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May 30, 2026

《肥満と節約遺伝子 ― 日本人の体質から見る食生活と病気の予防》

《肥満と節約遺伝子 ― 日本人の体質から見る食生活と病気の予防》

《Obesity and Thrifty Genes ― Preventing Disease by Understanding the Japanese Genetic and Dietary Constitution》

《サブタイトル|Subtitle》

《戦後の食生活の変化、セロトニン食からドーパミン報酬食へ、内臓脂肪と惟神の道》

《From Postwar Dietary Change to Dopamine Reward Eating, Visceral Fat, and the Way of Kannagara》

《リード|Lead》

戦後、日本人の食生活は大きく変わりました。

かつての日本人の食は、米、味噌汁、魚、大豆、野菜、海藻、発酵食品を中心とした《低脂肪・高炭水化物・植物性中心》の食生活でした。

しかし、戦後の高度経済成長とともに、肉、乳製品、油脂、砂糖、加工食品、外食、菓子類が増え、食はしだいに《身体を整える食》から《脳の報酬系を刺激する食》へと傾いていきました。

日本肥満学会の資料《肥満と節約遺伝子》では、日本人は長く農耕中心・低脂肪の食生活を送ってきたため、欧米型の高脂肪食が急速に入ってきたことが、肥満、とくに《お腹に脂肪がつく内臓脂肪型肥満》に関係した可能性が示されています。

この問題は、単に「太る・やせる」の話ではありません。

それは、《日本人の体質を知ること》《自分の身体に合わない食の過剰を避けること》《自然のリズムに戻ること》という、惟神の道の生き方にもつながります。

《本稿は|This Article Covers》

《節約遺伝子とは何か|What Are Thrifty Genes》
《戦後の食生活の変化|Postwar Dietary Change in Japan》
《セロトニン食からドーパミン報酬食へ|From Serotonin-Supportive Food to Dopamine Reward Food》
《日本人に起こりやすい内臓脂肪型肥満|Visceral Fat Obesity in Japanese People》
《肥満・内臓脂肪・生活習慣病の関係|Obesity, Visceral Fat, and Lifestyle Diseases》
《惟神の道から見る食の整え方|Dietary Harmony through the Way of Kannagara》
《日本人の遺伝子体質を知って病気を防ぐ考え方|Preventing Disease by Understanding Japanese Constitution》

《本文|Main Body》

《1. 節約遺伝子とは何か|What Are Thrifty Genes》

《節約遺伝子》とは、食べ物が少ない時代に、摂取したエネルギーを効率よく体内に取り込み、脂肪として蓄え、飢餓に備えるために有利だったと考えられる体質・遺伝的傾向を指します。

この考え方は、James V. Neelが1962年に提唱した《thrifty genotype hypothesis|節約遺伝子仮説》に由来します。Neelは、かつて飢餓に強い体質として有利だった遺伝的性質が、現代の飽食環境では糖尿病や肥満のリスクになる可能性を示しました。

ただし大切なのは、《節約遺伝子があるから必ず太る》という意味ではないことです。

これは《遺伝子の宿命》ではなく、《昔の環境に適応した身体が、現代の食環境と合わなくなった》という《進化と生活環境のズレ》として見る必要があります。

日本肥満学会の《肥満と節約遺伝子》でも、節約遺伝子説は肥満を説明する一つの考え方であり、民族差・食環境・消化管ホルモン・脂肪摂取量などを含めて慎重に考える必要があると述べられています。

《2. 日本人の食生活は低脂肪型だった|Traditional Japanese Diet Was Low in Animal Fat》

日本肥満学会の資料では、日本とヨーロッパでは約8,000〜10,000年前から生活環境に差が生じ、日本では農耕中心となり、炭水化物中心で脂肪摂取、とくに獣肉由来の脂肪は非常に少なかったと説明されています。

