《炎症とうつ ― ある記事との出会い》《炎症・免疫・食事を考えるきっかけとなった2011年の記事》
《炎症とうつ ― ある記事との出会い》
Inflammation and Depression — An Encounter with an Article
《サブタイトル|Subtitle》
《炎症・免疫・食事を考えるきっかけとなった2011年の記事》
A 2011 Article That Sparked Reflection on Inflammation, Immunity, and Diet
《リード|Lead》
今までのシリーズでは、《安全回路》《トラウマ回路》《神経可塑性》など、脳と行動の関係を見てきました。
その流れの中で、どうしても避けて通れないテーマがあります。
それが《炎症》です。
炎症は単なる感染反応ではなく、
《免疫・脳・感情・行動》にまで影響する生理現象であることが、近年の研究で明らかになってきました。
今回の記事を書くことになり、ふと2011年に読んだ記事を思い出しました。
《The Depression-Inflammation Connection》
《うつ病と炎症との関係》
アンドルー・ワイル博士(Andrew Weil)による記事です。
この記事は、私に
《食事・炎症・心の状態》
の関係を考えるきっかけを与えてくれました。
本稿では、この出来事を導入として
《炎症と心の関係》を考える入り口を提示します。
《今回の記事は、炎症とうつの関係について私が深く考えるきっかけとなった2011年の記事の翻訳です。当時はまだ仮説段階だった内容も多く含まれていましたが、その後の研究により炎症と脳・免疫・食事の関係が徐々に明らかになってきています。》
《本稿は|This Article Covers》
本稿では次の視点を扱います。
1 《炎症とうつの関係を知るきっかけ》
2 《食事と炎症という視点》
3 《炎症が免疫と脳をつなぐ》
4 《病気の概念を広げる社会構造》
5 《次回記事:炎症とは何か》
本稿はシリーズの導入であり、
次回の記事では《炎症の生理学的メカニズム》を扱います。
《本文|Main Body》
1 《2011年の記事との出会い》
Encounter with a 2011 Article
2011年12月28日、私は次の記事を読みました。
《The Depression-Inflammation Connection》
《うつ病と炎症との関係》
アンドルー・ワイル博士
この記事では
・うつ病
・炎症
・免疫
の関係が紹介されていました。
それまで、うつ病は
《心理の問題》として説明されることが多かったのですが、
この記事では
《炎症が脳機能に影響する可能性》
が示されていました。
この視点は当時の私にとって
とても新鮮なものでした。
2 《食事と炎症という視点》
Diet and Inflammation
この記事をきっかけに、私は
《食事と炎症》の関係を考えるようになりました。
特に印象に残ったのは
《肥満は低レベルの全身炎症である》
という考え方です。
脂肪組織は単なるエネルギー貯蔵ではなく、
免疫シグナルを分泌する組織でもあります。
脂肪組織では
・IL-6(インターロイキン6)
・TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)
・IL-1β(インターロイキン1ベータ)
などの
《炎症性サイトカイン》
が分泌されることが知られています。
このため肥満は
《慢性低度炎症》
と呼ばれる状態になることがあります。
3 《炎症は免疫と脳をつなぐ》
Inflammation Connects Immunity and Brain
近年の研究では
炎症
↓
免疫シグナル
↓
脳機能変化
という経路が研究されています。
炎症性サイトカインは
・神経伝達
・神経可塑性
・感情調節
に影響する可能性があります。
この研究分野は
《神経免疫学|Neuroimmunology(神経免疫学)》
と呼ばれています。
この視点により
《身体の状態と心の状態》
を生理学的に考える研究が進んでいます。
4 《病気の概念を広げる社会構造》
Disease Mongering
この頃、私はもう一つの概念を知りました。
《Disease Mongering|ディジーズ・モンガリング(病気の売り込み)》
という言葉です。
これは
社会の中で
病気の定義が広がり
人々の不安が増えることで
医療市場が拡大する現象を指します。
日本では一時期
《うつ病は心の風邪》
という言葉が広まりました。
しかし現在では
・炎症
・免疫
・腸内細菌
・神経回路
など
多くの要因が研究されています。
病気は
《単一の原因》
ではなく
《身体全体の状態》
として理解されるようになりつつあります。
5 《次の問い:炎症とは何か》
What is Inflammation?
