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August 15, 2022

魅力の香り:生殖ホルモンのレベルは女性の体臭の個人差を説明するPUBMEDより

エストラジオールのレベルが高く、プロゲステロンのレベルが低いほど、女性の体臭はより魅力的だと男性に評価されました。

Published online 2018 Sep 12

The scent of attractiveness: levels of reproductive hormones explain individual differences in women's body odour

魅力の香り:生殖ホルモンのレベルは女性の体臭の個人差を説明する

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6158529/

Abstract

要旨

Individuals are thought to have their own distinctive body odour which reportedly plays an important role in mate choice. In the present study we investigated individual differences in body odours of women and examined whether some women generally smell more attractive than others or whether odour preferences are a matter of individual taste. We then explored whether levels of reproductive hormones explain women's body odour attractiveness, to test the idea that body odour attractiveness may act as a chemosensory marker of reproductive fitness.

個人はそれぞれ特有の体臭を持っていると考えられており、それが交際相手の選択に重要な役割を果たすと報告されている。本研究では、女性の体臭の個人差を調べ、一般的に他の女性よりも魅力的な香りを放つ女性がいるのか、あるいは香りの好みは個人の嗜好の問題なのかを検討した。さらに、生殖ホルモンの濃度が女性の体臭の魅力を説明するかどうかを調べ、体臭の魅力が生殖適応度の化学感覚マーカーとして作用する可能性を検証した。

Reproductive Fitness 生殖適応度
Chemosensory 化学感覚

Fifty-seven men rated body odours of 28 healthy, naturally cycling women of reproductive age. We collected all odours at peak fertility to control for menstrual cycle effects on body odour attractiveness. Women's salivary oestradiol, progesterone, testosterone and cortisol levels were assessed at the time of odour collection to test whether hormone levels explain body odour attractiveness.

57名の男性が、健康で自然な月経周期を有する生殖年齢女性28名の体臭を評価した。月経周期が体臭の魅力に及ぼす影響を考慮し、受胎可能なピーク時にすべての体臭を採取した。女性の唾液中のエストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、コルチゾールレベルは、ホルモンレベルが体臭の魅力を説明するかどうかを検証するために、においの採取時に評価されました。
oestradiol, エストラジオール
Progesterone プロゲステロン
cortisolコルチゾール

We found that the men highly agreed on how attractive they found women's body odours. Interestingly, women's body odour attractiveness was predicted by their oestradiol and progesterone levels: the higher a woman's levels of oestradiol and the lower her levels of progesterone, the more attractive her body odour was rated. In showing that women's body odour attractiveness is explained by levels of female reproductive hormones, but not by levels of cortisol or testosterone, we provide evidence that body odour acts as a valid cue to potential fertility.

その結果、男性たちは女性の体臭を魅力的と感じるかどうかについて、非常に意見が一致していることがわかりました。興味深いことに、女性の体臭の魅力は、エストラジオールとプロゲステロンのレベルで予測されました。エストラジオールのレベルが高く、プロゲステロンのレベルが低いほど、女性の体臭はより魅力的だと評価されました。女性の体臭の魅力は、コルチゾールやテストステロンではなく、女性生殖器ホルモンのレベルで説明できることを示すことで、体臭が妊娠の可能性を示す有効な手がかりとして機能することを証明することができた。

Keywords: olfaction, oestradiol, progesterone, odour preference, HLA, MHC

キーワード HLAヒト白血球抗原、MHC主要組織適合遺伝子複合体、匂い嗜好性、エストラジオール、嗅覚、プロゲステロン。

HLA(HLA(Human leukocyte antige):ヒト白血球抗原
MHC(major histocompatibility complex; MHC): 主要組織適合遺伝子複合体

HLAに関して調べていた時に見つけました。

運命の赤い糸「HLA遺伝子」
https://www.ricepier.jp/2015/07/28/%E9%81%8B%E5%91%BD%E3%81%AE%E8%B5%A4%E3%81%84%E7%B3%B8-hla%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90/