一方、ヨーロッパでは牧畜が発達し、肉や飽和脂肪酸の摂取が多い食生活になりました。

つまり、日本人の身体は長い時間をかけて、

《米》
《味噌》
《魚》
《大豆》
《野菜》
《海藻》
《発酵食品》
《低脂肪の食生活》

に適応してきた可能性があります。

和食の研究でも、伝統的な日本食は《魚・大豆製品が多く、動物性脂肪と肉が少ない》ことが特徴とされています。

ここに、戦後の急激な食生活の変化が重なりました。

《3. 戦後の食生活の変化|Postwar Dietary Change in Japan》

戦後、とくに高度経済成長期以降、日本人の食生活は急速に欧米化しました。

厚生労働省の資料でも、高度経済成長期に日本人の食事は《westernization of dietary habits|食生活の欧米化》を経験し、穀類の摂取が減り、肉類、卵、乳製品、油脂などが増えたことが示されています。

日本肥満学会の資料では、約50年前に欧米型食生活が入ってきたことで、脂肪摂取が3倍、飽和脂肪酸が20倍に増えたと説明されています。

これは、日本人の身体にとって非常に大きな変化でした。

かつての食生活は、

《米を中心に満たす》
《味噌汁で温める》
《魚と大豆でたんぱく質を補う》
《野菜・海藻・発酵食品で腸を整える》
《季節のものを食べる》

というものでした。

しかし現代では、

《高脂肪》
《高糖質》
《高加工》
《高カロリー》
《早食い》
《夜遅い食事》
《間食の常態化》

が増えました。

この変化によって、身体は《必要な栄養を受け取る》よりも、《脳が快感を求めて食べる》方向へ傾きやすくなりました。

《4. セロトニン食からドーパミン報酬食へ|From Serotonin-Supportive Food to Dopamine Reward Food》

ここで大切なのが、《セロトニン食》と《ドーパミン報酬食》という見方です。

《セロトニン食》とは、正式な医学用語ではありませんが、ここでは《腸・脳・自律神経を穏やかに整える食》という意味で使います。

たとえば、

《米》
《味噌汁》
《納豆》
《豆腐》
《魚》
《海藻》
《野菜》
《発酵食品》
《温かい汁物》

などです。

セロトニンの材料になる必須アミノ酸《トリプトファン》は食事から摂取する必要があり、トリプトファン代謝は気分・認知・腸脳相関にも関係することが研究されています。

一方、《ドーパミン報酬食》とは、脳の報酬系を強く刺激しやすい食です。

たとえば、

《甘いもの》
《揚げ物》
《脂肪と糖が一緒になった菓子》
《ファストフード》
《濃い味》
《加工食品》
《スナック》
《清涼飲料》
《夜の過食》

などです。

ドーパミンは本来、意欲、達成感、学習、喜びに必要な神経伝達物質です。

しかし、脂肪・糖・塩分が組み合わさった《非常においしい食べ物》を繰り返し摂ると、脳の報酬系が強く刺激され、《お腹が空いたから食べる》ではなく、《快感を得るために食べる》状態になりやすくなります。

肥満研究では、肥満者では報酬感受性に関わるドーパミン経路に変化が見られること、また高脂肪で嗜好性の高い食事が側坐核などの報酬系ドーパミン信号に影響することが報告されています。

つまり、現代の肥満は《意志が弱い》だけでは説明できません。

《脳の報酬系》
《腸内環境》
《ホルモン》
《内臓脂肪》
《生活リズム》
《ストレス》
《食環境》

が絡み合って起こる現象です。

《5. 日本人に多い内臓脂肪型肥満|Visceral Fat Obesity in Japanese People》

日本肥満学会の資料では、日本人の肥満は、欧米人のような高度肥満とは異なり、《お腹の出た肥満》として表れやすいことが図で示されています。

これは非常に重要です。

日本人はBMIがそれほど高くなくても、内臓脂肪がたまりやすく、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化などにつながることがあります。

内臓脂肪は、単なる脂肪の貯蔵庫ではありません。

内臓脂肪は炎症性物質やアディポサイトカインを分泌し、インスリン抵抗性、血糖上昇、脂質代謝異常、血圧上昇などに関係します。

日本人を対象にした研究でも、内臓脂肪の蓄積はメタボリックシンドロームの発症に重要であり、内臓脂肪面積が高い群ではメタボリックシンドローム発症が有意に多いことが示されています。

