「ローズマリーが“セージ”に?──植物分類の見直しとアロマセラピーへの影響」
6月7日(土)に東京薬科大学薬用植物園公開講座と見学会に参加しました。薬用植物園でローズマリーの学名がSalvia rosmarinusになっていました。
それで調べてみたのが下記です。
「ローズマリーが“セージ”に?──植物分類の見直しとアロマセラピーへの影響」
Rosemary Becomes a Sage – Botanical Reclassification and Its Implications for Aromatherapy
(元記事:https://www.rhs.org.uk/plants/articles/misc/rosemary-becomes-a-sage)
【リード】
「植物分類(タクソノミー)の進歩」は、私たちが親しんできた「植物の“名前”」に時として変化をもたらします。
最近、薬用植物園でこのニュースを知り、とても興味深く感じました──「ローズマリー(Rosmarinus officinalis)」が「Salvia rosmarinus」に変更されたというものです。
私は海外から精油を輸入していますが、学名は変更前のもの(Rosmarinus officinalis)がほとんど流通しています。
「この変更に強制力はあるの?」「ケモタイプの学名表示はどうなるの?」そんな疑問を持ち、英国王立園芸協会(RHS)の原文記事を読み、この記事をまとめました。
分類の正確さは「植物の性質や用途」、さらには「病害虫への対応」「精油成分の理解」「アロマセラピーの正確な知識」にも重要な意味を持つ時代です。
RHSがどのように学名変更を進めているのか、精油業界やアロマセラピーとの関わりを含めて、お客さまに知っていただきたい事実としてご紹介します。
「なぜローズマリーは“Salvia(セージ属)”に入ったのか?」その理由と今後の意義をぜひ知っておきましょう。🌿✨
*「ローズマリーがセージに?(和訳全文)」
When is a rosemary not a rosemary? – The RHS has adopted a new name for this popular garden plant
原文出典:https://www.rhs.org.uk/plants/articles/misc/rosemary-becomes-a-sage
Rosmarinus officinalis → Salvia rosmarinus
人気の常緑低木でありハーブでもある「ローズマリー」は、遺伝子科学の進歩により分類がより正確に見直され、最近その学名が変更されました。
2019年の会議で、英国王立園芸協会(RHS)の命名・分類諮問グループは、ローズマリー属(Rosmarinus)をセージ属(Salvia)に統合することを承認しました。
ジョン・デイビッド氏(RHS園芸分類部門長)は、この植物が非常に人気があるため、名称変更が受け入れにくいことを認識しています:
「ガーデニングに関わる皆さんにとって、このような名称変更は難しく感じられるものです。特に「ローズマリー」のような「広く親しまれている植物」の場合はなおさらです。
しかし、「科学が示していることを無視するわけにはいきません」。植物のDNAに関する「明確な理解」は、その「成長習性や栽培管理」にも役立つのです。
家庭園芸家の皆さんは心配されなくても大丈夫です。「一般名称の『ローズマリー』」は引き続き使用可能です。」
分類学の整理(Disentangling taxonomy)
植物間の「正確な関係性」を知ることには、「病害虫への感受性の予測」など「実用的な利点」があります。
たとえば「ローズマリー」と近縁の「ペロフスキア属(ロシアンセージ)」も「セージ属」に統合されました。
「ローズマリービートル」は、今後は「ロシアンセージ」にも影響を与える可能性があると考えられています。
主要種である Perovskia atriplicifolia は今後、Salvia yangii という学名になります。
アラン・パトン氏(キュー王立植物園 コレクション部門長)は『The Plant Review』2019年12月号で次の3つの選択肢があったと説明しています:
1 「何もしない」 → 研究や実用に不便
2「ローズマリーを独立した属として維持」 → 「700以上のSalvia種の名称変更」が必要
3「ローズマリーをSalvia内の亜属として統合する」 → 「15種のみの名称変更」で済む(有名なのは「ローズマリー」と「ロシアンセージ」)
最終的に、3番目の選択肢が採用されました。園芸的な影響は「限定的」と考えられています。
RHS Plant Finder 2020 では、「ローズマリーは『Salvia rosmarinus』」として掲載されています。
2016〜2019年の RHSローズマリートライアル の結果にも「新学名」が反映されます。
「植物のDNAに関する明確な理解は、その成長習性や栽培管理に役立つ」
園芸業界全体での普及には「数年かかる」可能性があります。
「ラベルメーカー」は大規模なロット単位で印刷するため、園芸店で「Salvia rosmarinus」のラベルが「一般化」するまで「多少の時間が必要」と考えられます。
*原文記事との違い
RHS原文記事は 園芸関係者・一般園芸家向けに書かれています。
本記事ではその内容に加えて:
「薬用植物園での情報」との関連性
精油販売の現状(輸入精油ラベルは変更前学名)
学名変更の強制力の有無
ケモタイプ表示への影響
RHSとは何か
などの情報を事実として紹介する目的で加筆しています。
*学名変更の強制力は?