今回の記事は
《炎症とうつ》
という視点を知る
きっかけを紹介するものです。
しかしここで重要な問いが生まれます。
《炎症とは何か》
炎症は
・感染
・外傷
だけでなく
《慢性疾患》
にも関係することが知られています。
《まとめ|Summary》
1
2011年の記事が
《炎症とうつ》を考えるきっかけとなった。
2
炎症は
《免疫だけでなく脳機能にも影響する》
可能性がある。
3
肥満は
《慢性低度炎症》
と考えられることがある。
4
身体と心の関係は
《神経免疫学》
によって研究が進んでいる。
5
次回の記事では
《炎症とは何か ― 身体・脳・感情をつなぐ免疫回路》
について
・《免疫系》
・《神経系》
・《代謝》
・《感情・行動》
・《食事》
の視点から解説します。
《参考文献|References》
1
Andrew Weil
《The Depression-Inflammation Connection》
《うつ病と炎症との関係》
内容
炎症性サイトカインが脳機能に影響し、うつ症状と関連する可能性を一般向けに解説した記事。
歴史的位置づけ
炎症とうつ研究が広まり始めた2000年代の代表的な一般解説。
本稿との接続
炎症と感情の関係を考える導入として引用。
2
Miller A.H., Raison C.L.
《The Role of Inflammation in Depression》
《うつ病における炎症の役割》
内容
炎症性サイトカインが神経伝達、神経可塑性、ストレス反応に影響する可能性を示したレビュー論文。
歴史的位置づけ
炎症とうつ研究を体系化した代表的レビュー。
本稿との接続
炎症と脳の関係の科学的背景。
3
Hotamisligil G.S.
《Inflammation and Metabolic Disorders》
《炎症と代謝疾患》
内容
肥満が慢性炎症状態であることを示した研究。
歴史的位置づけ
肥満研究に炎症概念を導入した重要研究。
本稿との接続
食事・肥満・炎症の関係の科学的背景。
《用語解説|Glossary》
1 《炎症|Inflammation(炎症)》
身体が
・感染
・損傷
に反応して起こす免疫反応。
近年では
《慢性低度炎症》
が
・肥満
・糖尿病
・うつ
などと関連する可能性が研究されている。
2 《サイトカイン|Cytokine(サイトカイン)》
免疫細胞が分泌する
《情報伝達タンパク質》。
免疫細胞同士の通信を担い
・炎症
・免疫反応
・感染防御
を調節する。
3 《IL-6|Interleukin-6(インターロイキン6)》
炎症性サイトカインの一つ。
脂肪組織や免疫細胞から分泌され、
・炎症反応
・免疫調節
に関与する。
肥満ではIL-6が増加し、
慢性炎症に関係すると考えられている。
4 《TNF-α|Tumor Necrosis Factor-alpha(腫瘍壊死因子アルファ)》
強い炎症作用を持つサイトカイン。
マクロファージなどから分泌され
・炎症反応
・免疫反応
・細胞死
に関与する。
5 《IL-1β|Interleukin-1 beta(インターロイキン1ベータ)》
炎症を誘導するサイトカイン。
・発熱
・炎症
・免疫活性
に関与する。
脳機能にも影響し
・疲労
・抑うつ様症状
との関連が研究されている。
6 《アレルギー炎症|Allergic Inflammation(アレルギー炎症)》
花粉症などのアレルギー反応では
・IL-4(インターロイキン4)
・IL-5(インターロイキン5)
・IL-13(インターロイキン13)
などのサイトカインが増加する。
これにより
・IgE抗体
・好酸球
が活性化し
《鼻炎・くしゃみ・かゆみ》
などの症状が起こる。
関連ブログ
December 28, 2011
うつ病と炎症との関係・アンドルー・ワイル博士
http://aromahonjin.way-nifty.com/blog/2011/12/post-3bb2.html
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いつもありがとうございます。
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