ここで考えるべきことは、《体重》だけではありません。

大切なのは、

《腹囲》
《内臓脂肪》
《血糖》
《中性脂肪》
《HDLコレステロール》
《血圧》
《肝機能》
《食後の眠気》
《疲れやすさ》

です。

日本人の場合、《見た目はそれほど太っていないのに、内臓脂肪と代謝異常が進んでいる》ことがあります。

《6. 高脂肪食とGIPの関係|High-Fat Diet and GIP》

日本肥満学会の資料で興味深いのは、《GIP》という消化管ホルモンへの言及です。

GIPは《胃抑制ポリペプチド/グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド》と呼ばれるホルモンで、食事、とくに高脂肪食によって分泌が刺激されます。

資料では、高脂肪摂取がGIP分泌の大きな刺激となり、白人肥満者や肥満モデル動物では高GIP血症が見られること、日本人はもともと脂肪摂取が少なかったため、GIP分泌や節約遺伝子の意味づけについて複数の解釈があることが述べられています。

ここから見えるのは、《脂肪を食べること自体が悪い》という単純な話ではありません。

問題は、

《急激な食生活の変化》
《高脂肪食への適応不足》
《運動不足》
《加工食品の増加》
《夜型生活》
《ストレス食い》
《腸内環境の乱れ》

が同時に起こることです。

つまり、日本人にとって大切なのは、《自分の体質に合う脂質の量と質》を知ることです。

《7. 肥満・内臓脂肪・病気の関係|Obesity, Visceral Fat, and Disease》

内臓脂肪が増えると、次のような病気のリスクが高まります。

《2型糖尿病|Type 2 Diabetes》

内臓脂肪が増えると、インスリンが効きにくくなる《インスリン抵抗性》が起こりやすくなります。

その結果、血糖値が上がりやすくなり、膵臓のβ細胞に負担がかかります。

《脂質異常症|Dyslipidemia》

中性脂肪が増え、HDLコレステロールが低下しやすくなります。

《高血圧|Hypertension》

内臓脂肪の増加は、血管機能、自律神経、炎症、インスリン抵抗性を通して血圧にも影響します。

《脂肪肝|Fatty Liver》

余ったエネルギーが肝臓に蓄積すると、脂肪肝が進み、肝臓代謝の負担が増えます。

《動脈硬化|Atherosclerosis》

内臓脂肪、血糖異常、脂質異常、高血圧が重なると、血管の老化が進みやすくなります。

このように、肥満の本当の問題は《体型》ではなく、《代謝の乱れ》です。

《8. 惟神の道から見る食生活|Diet through the Way of Kannagara》

惟神の道とは、《自然の理に沿って生きること》です。

食において惟神の道とは、難しい健康法を追いかけることではありません。

それは、

《季節のものを食べる》
《土地に合うものを食べる》
《身体の声を聞く》
《腹八分目にする》
《温かいものを大切にする》
《食べ過ぎたら整える》
《感謝していただく》
《加工されすぎたものを避ける》
《自然に近い食を選ぶ》

ということです。

日本人の身体は、長い時間をかけて《日本の風土・米・魚・大豆・海藻・発酵食品》と共に生きてきました。

その体質を無視して、毎日高脂肪・高糖質・高加工の食生活を続ければ、身体は本来の秩序を保ちにくくなります。

惟神の道から見ると、肥満とは単に脂肪が増えることではなく、《自然との調和から外れた食の結果》とも言えます。

《食べ物は身体に入る情報》です。

自然に近い食は、身体に《秩序の情報》を与えます。

過剰に加工された食は、身体に《混乱の情報》を与えます。

この視点で見ると、節約遺伝子の問題も、《遺伝子が悪い》のではありません。

《昔の環境に適応した身体に、現代の過剰な食情報が入りすぎている》ということです。

《9. 日本人の遺伝子体質を知って病気を防ぐ考え方|Preventing Disease by Understanding Japanese Constitution》

