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May 28, 2025

第3回:精油と薬の併用は大丈夫?──CYP酵素・シトクロムP450酵素群)と相互作用のリスクを知る

第3回:精油と薬の併用は大丈夫?──CYP酵素・シトクロムP450酵素群)と相互作用のリスクを知る

Can Essential Oils Be Used with Medication? – Understanding CYP Enzymes and Interaction Risks

【はじめに|Introduction】

精油は天然の恵みですが、身体に作用する力があるということは、薬と同時に使う場合には注意が必要ということでもあります。

この最終回では、以下の点を中心にお届けします:

精油が薬の代謝に与える影響

CYP酵素を介した相互作用の具体例

体質や体調によって変わる反応

安全な精油使用のための指針

【1. 精油と薬がぶつかる場所──CYP酵素とは?】

Where Essential Oils and Medications Interact – The Role of CYP Enzymes

前回まででお伝えした通り、精油の成分は主に【肝臓の代謝酵素(CYP酵素・シトクロムP450酵素群)】によって処理されます。
しかしこのCYP酵素は、実は多くの医薬品の代謝にも関わっているのです。

特に重要なのが:

【CYP3A4酵素】 → 全医薬品の約50%の代謝に関与

【CYP2D6・CYP2C9・CYP1A2】 → 精神薬、ホルモン薬、抗凝固薬などの代謝に関与

これらの酵素の働きが【精油によって阻害されたり、誘導されたり】すると、
《薬の効果が強く出すぎたり、逆に効かなくなったりする》可能性があります。

【2. 相互作用が問題になる代表的な薬と精油】

Common Medications and Essential Oils with Known Interactions


医薬品の種類 代表薬剤 関連する精油成分(CYP影響) リスクの例

降圧薬(カルシウム拮抗薬) アムロジピン リモネン(グレープフルーツ精油)代謝阻害 → 血中濃度上昇 → 低血圧、めまい

免疫抑制剤 シクロスポリン リモネン、オイゲノール 代謝阻害 → 薬が効きすぎて副作用

抗うつ薬 セルトラリン、ノルトリプチリン 1,8-シネオール、カンファー 酵素誘導 → 効果が減弱し、再発リスク

経口避妊薬 エチニルエストラジオール アネトール、フェンネル精油 代謝促進 → 効果が落ち、避妊失敗の可能性

抗凝固薬 ワルファリン オイゲノール(クローブ精油) 血中濃度上昇 → 出血リスク増大


【3. 体質や体調によっても変わる反応】

How Individual Metabolism and Health Conditions Affect Responses

薬や精油の反応は人によって違います。その理由には:


【CYP酵素の遺伝的多型】
 → もともと代謝が早い/遅い体質がある(CYP2D6など)


【肝臓の機能や体調】

 → 疲労・加齢・肝機能低下で酵素が働きにくくなる

【多剤併用・サプリ・食事の影響】
 → 他の薬やハーブとの相乗効果で代謝バランスが崩れる

つまり、「この精油は安全」とされていても、
人によっては強く作用することがあるということです。


【4. 安全に精油を使うためのポイント】

Practical Tips for Safe Use of Essential Oils with Medicatio


* 精油選びのポイント

薬を飲んでいる人は、次のような精油を避けると安心:

グレープフルーツ精油(CYP3A4阻害)

クローブ、バジル(フェノール類のCYP阻害)

フェンネル、アニス(ホルモン様作用+CYP誘導)

安全性が高く穏やかな精油:

ラベンダー、スイートオレンジ、フランキンセンス、ホーウッドなど

* 使い方の工夫

芳香浴・アロマストーンなど【吸入】は比較的リスクが低い

塗布や経口摂取は濃度と回数に注意し、専門家の指導のもとで使用


【5. 芳香療法に必要な「科学的配慮」】

Scientific Awareness for Safe and Effective Aromatherapy

精油は「天然=安全」ではありません。
私たちは、自然と調和しながらも、科学的知識で安全を守ることが求められています。

香りは、心を癒し、体を整え、魂に響く力を持つ
しかしその力は、**体の中でも確かに「化学的に働いている」**のです。

【まとめ|Summary】

精油成分は、【薬の代謝に関わる酵素(CYP酵素・シトクロムP450酵素群)】に影響を与えることがある。

特に【CYP3A4酵素】に作用する精油は、併用薬との相互作用に注意が必要。

人によって体質や代謝能力が異なるため、一人ひとりに合った使い方が大切。

安全に使うためには、「香りの力+体のしくみ」への理解が鍵。

📝3回シリーズを振り返って

回 テーマ 内容要約

第1回 精油は体の中でどうなるの? 吸収〜肝臓の代謝、CYP酵素・シトクロムP450酵素群)の基本

第2回 精油成分と酵素・代謝のしくみ 阻害・誘導、成分と化学構造の影響

第3回 精油と薬の相互作用と体質の違い 実例、体質、安全な使い方の提案

いつもありがとうござます。

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