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May 18, 2025

第1回:精油は体の中でどうなるの?


第1回:精油は体の中でどうなるの?

How Essential Oils Are Processed in the Body

【はじめに|Introduction】

「精油は香るもの」と思われがちですが、実は香り成分は私たちの体内に取り込まれ、【代謝】・【解毒】・【ホルモンバランス】などにも作用しています。

本シリーズでは、精油の「からだの中での動き(体内動態)」をわかりやすく解説していきます。

第1回は、**《精油がどうやって体に吸収され、どこで代謝されるのか?》**を中心にご紹介します。

【1. 精油はどこから体に入るの?】

Routes of Entry into the Body

精油は以下の3つのルートから体に取り込まれます:

吸収経路         主な使用法           特徴
   
経皮吸収(皮膚から) マッサージ、塗布 脂溶性なので皮膚からよく吸収され、血流に入る

吸入(鼻や肺から) ディフューザー、芳香浴  肺胞から成分が毛細血管に入り込み、即座に循環へ

経口(口から摂取) 希釈後のカプセル・水など(医療・専門用途)
最も吸収率が高いが、《肝臓の代謝酵素による初回通過効果》の影響大。安全性に注意が必要


【2. 精油はどこで分解・代謝されるの?】

Where Are Essential Oils Metabolized?

主に**《肝臓(Liver)》で代謝されます。
このとき中心となるのが、【CYP酵素(シトクロムP450酵素群)】**です。

CYP酵素とは?
 体に入ってきた「異物(=薬・香り成分・毒素など)」を分解・無毒化する【解毒酵素】の一群です。

なかでも、**【CYP3A4酵素】**は最も重要な存在で、さまざまな物質の代謝に関与しています。

【3. 肝臓の解毒プロセスってどうなってるの?】

Liver Detoxification Phases

肝臓での解毒は、次の**《3つの段階》**で行われます:


【フェーズI(Phase I)】

主に【CYP酵素】が関与し、脂溶性の成分を酸化・還元・加水分解して、反応性の高い中間体に変換。

例:リモネン、ピネン、フェノールなどがここで変化します。

【フェーズII(Phase II)】

グルタチオン・硫黄・メチル基などと【抱合反応】を行い、水に溶けやすい形に変換。

精油の代謝をスムーズにするためには、《栄養素による補助》が大切です。

【フェーズIII(Phase III)】


変換された成分が尿や胆汁として体外へ排出されます。


【4. CYP3A4酵素が重要な理由】

Why Is CYP3A4 So Importan

肝臓に存在する【CYP酵素】の中で最も量が多く、全代謝の約50%以上に関与しています。

【ホルモン(エストロゲン・コルチゾールなど)】や、食品中の成分、医薬品、精油成分など、幅広い物質を代謝しています。

グレープフルーツ、ローズマリー、セントジョーンズワートなどの植物がこの酵素に作用することも知られています。

【5. 精油がCYP酵素に与える影響(次回予告)】

Preview: Essential Oils Can Change Enzyme Activity

実は、精油成分には【CYP酵素】の働きを:

《阻害(inhibit)》:酵素の働きを抑えて分解を遅くする(→ 薬やホルモンが長く体内に残る)

《誘導(induce)》:酵素の働きを高めて分解を早める(→ 効果が早く消えてしまう)

といった作用があります。

この重要な部分は【第2回】で詳しく解説します。


【まとめ|Summary】

精油は皮膚・呼吸・経口から吸収され、主に**《肝臓で代謝》**されます。

その中心的役割を果たすのが、【CYP酵素群(特にCYP3A4酵素)】

肝臓での解毒は3段階(フェーズI・II・III)に分かれ、最終的に体外へ排出されます。

精油を「安全に・効果的に」使うには、《体の中でどう働くか》を理解することがとても大切です。

*次回予告:

第2回:「精油成分が身体にどう影響するか──CYP酵素の阻害と誘導を理解する

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