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July 06, 2022

匂い刺激中の脳幹を介するスニッフィングと呼吸の調節(ラット培養脳幹実験)

GABA作動性ニューロンは中枢神経系(CNS)の主要な抑制性神経伝達物質として機能する。GABA作動性ニューロンは、海馬、視床、基底核、視床下部、脳幹に存在することを知りました。これらの脳部位が香りと関係あるのかを調べたのが下記の文献を訳していた時に脳幹と呼吸の事をしりました。

脳幹について調べていたら呼吸と関係があること知り、それには随意呼吸(大脳皮質)、情動呼吸(偏桃体)、代謝性呼吸(脳幹)がりあり、さらに調べて見つけたのが関連記事・呼吸機能と健康の「感情の変化に伴って呼吸が変化し、呼吸の変化に伴って感情も変化する。」を読んで思いつきました。精油の香りを嗅ぎながら自分の意志で行う随意呼吸で深呼吸すれば、匂いは嗅覚→臭球→梨状皮質→偏桃体(情動)に繋がっているので香りによって呼吸が変われば情動も変わるのではないかと思いました

Brainstem-mediated sniffing and respiratory modulation during odor stimulation

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S156990481630129X

匂い刺激中の脳幹を介するスニッフィングと呼吸の調節

Abstract

概要

The trigeminal and olfactory systems interact during sensory processing of odor. Here, we investigate odor-evoked modulations of brainstem respiratory networks in a decerebrated perfused brainstem preparation of rat with intact olfactory bulbs. Intranasal application of non-trigeminal odors (rose) did not evoke respiratory modulation in absence of cortico-limbic circuits.

三叉神経系と嗅覚系は、匂いの感覚処理において相互に作用している。本研究では、嗅球を有するラットの除脳灌流培養脳幹を用いて、匂いによる脳幹呼吸ネットワークの調節を調べた。非三叉神経系の匂い(ローズ)の鼻腔内投与は、皮質辺縁系回路の非存在下では呼吸調節を誘発しなかった。

brainstem preparation 培養脳幹
cortico-limbic circuits. 辺縁皮質回路
respiratory modulation 呼吸調節

Conversely, trigeminal odors such as menthol or lavender evoked robust respiratory modulations via direct activation of preserved brainstem circuits. Trigeminal odors consistently triggered short phrenic nerve bursts (fictive sniff), and the strong trigeminal odor menthol also triggered a slowing of phrenic nerve frequency.Phrenic and vagal nerve recordings reveal that fictive sniffs transiently interrupted odor evoked tonic postinspiratory vagal discharge. This motor pattern is significantly different from normal (eupneic) respiratory activity. This motor pattern is significantly different from normal (eupneic) respiratory activity.

逆に、メントールやラベンダーなどの三叉神経系の匂いは、保存されている脳幹回路の直接活性化を介して、強固な呼吸調節を誘発した。三叉神経系の匂いは一貫して短い横隔神経破裂(架空の匂いを嗅ぐ)を誘発し、強い三叉神経系の匂いであるメントールも横隔神経周波数の低下を誘発した。横隔および迷走神経の記録は、架空の匂いを嗅ぐと、吸気後の迷走神経の緊張性放電が一過性に中断されることが明らかになった。この運動パターンは、普通の正常呼吸活動とは大きく異なる。

phrenic nerve bursts 横隔神経破裂
eupneic respiratory 正常呼吸

In conclusion, we show for the first time the direct involvement of brainstem circuits in primary odor processing to evoke protective sniffs and respiratory modulation in the complete absence of forebrain commands.

結論として、我々は、前脳からの指令が全くない状態で、保護的な嗅覚と呼吸調節を誘発するために、一次的な匂い処理に脳幹回路が直接関与することを初めて明らかにした。

Forebrain 前脳

Keywords: Behavior; Brainstem; Trigeminal.

キーワード: 行動;脳幹;三叉神経

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呼吸機能と健康
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsop/40/2/40_01/_pdf/-char/ja

本間 生夫 東京有明医療大学

 呼吸機能は生きていくために必要な機能であり、呼吸運動調節により、適切な換気が行われて いる。エネルギー代謝に必要な酸素を取り入れ、産生される二酸化炭素の量を調節し、体の酸・ 塩基平衡を一定に保っている。この代謝性呼吸のほかに行動性呼吸があり、種々の内的・外的環 境に適応した呼吸を生み出している。代謝性呼吸の中枢は延髄・橋の脳幹にあり、行動性呼吸の 中枢は随意呼吸を司る大脳皮質運動野と情動を司る大脳辺縁系に存在する。大脳辺縁系内の扁桃 体は感情を作りだす第一次中枢であるが、ここでも呼吸リズムが作りだされており、感情の変化に伴って呼吸が変化し、呼吸の変化に伴って感情も変化する。呼吸運動は呼吸筋の収縮により成立するが、この呼吸筋の動きを調節することにより、感情をコントロールすることが出来る。また、 呼吸筋を柔らかくすることで、機能的残気量を下げることが出来、慢性呼吸器疾患の患者さんや 高齢者の肺機能を改善することが出来る。呼吸筋ストレッチ体操は呼吸困難の軽減、肺機能の改善、 気分の安定に効果をあげている。
  
キーワード:呼吸筋、情動呼吸、シクソトロピー、呼吸法

辺縁皮質
https://www.wdic.org/w/SCI/%E8%BE%BA%E7%B8%81%E7%9A%AE%E8%B3%AA#:~:text=%E8%BE%BA%E7%B8%81%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AF%E3%80%81%E6%89%81%E6%A1%83%E4%BD%93,%E3%82%92%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A4%A7%E8%84%B3%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%88%E3%82%8B%E3%80%82

辞書:科学用語の基礎知識 生物学・器官名称編 (BBORGN)

読み:へんえん・ひしつ

大脳皮質のうち、大脳旧皮質と大脳古皮質をあわせて辺縁皮質という。

概要
辺縁皮質は、扁桃体や海馬、帯状回などと共に大脳辺縁系を構成し、情動や欲求、本能、そして自律系の機能を受け持っている。わかりやすく言うと、食欲や性欲といった動物としての本能的な欲望、快感や怒りなどの情動に関連する。動物としての基本的な処理をする大脳といえる。

特徴
大脳皮質は発生学的に次のように分けられる。
大脳旧皮質 、大脳古皮質

実際の部位としては、次のようなものがある。

扁桃体 (情動)、海馬 (長期)記憶)、帯状回 (動機付け)

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