日本人の体質を知ることは、恐れるためではありません。

それは、《自分に合った養生を選ぶため》です。

日本人にとって大切なのは、

《高脂肪食を毎日の中心にしない》

肉、乳製品、揚げ物、菓子類、加工食品を毎日の中心にすると、内臓脂肪が増えやすくなります。

《米を敵にしない》

米は過食すれば血糖負荷になりますが、味噌汁、魚、大豆、野菜、海藻と組み合わせることで、伝統的な日本食の中心になります。

《魚と大豆を大切にする》

魚と大豆は、日本人の食生活に長く根づいたたんぱく源です。

《発酵食品で腸を整える》

味噌、納豆、漬物、醤油などは、腸内環境と食文化の両面で重要です。ただし塩分の摂りすぎには注意が必要です。

《甘味・油脂・加工食品を報酬として使いすぎない》

疲れた時に甘いもの、ストレス時に揚げ物、夜に菓子類という習慣は、ドーパミン報酬系を刺激し、食欲の自己調整を乱しやすくなります。

《内臓脂肪を見る》

体重だけでなく、腹囲、血糖、中性脂肪、肝機能を確認することが大切です。

《惟神の食に戻る》

旬、土地、発酵、温かさ、腹八分目、感謝。

これが日本人にとっての自然な予防医学になります。

《10. 食の整え方|Practical Dietary Rebalancing》

日常では、次のような形に戻すことが助けになります。

《朝》

味噌汁、納豆、少量のご飯、魚または卵、海苔、野菜。

《昼》

ご飯、魚または大豆製品、野菜、味噌汁。

《夜》

軽めにして、揚げ物・菓子・夜食を避ける。

《間食》

甘い菓子ではなく、ナッツ少量、果物少量、お茶、温かい飲み物。

《避けたい習慣》

夜遅い食事、食後すぐの菓子、清涼飲料、毎日の揚げ物、濃い味の加工食品。

《大切にしたい感覚》

食後に眠くなりすぎないか。

お腹が張らないか。

朝起きた時に身体が重くないか。

腹囲が増えていないか。

甘いものを欲し続けていないか。

これは、体重計だけではわからない《身体の声》です。

《まとめ|Summary》

肥満と節約遺伝子の問題は、《遺伝子が悪い》という話ではありません。

それは、《昔の環境に適応した身体》と《現代の食環境》のズレです。

日本人は長い間、米、魚、大豆、野菜、海藻、発酵食品を中心とした低脂肪の食生活を送ってきました。

しかし戦後、肉、乳製品、油脂、砂糖、加工食品が急速に増え、身体は《セロトニン的に整う食》から《ドーパミン報酬系を刺激する食》へと引き寄せられやすくなりました。

その結果、体重だけでなく、《内臓脂肪》《血糖》《脂質》《血圧》《肝臓代謝》の乱れが問題になります。

惟神の道から見れば、食とは《自然の情報を身体に入れる行為》です。

日本人の体質を知ることは、過去に戻ることではありません。

それは、現代の中で《自分の身体に合う食の秩序》を取り戻すことです。

《節約遺伝子を責めるのではなく、身体に合わない過剰を祓う》

これが、肥満・内臓脂肪・生活習慣病を防ぐための、惟神の食養生だと思います。

《参考文献|References》

《1. 清野裕「肥満と節約遺伝子」|Hiroshi Seino, “Obesity and Thrifty Genes”》

《内容》
日本肥満学会誌《肥満研究》に掲載された巻頭言。肥満の成因を《節約遺伝子》の視点から解説し、日本とヨーロッパの生活環境・食生活の違い、戦後日本における脂肪摂取増加、GIPと高脂肪食、日本人の肥満の特徴について述べている。

《歴史的位置づけ》
日本人の肥満を、単なるカロリー過剰ではなく、《民族差》《食生活の歴史》《消化管ホルモン》《進化医学》から考える重要な資料。

《本稿との接続点》
本稿の中心テーマである《戦後の食生活変化》《日本人の内臓脂肪型肥満》《節約遺伝子と惟神の食養生》の土台となる文献。

《2. James V. Neel, “Diabetes Mellitus: A ‘Thrifty’ Genotype Rendered Detrimental by ‘Progress’?”|ジェームズ・ニール「糖尿病:進歩によって有害化した節約遺伝子型か?」》

《内容》
節約遺伝子仮説の原典。飢餓の時代には有利だったエネルギー蓄積型の体質が、現代の飽食環境では糖尿病や肥満のリスクになる可能性を提唱した。

《歴史的位置づけ》
進化医学・糖尿病研究・肥満研究に大きな影響を与えた古典的論文。

《本稿との接続点》
《遺伝子は宿命ではなく、環境との関係で働きが変わる》という考え方の基礎。

《3. Ministry of Health, Labour and Welfare, “Changes in Nutrition and Health in Japan”|厚生労働省「日本における栄養と健康の変化」》