2015年7月から放送されているフジテレビ系列の月9ドラマ「恋仲」

(王道のラブストーリドラマ)第2話の中で『HLA遺伝子』のことが触れられていました。
このHLA遺伝子は、運命の赤い糸とも言われ、別名「恋愛遺伝子」とも呼ばれます。

女性は本能で、男性の体臭から恋愛遺伝子を感じとっているそうです。女性が恋に落ちる決め手として、相手の体臭を嗅いで「心地よい」と感じるかが関係しています。

恋の本質は「 ヒト(生物)として子孫を残すことであり 」「より強い(遺伝子的)相手を選ぶことでもあります。」 つまり、体臭の相性が合わない限り恋人や配偶者になれない、また、ならないほうが良いということです。

HLAとは、白血球にあるタンパク質をつくる遺伝子の複合体で、私達が一般的によく使っているABC型の血液型と似たものです。ABC型は赤血球の血液型で、HLAは白血球の血液型です。HLAは尿、汗、母乳等でわかるもので、鼻の奥で感じるようです。

HLAは、身体の免疫反応という防衛機能をつかさどっています。人間は、自分と自分以外とを識別して細菌やウイルスといった異物から自分を守る免疫を備えていて、自分に害を与える細菌やウイルスを撃退するために抗体が存在しています。このHLAもそのひとつで、たとえば臓器移植等を行う場合、HLAが適合していることが必要です。そうでないと免疫系移植された臓器を「侵入させたくない部外者」と認識し、破壊することになってしまうのです。

恋愛感情とHLAの関係で特に重要な点は、HLAは細菌やウイルスに対抗するための免疫情報を受け取っているという事実です。男女間でHLAが異なるほど、つまり多様性があればあるほど、生まれてくる子どもは、病原体への対処の可能性が高く、厳しい環境に適応できる可能性を先天的に持つということになります。したがって、男女は恋愛関系を構築する上で、HLAが異なる異性を求めるため、異性の好み(HLAの好み)は体臭の好みとして発現してくるということです。

つまり、HLAが体臭という形で相手に伝達され、そのにおいを心地良いにおいととらえるか、嫌なにおいととらえるかで、恋愛の相性が決定されるということです。体臭が良いにおいであるということは、お互いのHLAが異なっていることを示し、くさいと感じることはHLAが近いことを示しています。

HLAが似たもの同士は相性が合わないばかりか、妊娠しづらい、流産しやすい、出産しても未熟児になりやすいということになります。つまり、においを通じて先天的な相性、つまり運命的な「赤い糸」と呼ばれるべき恋愛関係を感知しているのです。嗅覚において最も重要なことは、人工的なにおいをつけないことです。相手に自分の体臭を嗅いでもらい、自分も相手の体臭を嗅ぐことが大事です。嗅覚で、もし受け入れられない体臭やにおいを直感的に感じたら、遺伝子が「この人はやめなさい」と警告しているのです。

では、「加齢臭」=オヤジ臭とも呼ばれるにおいは、中年男性の恋愛市場への参入を著しく妨げる作用が遺伝子に組み込まれているようです。

※参考文献 : 早稲田大学国際教養学部 教授 森川友義 著

主要組織適合遺伝子複合体
https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E4%B8%BB%E8%A6%81%E7%B5%84%E7%B9%94%E9%81%A9%E5%90%88%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E8%A4%87%E5%90%88%E4%BD%93
MHC(major histocompatibility complex)

外来または非自己組織の拒絶に関与する遺伝子領域をMHCと呼び,ヒトではHLA(human leukocyte antigen),マウスではH2,ヒツジではOLAと名付けられている.このMHCはMHC抗原を規定する.MHC抗原は,細菌,ウイルスなどの外来または非自己抗原由来のペプチドと結合し,T細胞に抗原提示することにより,T細胞の活性化を誘導し,これらの外来抗原を非自己と認識し,攻撃・破壊させる.つまり,MHCは個体の恒常性維持という重要な意義を持っている.

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