第1回:精油は体の中でどうなるの?
第1回:精油は体の中でどうなるの?
How Essential Oils Are Processed in the Body
【はじめに|Introduction】
「精油は香るもの」と思われがちですが、実は香り成分は私たちの体内に取り込まれ、【代謝】・【解毒】・【ホルモンバランス】などにも作用しています。
本シリーズでは、精油の「からだの中での動き(体内動態)」をわかりやすく解説していきます。
第1回は、**《精油がどうやって体に吸収され、どこで代謝されるのか?》**を中心にご紹介します。
【1. 精油はどこから体に入るの?】
Routes of Entry into the Body
精油は以下の3つのルートから体に取り込まれます:
吸収経路 主な使用法 特徴
経皮吸収(皮膚から) マッサージ、塗布 脂溶性なので皮膚からよく吸収され、血流に入る
吸入(鼻や肺から) ディフューザー、芳香浴 肺胞から成分が毛細血管に入り込み、即座に循環へ
経口(口から摂取) 希釈後のカプセル・水など(医療・専門用途)
最も吸収率が高いが、《肝臓の代謝酵素による初回通過効果》の影響大。安全性に注意が必要
【2. 精油はどこで分解・代謝されるの?】
Where Are Essential Oils Metabolized?
主に**《肝臓(Liver)》で代謝されます。
このとき中心となるのが、【CYP酵素(シトクロムP450酵素群)】**です。
CYP酵素とは?
体に入ってきた「異物(=薬・香り成分・毒素など)」を分解・無毒化する【解毒酵素】の一群です。
なかでも、**【CYP3A4酵素】**は最も重要な存在で、さまざまな物質の代謝に関与しています。
【3. 肝臓の解毒プロセスってどうなってるの?】
Liver Detoxification Phases
肝臓での解毒は、次の**《3つの段階》**で行われます:
【フェーズI(Phase I)】
主に【CYP酵素】が関与し、脂溶性の成分を酸化・還元・加水分解して、反応性の高い中間体に変換。
例:リモネン、ピネン、フェノールなどがここで変化します。
【フェーズII(Phase II)】
グルタチオン・硫黄・メチル基などと【抱合反応】を行い、水に溶けやすい形に変換。
精油の代謝をスムーズにするためには、《栄養素による補助》が大切です。
【フェーズIII(Phase III)】
変換された成分が尿や胆汁として体外へ排出されます。
【4. CYP3A4酵素が重要な理由】
Why Is CYP3A4 So Importan
肝臓に存在する【CYP酵素】の中で最も量が多く、全代謝の約50%以上に関与しています。
【ホルモン(エストロゲン・コルチゾールなど)】や、食品中の成分、医薬品、精油成分など、幅広い物質を代謝しています。
グレープフルーツ、ローズマリー、セントジョーンズワートなどの植物がこの酵素に作用することも知られています。
【5. 精油がCYP酵素に与える影響(次回予告)】
Preview: Essential Oils Can Change Enzyme Activity
実は、精油成分には【CYP酵素】の働きを:
《阻害(inhibit)》:酵素の働きを抑えて分解を遅くする(→ 薬やホルモンが長く体内に残る)
《誘導(induce)》:酵素の働きを高めて分解を早める(→ 効果が早く消えてしまう)
といった作用があります。
この重要な部分は【第2回】で詳しく解説します。
【まとめ|Summary】
精油は皮膚・呼吸・経口から吸収され、主に**《肝臓で代謝》**されます。
その中心的役割を果たすのが、【CYP酵素群(特にCYP3A4酵素)】
肝臓での解毒は3段階(フェーズI・II・III)に分かれ、最終的に体外へ排出されます。
精油を「安全に・効果的に」使うには、《体の中でどう働くか》を理解することがとても大切です。
*次回予告:
第2回:「精油成分が身体にどう影響するか──CYP酵素の阻害と誘導を理解する
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