《内容》
日本人の栄養状態、食生活、健康指標の変化をまとめた資料。高度経済成長期に食生活の欧米化が進み、穀類摂取の減少、肉・卵・乳製品・油脂摂取の増加が起こったことを示している。

《歴史的位置づけ》
戦後日本の栄養転換を公的に把握するための重要資料。

《本稿との接続点》
《戦後の食生活の変化》を説明する根拠。

《4. San Gabriel et al., “The Role of the Japanese Traditional Diet in Healthy and Sustainable Dietary Patterns around the World”|サン・ガブリエルほか「世界の健康的で持続可能な食事パターンにおける伝統的日本食の役割」》

《内容》
伝統的な日本食、すなわち和食の特徴として、魚・大豆製品の摂取が多く、肉や動物性脂肪が少ないことを整理した研究。

《歴史的位置づけ》
和食を健康・持続可能性・食文化の観点から再評価する現代的研究。

《本稿との接続点》
《セロトニン食》として本稿で表現した、腸・脳・代謝を整える日本型食生活の背景資料。

《5. Volkow et al., “Reward, Dopamine and the Control of Food Intake”|ヴォルコウほか「報酬・ドーパミン・食欲制御」》

《内容》
食欲と肥満を、脳の報酬系・ドーパミン経路から解説した総説。肥満者では報酬感受性に関わる神経系に変化が見られる可能性を述べている。

《歴史的位置づけ》
肥満を単なる代謝疾患ではなく、《脳の報酬系》から理解する重要な研究領域を示した文献。

《本稿との接続点》
《セロトニン食からドーパミン報酬食へ》という本稿の中心概念を支える文献。

《6. Wallace et al., “Obesity and Dietary Fat Influence Dopamine Neurotransmission”|ウォレスほか「肥満と食事脂肪はドーパミン神経伝達に影響する」》

《内容》
高脂肪食や肥満が、側坐核などの報酬系ドーパミン信号に影響する可能性を論じた研究。

《歴史的位置づけ》
食事脂肪・嗜好性食品・報酬系の関係を理解するうえで重要な文献。

《本稿との接続点》
高脂肪・高嗜好性食品が《食べたい》という脳の回路を変えうることを説明する根拠。

《7. Jenkins et al., “Influence of Tryptophan and Serotonin on Mood and Cognition with a Possible Role of the Gut-Brain Axis”|ジェンキンスほか「トリプトファンとセロトニンが気分と認知に及ぼす影響、腸脳相関の可能性」》

《内容》
トリプトファン、セロトニン、気分、認知、腸脳相関について整理した総説。

《歴史的位置づけ》
食事・アミノ酸・神経伝達物質・腸脳相関をつなぐ研究。

《本稿との接続点》
《セロトニン食》という表現を、脳と腸の調和を支える食の考え方として補強する文献。

《8. Matsuzawa, “Metabolic Syndrome in Japanese Diagnosed with Visceral Fat Accumulation”|松澤佑次「内臓脂肪蓄積から診断される日本人のメタボリックシンドローム」》

《内容》
内臓脂肪蓄積が、血圧上昇、耐糖能異常、脂質異常、動脈硬化リスクと関連することを説明した文献。

《歴史的位置づけ》
日本人のメタボリックシンドローム理解において、内臓脂肪の重要性を示した代表的研究。

《本稿との接続点》
《日本人は高度肥満でなくても内臓脂肪に注意する必要がある》という本稿の主張を支える文献。

《用語解説|Glossary》

《1. 節約遺伝子|Thrifty Genes》

《仕組み中心の解説》
飢餓に備えて、摂取したエネルギーを効率よく脂肪として蓄える方向に働くと考えられる遺伝的傾向。

《回路レベル》
食欲、インスリン分泌、脂肪細胞、肝臓代謝、消化管ホルモン、エネルギー消費が連動する。

《機能レベル》
昔は生存に有利だったが、現代の飽食・運動不足・高脂肪食環境では肥満や糖尿病のリスクになりうる。

《2. 内臓脂肪|Visceral Fat》

《仕組み中心の解説》
腹腔内の腸間膜や臓器周囲につく脂肪。皮下脂肪より代謝に強く影響する。

《回路レベル》
脂肪細胞から炎症性物質、遊離脂肪酸、アディポサイトカインが分泌され、肝臓、筋肉、血管、膵臓に影響する。

《機能レベル》
インスリン抵抗性、脂質異常、高血圧、脂肪肝、動脈硬化につながりやすい。

《3. GIP|Glucose-dependent Insulinotropic Polypeptide/グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド》

