌作用のなどがありますがその作用機序は良くわかっていないです。緑茶のエピガロカテキンはウイルスのメインプロテアーゼを阻害します。精油の化学成分を体の細胞のどこかに結合して作用を発生させるので個々の精油化学成分がどの受容体に結合するのかに興味をもっています。今回は植物の防御のためプロテアーゼを産生することの文献です。思いつきたことを書きました。
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Protease Inhibitors from Plants with Antimicrobial Activity
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2705521/
抗菌作用を有する植物由来プロテアーゼ阻害剤
Abstract
要旨
Antimicrobial proteins (peptides) are known to play important roles in the innate host defense mechanisms of most living organisms, including plants, insects, amphibians and mammals. They are also known to possess potent antibiotic activity against bacteria, fungi, and even certain viruses.
抗菌性タンパク質(ペプチド)は、植物、昆虫、両生類、哺乳類など、ほとんどの生物の先天的宿主防御機構に重要な役割を果たしていることが知られている。また、細菌や真菌、さらには特定のウイルスに対しても強力な抗生物質活性を持つことが知られている
Recently, the rapid emergence of microbial pathogens that are resistant to currently available antibiotics has triggered considerable interest in the isolation and investigation of the mode of action of antimicrobial proteins (peptides). Plants produce a variety of proteins (peptides) that are involved in the defense against pathogens and invading organisms, including ribosome-inactivating proteins, lectins, protease inhibitors and antifungal peptides (proteins).
最近、現在入手可能な抗生物質に耐性のある微生物病原体の急速な出現は、抗菌タンパク質(ペプチド)の作用機序の単離および調査に大きな関心を引き起こしている。植物は、リボソーム不活性化タンパク質、レクチン、プロテアーゼ阻害剤および抗真菌ペプチド(タンパク質)を含む、病原体および侵入微生生物に対する防御に関与する様々なタンパク質(ペプチド)を産生する。
Specially, the protease inhibitors can inhibit aspartic, serine and cysteine proteinases. Increased levels of trypsin and chymotrypsin inhibitors correlated with the plants resistance to the pathogen. Usually, the purification of antimicrobial proteins (peptides) with protease inhibitor activity was accomplished by salt-extraction, ultrafiltration and C18 reverse phase chromatography, successfully.
特に、プロテアーゼ阻害剤は、アスパラギン酸、セリン、システインプロテアーゼを阻害することができる。トリプシン阻害剤やキモトリプシン阻害剤の増加は、植物の病原菌に対する抵抗性と相関していた。通常、プロテアーゼ阻害活性を持つ抗菌性タンパク質(ペプチド)の精製は、塩抽出、限外濾過、C18逆相クロマトグラフィーで成功している。
Aspartic proteinases: アスパラギン酸プロテアーゼ
serine proteinase セリンプロテアーゼ
cysteine proteinases.システインプロテアーゼ
We discuss the relation between antimicrobial and anti-protease activity in this review. Protease inhibitors from plants potently inhibited the growth of a variety of pathogenic bacterial and fungal strains and are therefore excellent candidates for use as the lead compounds for the development of novel antimicrobial agents.
この総説では、抗菌活性と抗プロテアーゼ活性の関係について述べています。植物由来のプロテアーゼ阻害剤は,様々な病原性細菌や真菌の成長を強力に阻害したことから,新規抗菌剤開発のリード化合物として使用できる優れた候補である。
Keywords: plants, chromatographic columns, antimicrobial peptide, pathogenic bacterial and fungal strains, protease inhibitors, novel antimicrobial agents
キーワード:植物,クロマトグラフィーカラム,抗菌ペプチド,病原性細菌・真菌株,プロテアーゼ阻害剤,新規抗菌剤
用語
TMPRSS2発現細胞と呼吸器ウイルスの分離培養
https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2523-related-articles/related-articles-485/9764-485r08.html
培養液中へのトリプシンの添加が必要な呼吸器ウイルスも, もちろん患者の気道内では適切に開裂活性化し増殖している。気道内で呼吸器ウイルスを活性化している主要なプロテアーゼの一つがTMPRSS2であることが明らかになっている1,2)。TMPRSS2は, II型膜貫通型セリンプロテアーゼの一種で, 主には前立腺や気道上皮に発現している。
プロテアーゼ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%86%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%BC
プロテアーゼ (protease)は、タンパク質をより小さなポリペプチドや単一のアミノ酸への分解を触媒する (速度を上げる) 加水分解酵素の総称である。ペプチダーゼ (peptidase) やプロテイナーゼ(proteinase)とも呼ばれる。それらは、水が反応して結合を壊す加水分解によってタンパク質内のペプチド結合を切断する。プロテアーゼは、摂取したタンパク質の消化、タンパク質の異化作用 (古いタンパク質の分解)、細胞シグナル伝達など、多くの生物学的機能に関与している[1][2]。
プロテイナーゼと植物に関して調べたときに見つけた。
分解酵素とインヒビターを介した植物と病原菌の攻防 植物病原菌の矛と盾
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/56/4/56_560403/_pdf/-char/ja
植物は微生物の侵略から身を守るために,侵入を受ける前からあらかじめ備えている基礎的な抵抗性と,侵入 を感知した後に作動する抵抗性の2段階の防御システムを もっている.植物に病気を起こす微生物のうち約8割は糸 状菌(カビ)が原因とされており,そのため植物は糸状 菌の細胞壁を構成するキチンやタンパク質をターゲットと する分解酵素,キチナーゼやプロテアーゼを常時分泌し ている.これら分解酵素によって糸状菌から一部漏れ出 した細胞壁分子を,植物が認識することで微生物の侵入 を事前に察知し,基礎的な抵抗性が誘導される
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http://aromahonjin.way-nifty.com/blog/2021/06/post-60a99a.html
「ウイルスが複製および組み立てするためには、SARS-CoV-2のメインプロテアーゼ」(M pro)が必要です。「このプロテアーゼを阻害または非活性化できれば、ウイルスは死んでしまいます。
コンピュータシミュレーションは、緑茶、マスカディンブドウの2種、カカオパウダーとダークチョコレートから研究された化学化合物はメインプロテアーゼ(M pro)の異なる部位に結合できることを示した。
Xie研究室においてノースカロライナ州立大学博士課程学生、ユエ・ジューによって完了したインビトロラボ実験も同様の結果を示した。緑茶とマスカディンブドウの化学化合物は、メインプロテアーゼ(M pro)機能を阻害することに大成功しました; カカオパウダーとダークチョコレートの化学化合物は、メインプロテアーゼ(Mプロ)の活性を約半分に減らしました。
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