「強制力はありません」。
学術界/分類学の場では正式に「Salvia rosmarinus」が採用されています。
一方、精油業界や商業ラベルでは「Rosmarinus officinalis」が依然として広く使われています。
「法的義務や即時の強制力はなく」、今後は徐々に両学名併記または新学名優先という流れが進むと考えられます。
*ケモタイプと学名表示
「ローズマリー精油には『ケモタイプ』があります」。
代表的な表示例は以下の通り:
「Salvia rosmarinus ct. verbenone」(ベルベノン・ケモタイプ)
「Salvia rosmarinus ct. cineole」(シネオール・ケモタイプ)
「Salvia rosmarinus ct. camphor」(カンファー・ケモタイプ)
現状、旧学名での表示(Rosmarinus officinalis ct. verbenoneなど)が一般的に使われていますが、今後は「両学名併記」が推奨されます。
*英国王立園芸協会(RHS)とは?
RHS = Royal Horticultural Society(英国王立園芸協会)は、英国の「園芸・植物学推進団体」(1804年創立)です。
RHS Plant Finder や RHS Plant Trials を通じて「園芸植物の分類・命名基準」を策定・普及しています。
今回の学名変更は、RHSの「命名・分類諮問グループ」が最新の「科学的知見(DNA解析など)」をもとに承認しました。
これは「世界の学名規約(ICN)に準拠」しています。
*まとめ
今回ご紹介したように、「ローズマリー(Rosmarinus officinalis)」は学術的には「Salvia rosmarinus」という新たな学名が採用されています。
これは植物分類学の進歩によるものであり、植物のDNA解析によりローズマリーが「セージ(Salvia)属の一員」であることが確認された結果です。
現状、精油のラベルや流通品では「Rosmarinus officinalis」が多く使われており、この変更に法的な強制力はありません。
今後は学術文献や植物園、教育分野では新学名の使用が広がると考えられますが、一般市場での浸透には一定の時間がかかると思われます。
また、精油の世界では「ケモタイプ」として、「シネオール型」「カンファー型」「ベルベノン型」など成分の違いを区別して表示する文化があり、学名表示と合わせてより正確な情報提供が求められる時代になってきています。
「ローズマリー精油」は「記憶や集中力のサポート」「呼吸器ケア」「循環促進」など幅広く用いられますが、その背景には植物分類の正確な理解が役立つこともあります。
今回の学名変更は、ローズマリーが「Salvia(セージ)」というより広い植物群の一員であることを示すものであり、「植物の性質」「作用」「伝統的な使用」の理解にも新たな視点を与えるかもしれません。
本記事は「RHS(英国王立園芸協会)」の記事を元にまとめた情報紹介です。
医学的・専門的見解ではなく、植物分類に関する事実の紹介を目的としています。
これらの事実からは推定、または可能性があることとしてご参考いただければ幸いです。
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