《仕組み中心の解説》
小腸から分泌される消化管ホルモン。食事、とくに脂肪摂取によって分泌され、インスリン分泌や脂肪蓄積に関係する。

《回路レベル》
小腸 → GIP分泌 → 膵臓β細胞 → インスリン分泌 → 脂肪細胞・肝臓代謝に影響。

《機能レベル》
高脂肪食が続くと、脂肪蓄積や代謝異常に関係する可能性がある。

《4. ドーパミン報酬系|Dopamine Reward System》

《仕組み中心の解説》
快感、意欲、期待、学習に関係する脳のシステム。おいしい食べ物、達成感、快刺激によって働く。

《回路レベル》
中脳腹側被蓋野 → 側坐核 → 前頭前野 → 扁桃体・海馬が関係する。

《機能レベル》
本来は生存に必要な行動を促すが、甘味・脂肪・塩味の強い食品が過剰に入ると、食欲が報酬依存的になりやすい。

《5. セロトニン|Serotonin》

《仕組み中心の解説》
気分、睡眠、腸の運動、食欲、自律神経に関係する神経伝達物質・生理活性物質。

《回路レベル》
腸内環境、トリプトファン代謝、脳幹の縫線核、自律神経、腸脳相関が関係する。

《機能レベル》
心身の安定、睡眠リズム、穏やかな満足感に関係する。食事・光・運動・腸内環境の影響を受ける。

《6. トリプトファン|Tryptophan》

《仕組み中心の解説》
体内で作れない必須アミノ酸。セロトニン、メラトニン、ナイアシンなどの材料になる。

《回路レベル》
食事 → 腸で吸収 → 血中へ → 脳・肝臓・腸内細菌による代謝 → セロトニン経路またはキヌレニン経路へ進む。

《機能レベル》
気分、睡眠、免疫、腸脳相関に関係する。魚、大豆、卵、肉、乳製品、種実類などに含まれる。

《7. インスリン抵抗性|Insulin Resistance》

《仕組み中心の解説》
インスリンが分泌されているのに、筋肉・肝臓・脂肪細胞で効きにくくなる状態。

《回路レベル》
内臓脂肪 → 炎症 → 遊離脂肪酸増加 → 肝臓・筋肉のインスリン反応低下 → 血糖上昇。

《機能レベル》
2型糖尿病、脂肪肝、中性脂肪増加、高血圧につながりやすい。

《8. メタボリックシンドローム|Metabolic Syndrome》

《仕組み中心の解説》
内臓脂肪を背景に、血糖、血圧、脂質の異常が重なる状態。

《回路レベル》
内臓脂肪 → インスリン抵抗性 → 血糖上昇・脂質異常・血圧上昇 → 血管障害。

《機能レベル》
心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、脂肪肝などのリスクを高める。

《9. 惟神の道|Kannagara no Michi》

《仕組み中心の解説》
自然の理に逆らわず、天地・季節・身体・心の秩序に沿って生きる道。

《回路レベル》
食、睡眠、呼吸、感情、自律神経、腸内環境、生活リズムが一つの生命場として整う。

《機能レベル》
過剰を避け、自然に近い食と暮らしに戻ることで、身体の自己調整力を支える。

《10. 食の祓い|Dietary Purification》

《仕組み中心の解説》
身体に合わない過剰な食、加工食品、食べ過ぎ、夜食、ストレス食いを見直し、身体の内側から秩序を回復する考え方。

《回路レベル》
腸 → 肝臓 → 血糖 → 脂質 → 自律神経 → 脳の報酬系が整う。

《機能レベル》
肥満予防だけでなく、心の安定、睡眠、代謝、免疫、感情の調律にもつながる。

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